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事業再構築補助金、申請条件は?いつから申請可能?気になる疑問をわかりやすく解説!

記事作成日2022/02/16 最終更新日2023/10/05

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掲載している内容は2023年2月28日時点の情報になります。最新の内容に関してはお問い合わせください。
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中小企業等事業再構築促進事業における「事業再構築補助金」とは?

令和3年度補正予算で決定した中小企業等事業再構築促進事業では

「引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者」
「そこから脱するために新分野展開や業態転換を計画する事業者」
「多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる事業者」
「グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者」

引用:経済産業省「事業再構築補助金 令和3年度補正予算の概要

などを支援すると明示しています。そのため、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部 5.0%)以上の増加等を目標としています。

上記を達成するための具体策として創設されたのが事業再構築補助金です。ポストコロナ・ウィズコロナ時代を見据え、経済環境の変化に柔軟に対応し、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編に取り組む中小企業を支援するべく創設されました。

令和2年度第3次補正予算案額は 1兆1,485億円が計上され、2021年3月26日から第1回公募が開始されました。令和3年度補正予算額においても6,123億円、令和4年度予備予算で1,000億円が計上されております。

本補助金は、回を追うごとに少しずつ要件の見直しや拡充が推し進められており、特に、第6回公募以降は売上高10%要件の緩和や通常枠の補助上限額の見直しなど、大きな変更が行われています。例としては次のような項目です。

 

原油価格・物価高騰等緊急対策枠の新設

第7回公募から新設されました。通常枠の申請要件に加え、

・足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化を受けたこと
・2022 年 1 月以降の連続する 6 か月間のうち、任意の 3 か月の合計売上高が、2019 年~2021 年の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等(※)

を満たすことが申請要件になります。

コロナに加え、原油や物価高騰等の影響を乗り越えるべく、危機に強い事業への再構築を目指す中小企業に対して、重点的な支援が行われます。補助金額は最大4,000万円まで、通常枠に比べ補助率が高く手厚い支援になっています。(※)売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能です。

従業員数 補助金額 補助率 備考
5人以下 100万円〜1,000万円 中小企業等 3/4(※)
中堅企業等 2/3
(※)従業員数5人以下の場合
500 万円を超える部分
従業員数6~20人の場合
1,000 万円を超える部分
従業員数21人以上の場合
1,500万円を超える部分は2/3。
中堅企業は1/2。
6~20 人 100 万円 ~ 2,000 万円
21~50 人 100 万円 ~ 3,000 万円
51 人~ 100 万円 ~ 4,000 万円

2.通常枠の補助上限額の見直し

通常枠の補助上限額に2000万円が追加され、2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円の4種類となります。限られた政策資源で1者(社)でも多くの事業者を支援するための見直しです。上限額は中小企業の従業員規模に応じて変化します。

補助上限額・補助率

従業員規模 補助金額 補助率
第5回公募まで 第6回公募以降
20人以下 100万円〜4,000万円 100万円〜2,000万円 【中小企業】
2/3 (6,000万円超は1/2)
【中堅企業】
1/2 (4,000万円超は1/3)
21〜50人 100万円〜6,000万円 100万円〜4,000万円
51〜100人 100万円〜8,000万円 100万円〜6,000万円
101人以上 100万円〜8,000万円

通常枠の要件

① 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1〜3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
② 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と共同で策定すること (補助金額3,000万円超は金融機関とも共同で策定)
③ 補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加または 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること

3.回復・再生応援枠の新設

第6回公募より、これまでの「緊急事態宣言特別枠」に代わり、「回復・再生応援枠」が新設されました。引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を支援する新設枠です。この枠の補助金額の上限は1,500万円ですが、補助率は2/3(通常枠)から3/4に引き上げられ手厚い支援になっています。

また、これまでは「既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等」が事業再構築指針で求められていましたが、回復・再生応援枠については「主要な設備の変更を求めない」といった緩和措置も追加されました。

