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キャッシュレス決済と消費税率引上げ

記事作成日2019/06/17 最終更新日2019/08/13

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◆キャッシュレス決済と消費税率引上げ

 今年10月1日、消費税率の引上げが予定されています。引上げによる需要減少を抑えるため、政府が打ち出した対策の1つにキャッシュレス決済のポイント還元があり、5月には補助を受けるための登録がスタートしています。本記事では、ポイント還元事業の制度内容を確認していきます。

◆制度の仕組みと参入のメリット

 キャッシュレス決済のポイント還元事業で国から補助金を受け取るのは、キャッシュレス決済事業者となります。中小・小規模事業者は決済事業者に加盟店登録をして、消費者は決済事業者からポイント発行を受けます。
 キャッシュレス化を導入する中小・小規模事業者にもメリットがあります。第一に挙げられるのは、事業の目的であるポイント還元による集客効果です。消費税率引上げよる買い控えの抑制が期待されており、キャッシュレス導入していない店舗に比較してより多い集客が見込まれます。
 第二に、自己負担なくキャッシュレス決済を導入できることがあげられます。決済端末等は各決済事業者から提供されるので、現在キャッシュレス決済を導入していない事業者が参加するハードルも低くなっています。
 そして第三のメリットとして、9か月の実施期間中は決済手数料が引き下げられる点が挙げられます。還元事業に参加する決済事業者は決済手数料を3.25%以下にすることが決められているほか、手数料のうち1/3については国が補助することとなっており、実質的な手数料は2.17%程度となります。

◆医療機関は対象外、薬局は一部対象

 注意点としては、保険医療機関が登録対象外であることが挙げられます。保険適用外の自由診療についても補助対象外とされているため、結果、すべての医療機関での診療は補助の対象外となります。
 また院内売店についても、保険医療機関が運営する売店は登録対象外となります。一方で、売店運営がMS法人など登録対象事業者であれば、補助を受けることが可能です。
 保険薬局は登録対象外とされていますが、保険薬局であってもOTC薬品や日用品等の消費税課税取引は補助対象となります。

◆対象となる「中小・小規模事業者」とは

 ポイント還元事業の対象となる中小・小規模事業者は、原則として業種別に定められた資本金額や従業員数の要件を満たす必要があり、医療機関をはじめ一部業種や一部取引については対象外になるとされています。
 また、業種ごとの定義に該当する場合であっても、直近3年分の課税所得が年平均15億円超となる場合は補助対象外となることが定められています。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会(経産省監督下)「キャッシュレス消費者還元事業」<https://cashless.go.jp/

◆対象となる決済手段

 制度要件となっているキャッシュレス決済手段には、クレジットカード・デビットカード・電子マネー・QRコードなど、一般的な購買に繰返し利用できる電子的決済手段のみが認められています。制度参加を検討する場合、利用する決済事業者が制度要件を満たすかの確認が必要になります。

◆税制改正と対策

 6月11日に政府が公表した経済財政運営の基本方針の素案では、今年10月に消費税率を10%に引き上げると明記しています。これまでは増税延期を掲げた衆院解散が懸念されていましたが、選挙を見送る方向が強まったことで増税延期の可能性がほぼなくなりました。
 税制においては、消費税率引上げだけでなくほぼ毎年改正がされています。競合する他社との条件が変わらないのであれば、ここで他社に先だって対策を打つことが肝要です。

 より詳しい情報をお求めの場合は、TOMAまでお問い合わせください。

★TOMAの医療・介護・ヘルスケア業支援サービス → https://toma.co.jp/service/hieiri/hospital/

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