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医業継続のための「持分なし医療法人」への移行促進

記事作成日2020/08/17 最終更新日2022/06/13

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先生の医療法人は「持分あり」医療法人でしょうか。「持分なし」医療法人でしょうか。

「持分あり」医療法人の場合は、出資者に多額の払戻しが発生する可能性があります。また、相続人の方に多額の相続税が発生する可能性があります。

「持分」について

持分とは、出資額に応じて払戻し、または残余財産の分配を受ける権利です。これは、出資者が出資額の割合に応じて、財産の払戻しができる権利を指します。「持分あり医療法人」とは、出資者が財産の払戻しの権利を有している法人のことを言います。

「持分のリスク」について

財産の払戻しは、その時点の法人資産の持分割合に応じて分配されます。

例えば、2人の出資者A、Bが法人の設立時にそれぞれ出資(A:1,800万円、B:600万円)をし、現時点でその法人の資産が50倍になった場合は、出資者A、Bはそれぞれ9億円(1,800万円×50)、3億円(600万円×50)の払戻しの権利を有することとなります。

この出資者Aが医療法人に払戻しを求めた場合、医療法人に9億円という多額の支払義務が生じることとなり、また出資者Aに相続が発生した場合、既存の財産にこの9億円を追加した上で相続税の計算をすることになります。

相続人が相続税を支払えない場合、相続人が医療法人に払戻請求をすることが考えられ、医療法人にとってのリスクとなります。

「持分なし医療法人」への移行促進策

持分のリスクを回避するため、「持分なし医療法人」への移行促進策があります。

相続等により相続人が「持分あり医療法人」の持分を取得した場合、その法人が移行計画の認定を受けた医療法人であれば、移行計画の期間満了まで相続税の納税が猶予され、持分を放棄すれば猶予税額は免除されます。

「持分なし医療法人」への移行は、医療法人による任意の選択が前提であり、強制ではありません。また持分なしへの移行は、出資者の財産権の放棄を意味します。もらえるお金がもらえなくなることを意味しますので、慎重な判断が必要になります。

さらに詳しく知りたい方は、TOMAのヘルスケア事業部へお問い合わせください。