補助上限額・補助率

従業員規模 補助金額 補助率
第5回公募まで 第6回公募以降
5人以下 100万円〜500万円 100万円〜500万円 【中小企業】3/4
【中堅企業】2/3
6〜20人 100万円〜1,000万円 100万円〜1,000万円
21人以上 100万円〜1,500万円 100万円〜1,500万円

回復・再生応援枠の対象となる事業者

通常枠の申請要件に加え、以下の①または②を満たすこと
① 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が2020年または2019年の同月比で30%以上減少していること
② 中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること

4.グリーン成長枠の新設

第6回公募から「卒業枠・グローバルV字回復枠」に代わり、「グリーン成長枠」が新設されました。この枠はグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者を対象に、1.5億円の補助を上限とする申請類型です。なお、グリーン成長枠では、売上高10%減少要件は課されません。

グリーン成長枠は2回支援を受けることが可能

グリーン成長枠に限って言えば特例が適用され、過去の公募で採択された事業者でも、再度申請することが可能ですので、これから申請をお考えの方も、既に支援を受けた方も、ぜひご検討ください。なお、追加提出資料と審査内容に関しては以下の通りです。

通常の申請に加えて、以下の2つの資料の提出が必要。
①既に事業再構築補助金で取り組んでいる事業再構築とは異なる事業再構築であることの説明資料
②既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があることの説明資料
→通常の審査に加え、一定の減点を受けたうえで、これらの資料ついても考慮したうえで採否を判断する。

引用:経済産業省「事業再構築補助金 令和3年度補正予算の概要 2.0版

補助上限額・補助率

事業規模 補助金額 補助率
中小企業 100万円〜1億円 1/2
中堅企業 100万円〜1.5億円 1/3

グリーン成長枠の対象となる事業者

通常枠の申請要件に加え、以下の①及び②を満たすこと

① 補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加または従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること(※通常はそれぞれ年率平均3.0%以上増加)
② グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと

参考:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

注)グリーン成長戦略14分野とは

「次世代熱エネルギー」「自動車・蓄電池」など、2050年カーボンニュートラルに向けて成長が期待される14の重点分野をいいます。政府の成長戦略会議では、目標の実現を目指す企業の前向きな挑戦を後押しするため、あらゆる政策資源を投下して「実質ゼロ」を目指すと宣言しています。グリーン成長戦略についてはこちらもご確認ください(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/17583/

グリーン成長戦略「実行計画」14分野の解説

5.その他、運用改善について

「最低賃金枠と大規模賃金引上枠」は第7回以降も変更なく継続予定です。

第9回の公募要領の変更はほとんどなし

第9回の公募要領については、第8回から変更点はほとんどありません。申請枠や対象経費などの主な内容は第8回と同様になります。ただし幾つかの変更点がありましたのでご紹介いたします。

支援機関に全国中小企業団体中央会が追加

公募要領54pに以下の内容が追加されました。

「支援機関」とは、以下のとおりです。なお、ミラサポ plus 上で支援機関からのデータ開示依頼に対して申請者の承認が得られた場合に限り、当該申請者の個社名(個人の場合は当該個人の氏名)つきの詳細な情報が利活用可能となります。
・特別法人及び特別法人に所属する組織(日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会及び各単会等)
引用:中小企業庁「事業再構築補助金 公募要領(第9回)」から抜粋

以上の内容は、以前からも支援機関の対象でありましたが、公募要領に記載がなかったため、改めて追加されたと考えられます。

大きな変更があるのは第10回公募以降

第9回公募までは大きな変更点はありません。大きな変更点があるのは第10回公募以降になります。
主な変更点が下記の通りです。

・ 成長枠(旧通常枠)の売上高減少要件が撤廃
・ グリーン成長枠の要件が緩和
・ 過去に採択された事業者の2回目の申請が一部可能

※この他にも多数の変更が予測されます。詳細は事務局からの発表をお待ちください。

事業再構築補助金の申請に必要な書類

では、申請にはどのような書類を準備しなければならないのでしょうか。

(1)事業計画書

事業計画書は認定経営革新等支援機関と共同で策定します。3,000万円を超える補助金を申請する場合は認定経営革新等支援機関および金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は当該金融機関のみでも可)と事業計画書を策定する必要があります

