相続税対策としての法人化は、通常、生前に行われることが多いですが、財産の一部等を自らの死後、特定の目的のために財団法人の形にしておきたいと考えている人もいます。
そのような意思が遺言に残されていた場合、遺言執行者は、遺言の効力が発生後、遅滞なく遺言に基づいて定款を作成して公証人の認証を受け、財団法人成立までに必要な事務を行い、代表理事が財団法人の設立登記の申請を行います。
つまり、遺言で、一般財団法人を設立することも可能です。
以前は、財団法人を設立するには、監督官庁の許可が必要でしたが、一般財団法人であれば監督官庁の許可なく設立することができます。
◆遺言による一般財団法人設立の手続き
遺言により一般財団法人を設立するには、以下の手続きを経て設立することになります。
(1)設立者が遺言で一般財団法人を設立する意思を表示し、定款に記載すべき内容を遺言で定める。
(2)遺言執行者が遺言の内容の実現(遺言の執行)を行い、遺言に基づいて遅滞なく定款を作成して公証人の認証を受ける。
(3)遺言執行者が財産(価額300万円以上)の拠出の履行を行う。
(4)定款で設立時評議員、設立時理事、設立時監事(設立時会計監査人を置く場合は、この者も含む)を定めなかったときは、定款の定めに従い、これらの者の選任を行う。
(5)設立時理事および設立時監事が設立手続の調査を行う。
(6)設立時理事が法人を代表すべき者(設立時代表理事)を選定し、設立時代表理事が法定の期限内に主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立の登記の申請を行う。
◆設立手続きにおける注意点
遺言による一般財団法人の設立手続きは、遺言執行者でないと行うことができません。遺言執行者を指定していない場合は、相続人が家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求しなければなりません。
一般財団法人の設立に必要な定款記載事項や手続きなどがあるため、遺言で一般財団法人の設立をする場合は、専門家に相談されることをおすすめします。TOMAグループでは、遺言作成、一般財団法人設立をサポートしています。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。