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コロナ禍のオフィス賃貸ビル需要の変化と新築住宅への影響

記事作成日2020/10/16 最終更新日2020/10/16

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東京都心のビジネス街の空室率が急上昇

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延の影響は当然ながら日本人の働き方にも大きな影響を与えています。これまでの「働き方改革」の大きなうねりと合わせて、大手IT・通信業界を中心に、テレワーク(在宅勤務)が他業種・中小にも一気に広がりました。これらの状況はすでに不動産市況にも大きな影響を与え始めています。

 オフィスビル仲介大手の三鬼商事によれば、ビジネス地区(都心5区)の大規模オフィスの空室率は2020年7月末現在、コロナ前の昨年12月の1.55%から一気に急上昇し2.77%となっています。中でもIT関連の会社が多い渋谷区は3.85%と非常に高くなっています。

 このような空室率の上昇はちょうどリーマンショックの時にも同じような動きがあったようです。一方で100坪前後の中規模オフィス需要は堅調なようで、大企業を中心に在宅勤務で問題ない会社は、事務所縮小に動き始めていることは間違いないようです。

住まいもマンションから戸建てへ変わる?

 一方で働く人々の住む住居にはどのような影響があるのでしょうか?

 新築分譲マンションについて弊社にて不動産経済研究所のデータや各所へ聞き取りした範囲ですが、デベロッパー側が急激に価格変動しないように分譲供給戸数を調節等しているようです。7月末時点の首都圏マンションの平均価格は6,124万円と若干の変動はあるかもしれませんが、価格は高止まりしています。

 ㎡単価は91.3万円ですので、平均の広さは70㎡を少々下回る状況のようです。ただ大手デベロッパーがここ数ヶ月、マンション用地の仕入を控えている状況があるので、今後はそれらの影響が出てくるかも知れません。

 一方で弊社に「新築建売用の戸建用地をご紹介いただけませんか?」との問合せが最近増え始めており、マスメディアの報道にもある通り、肌感覚としても新築建売戸建については一気に需要が増えている、又は今後増えていくように感じます。

 テレワーク用のお部屋の確保を考えると、70㎡のマンションでは1部屋足りないということかと思いますが、これまでの都心マンションブームのように、マンションに比べると人気が低かった戸建住宅にも、価格が手頃ということで注目が集まってきているようです。建売戸建分譲会社の土地仕入れ希望先が、都内23区・横浜・川崎・浦和・市川などの地域を指定してきているのを見ると、これらの地域の新築戸建需要は今後も上昇していくように感じられます。

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