事業計画書は採択可否を判断する上で最も重要な書類です。事業計画書には補助申請事業の具体的な内容、将来の展望(市場分析・差別化戦略・リスク分析など)、事業で取得する予定の資産、収益計画などを記します。A4サイズで計15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は計10ページ以内)でまとめられていれば、フォーマットは特に決められていません。

(2)認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書

事業計画書を認定経営革新等支援機関と策定し「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出します。補助金額3,000万円を超える事業計画書は、「認定経営革新等支援機関による確認書」と共に「金融機関による確認書」が必要になります。

(3)売上高(付加価値額)の減少がわかる書類

過去の確定申告書別表一の控え、法人事業概況説明書の控えなどの準備が必要です。

(4)決算書

直近2年分の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表の準備が必要です。

このほか応募する枠によって必要な書類が異なります。当然、申請書類に不備があればどれだけ素晴らしい事業計画を立てても採択されないため、万全の準備が必要です。

事業再構築補助金の申請に必要な書類の解説

申請から補助金の支払いまでの流れ

書類がそろったら申請を行いますが、事業再構築補助金の申請方法は、GビズIDプライムによる電子申請のみです。そのため、GビズIDプライムの取得がまだお済でない場合は、まずIDを取得する必要があります。IDの取得には混雑状況にもよりますが3週間程度かかります。

応募後、提出した事業計画書を外部有識者からなる審査委員会が評価し、より優れた事業計画書が採択されます。採択となった場合は、受付番号、商号又は名称(法人番号を含む)、事業計画名、認定経営革新等支援機関名などが公表されます。

採択後、事業計画書等に記載した金額がすべて補助金額として認められるとは限りません。補助対象経費の金額がわかる相見積書や設計書などを準備し、改めて交付申請を行って専門家の審査を受けます。審査の結果、補助金額が減額されるケースもあるため注意が必要です。

また、採択後、すぐに補助金が支払われるわけでもありません。補助金を使った事業(補助事業)がすべて完了し、事務局の確定検査を経た後に補助金が支払われます。

したがって、例えば補助金額6,000万円の事業を行う場合には、少なくとも9,000万円以上のつなぎ資金が必要になります(補助率2/3の場合)。補助事業終了後も事業計画書に沿った経営が行われているかどうか、年次報告(5年間)をしなければなりません

事業再構築補助金の応募から補助金の支払いまでの解説

事業再構築補助金の申請方法に必要なGビズIDとは?

前述しましたが、応募はGビズIDプライムによる電子申請のみとなっています。GビズIDとは1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる「共通認証システム」です。GビズIDのアカウントには「プライム」「メンバー」「エントリー」の3種類あります。

「メンバー」と「エントリー」は書類審査を必要とせず、手軽に取得できるのに対し、「プライム」は申請書と印鑑証明書を提出しなければなりません。

「事業再構築補助金」の申請は「プライム」のI Dを取得しなければならないため、アカウント作成には一定の期間が必要です。GビズIDのアカウント作成はこちらから

GビズIDとは何かの解説

GビズIDについては以下のブログでも解説していますのであわせてご覧ください。

GビズIDを使いこなして行政サービスへのアクセスを効率化!

 

私たちは第1回の公募から、さまざまなお客様の支援をさせていただいておりますが、採択される企業と不採択になる企業の大きなポイントは真剣に事業計画を描けているかどうかです。

「補助金出るらしいからちょっと申請してみようかな…」というような軽い気持ちで作られた事業計画書は、残念ながら採択されませんし、そういった書類は読めば一目でわかります。どういった点に注意すべきか、現状の問題点はどこか、我々が過去お手伝いしてきた中で得た知見を元にサポートさせて頂きます。

初回相談は無料ですので、事業再構築補助金の申請をお考えの方はお気軽にお問合せください

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