[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、監査法人もしくは公認会計士が発行する監査報告書についてお話をします。
【監査報告書の説明】
日本公認会計士協会の説明によると、監査報告書とは以下のように説明されています。
「経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて監査人の監査意見を述べた報告書である。」
http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/cpainfo/student/ke_word/2007/04/post_77.html
言い換えると、監査報告書とは監査法人もしくは公認会計士が発行する報告書で、企業が作成した決算書が会計基準に基づいておおむね正しく作られているといった内容を記載している書類を指します。
株主や投資家、その他利害関係者は、その企業の儲かり具合や財産の状態などを決算書を通じて知るのですが、その決算書は企業自らが作っています。そのため、企業がインチキして決算書を作るのを防止するために、一定の利害関係のない会計の専門家である監査法人もしくは公認会計士が決算書のチェックを担当するのです。
なお、チェックは細かいものではなく、また、監査報告もおおむね正しい(「すべての重要な点において適正」というのはそのような意味です)ことに過ぎませんが、毎年外部の会計の専門家がチェックすることは、その企業の不正行為を抑止する重要な役割があるといえます。
ちなみに、監査法人とは、公認会計士が5人以上集まって設立した監査を主業務とする法人をいいます。有名な監査法人はBig4と呼ばれる監査法人で、PwC(日本ではあらたや京都)、KPMG(あずさ)、EY(新日本)、Deloitte(トーマツ)です。
各法人とも数千名のスタッフを有しています。
【監査報告書の保管】
監査報告書は決算書の原本に監査報告書を綴じ、企業と監査人がそれぞれ保管していることが一般的です。
したがって、その企業の決算書が正しいかどうかは、決算書原本をみせていただき、監査報告書がついているかどうかチェックするのが良いかと思います。
なお、日本の監査法人もしくは公認会計士の監査報告書は、監査法人名もしくは個人事務所名のみならず、監査責任者の署名と押印があります。
赤い判子が押されており、文書が定型的なのが特徴です。
上場企業などでは、金融庁のEDINETで監査報告書のコピーが記載されています。こちらは署名ではなく記名で押印もありません。
なお、税理士が署名している税務申告書は税額の確からしさはわかるかもしれませんが、決算書そのものの確からしさを保証しているものではありません。
【今後の監査報告書の記載内容】
監査報告書ですが、企業や投資家からみても面白みがない内容となっています。
現状、監査報告書には、独立監査人の監査報告書というタイトルで一般的に以下の内容が記載されています。
・決算書作成に関する経営者の責任
・監査人の責任
・監査意見
・利害関係
しかし、EUでは、監査報告書にもっと多くの事項を記載することとなっており、日本もやがてEUと同じようになる可能性があります。上記に加えて、以下の内容が記載されています。
・重要な虚偽表示リスクに関する評価
・重要性の適用
重要な虚偽表示リスクに関する評価とは、うその決算書ができてしまう可能性のある事項のうち重要なものを記載しなさいという内容となっています。
たとえば、○○事業ののれんの評価や、××株式の減損の可否、債権の回収可能性の評価などが考えられます。
この内容が監査報告書に記載された場合、投資家は企業がどの事項についてリスクを抱えているかがわかることとなります。仮にEUの監査報告書のルールが日本で導入されていたら、株式会社東芝の監査報告書にはどのように記載されているのか興味がありますし、利害関係者にとっても注目される内容となるでしょう。
また、重要性の適用とは、「すべての重要な点において適正」の重要については具体的にいくらなのか、もしくはどのようなことをさすのかを記載することとなります。
現在でも監査人は重要とはいくらなどの指標を持っており、毎年更新をしています。その内容を記載しなさいということとなります。
こちらも監査人がいくら以上の金額の間違いに気をつけてチェックしているがが投資家などにもわかることとなります。
【おすすめ。監査人から助言をもとめる】
監査を受けている企業、もしくはこれから監査を受ける企業の視点から見たときにお薦めするのは、監査報告書とは別に経営管理上の改善点等を示した書類(一般的にマネジメント・レターといいます)を入手することです。
公認会計士はさまざまな企業の監査を通して、いろんな会社の管理手法を知っています。
企業にとってより改善をしたほうがよい事項は何かなど尋ねることをお薦めします。
企業のビジネスに直結する情報は入手しずらいかもしれませんが、財務経理面の管理や人材の採用動向など、ビジネス周りの情報については結構もっていますし、監査人もできることは協力します。
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