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マイナス金利は我々にどのような影響をもたらすか?

記事作成日2016/04/06 最終更新日2022/05/23

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マイナス金利とは?

日銀が政策金利をゼロ%より低い水準にする政策で、2月16日から民間銀行が日銀の当座預金に預けるお金について、マイナス0.1%の金利が付きました。民間銀行が民間企業への融資、有価証券の購入に資金を振り向ける事が期待されています。

企業や家計への影響は?

①企業への影響

銀行が短期資金をやり取りする東京銀行間取引金利(TIBOR)が約10 年ぶりの低水準、長期プライムレートも過去最低の1.0%まで引き下げる発表が出ている事から、銀行から融資を受けている場合、借入金利の引き下げ交渉がしやすくなります。

また新規融資ついても銀行は積極的な対応が予測されると報道されている一方、銀行の収益が圧迫される為、融資に消極的な対応も予測されるとも報道されております。勿論、マイナス金利だからといって融資基準が緩くなる事は有り得ませんので、従来通りの堅実な計画経営が必要です。

②家計への影響

3メガバンク(三井住友銀行・三菱東京UFJ 銀行・みずほ銀行)は普通預金金利を年0.02%から年0.001%に引き下げ、家計が受け取る利息は少なくなります。一方で住宅ローン金利も引き下げが始まり住宅ローン負担は和らぐ見通しです。

その他では運用商品や保険に影響が及んでいます。国債の利回りが低下した為、運用会社が相次いで安全性の高い投資信託等の新規購入受付を停止したり、一時払い終身保険など貯蓄型保険の値上げをした保険会社もあります。

欧州から学ぶマイナス金利の影響

2012 年から15 年にかけて欧州の各中銀や欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利を導入しました。その結果、銀行の貸出金利は大きく低下し銀行融資が上向きましたが、小幅なプラスで勢いを欠いています。最大の理由は資金需要の弱さとマイナス金利で収益が減少した銀行が高リスク融資に尻込みしたことです。

一部の銀行では収益確保を優先する為に住宅ローン金利の引き上げがありました。マイナス金利は世界でも導入例が少なく、欧州の経験からも評価が割れている為、柔軟な対応が必要となっています。これらの状況を踏まえた上で、TOMA コンサルタンツグループでは資金調達支援や金融機関交渉等のご相談もお受けしております。