つい「君はいらない、クビだ」と言ってしまったが最後、泥沼に・・・
先日採用したばかりの新入社員A。しかし、どうも仕事に使えなくて、憤りを抑えられず、つい「クビ」と発言してしまった。次の日からAは会社に出社せず、一安心していたところ、しばらくして届いたのが“解雇無効、残業代過去2年分200万円支払え”という旨の内容証明郵便だった。「仕事ができなかったAが悪いのだから、支払いに応じる必要はないだろう・・・」
その後、Aと損害賠償請求を受けた会社との争いは1年以上続き、結局会社は和解金として160万円を支払うことになった。
「クビ」と言わずに、いったいどうすれば良かったのか?
「クビ」は、従業員本人の意思に反して強引に退職させる発言(いわゆる解雇)であり、会社からの一方的な労働契約の解除になります。 もとはといえば、能力不足のAを採用してしまった会社に問題がありますが、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効」(労働契約法16条)となり、損害賠償や賃金請求をされるリスクがあります。
このような解雇無効とならないようにするためには、慎重な対応が求められます。
退職勧奨とは?
訴えられないための代表的な方法として“退職勧奨”があります。“退職勧奨”とは、会社が従業員に“合意退職の申込み”や“退職の意思表示”を勧めるなど、退職を求める行為を言います。解雇とは違い、退職勧奨は労使での話し合いであり、いつ、誰に対しても行うことができます。あくまでも「辞めてほしい」という会社からのお願いに過ぎず、従業員は自由に断ることができますので会社に強制力はありません。
退職勧奨を成功させるために
退職勧奨を進めるにあたり、適切に面談を行い、退職における不安を取り除くことで、従業員の退職の意思を引き出しやすくします。
<退職勧奨面談での注意点>
① 明確に退職拒否する従業員に、特段の理由もなく勧奨を続けない ② 従業員の自由な意思決定を妨げる言動や監禁等を行わない ③ 退職勧奨の回数や期間が通常必要な限度を超えない 等 |
<従業員の不安を取り除く要素>
① 退職金の割増や、数ヶ月分の給与補償を行う ② 離職理由を会社都合とし、すぐ失業給付を受給できるようにする ③ 残った有給休暇を買い取りや有給休暇で就職活動を認める 等 |
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