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不正融資問題とその後の不動産融資・市況への影響

記事作成日2018/11/13 最終更新日2020/05/28

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不正融資問題とは

今回はとある地方銀行(以下A銀行)の不正融資問題について取り上げます。発端はシェアハウス運営・販売を手がけるB社の破綻により、一般投資家を巻き込んだ不正融資が発覚したこと。これに関与したA銀行は大幅な貸倒引当金の積み増しを余儀なくされ、株価は暴落、経営の屋台骨を揺るがしています。A銀行の融資総額約3.1兆円のうち、投資用不動産融資は2兆円、このうち半分程度が不適切な事実に基づいて実行されていたと言われています。
そのやり口は、手元資金がない投資家の預金残高水増し、二重の売買契約書作成など融資審査書類を偽造する販売会社を黙認するなどが上げられます。そして、B社は投資家にとって不当に高い金額で建築請負契約を建築会社と結ばせ、キックバックを受け取り、その投資家とシェアハウスに関して高利回りを約束してサブリース契約を締結していたようです。その上で資金繰りに窮すると一方的な保証家賃の値下げ、その後の計画的とも思われる経営破綻へ続きます。
A銀行は、各不動産仲介会社などとの間で同様の手口で取引を繰り返し、貸出し有りきで、「偽造された書類については黙認」・・・という実態が次々に明るみに出ています。
そもそもA銀行の金利は約4%程度と高金利です。物件の利回り表示・収支予測が甘い、または間違っている物件を不動産仲介会社の提示資料を鵜呑みにして、よく考えずに手元資金もないまま数1,000万、さらには億を超えるお金を借りる投資家側の問題もあるでしょう。しかし、融資が出ない事には不動産が動きませんので、A銀行の責任はやはり重いと言わざるを得ません。もちろん、不動産仲介会社なども同罪です。関係各社が、それぞれ利益追求のみを追い求め、倫理観を失ったことにより今回の事件は発生したといえるでしょう。

不動産向け融資の現状と不動産市況への影響

この事件発覚後、都市銀行はもちろん、積極的であったはずの地方銀行・信用金庫なども不動産向け融資に慎重になっています。実際には新規貸付停止に近いのかもしれません。なぜなら、A銀行以外においても多かれ少なかれ似たような状況がある事が予想されるからです。加熱していた投資用不動産市況も落ち着き、若干の下落傾向になっていく可能性もあるのではないでしょうか。この問題はA銀行だけにとどまらず不動産市況にもマイナスの影響を及ぼしていくものと思われます。


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