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公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例

記事作成日2021/01/28 最終更新日2021/01/28

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みなさんこんにちは。

今回は、公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例が適用される際の承認要件の具体的な判定基準や承認を受けるための手続きについてご説明します。

個人が土地、建物などの資産を法人に寄附した場合には、これらの資産は寄附時の時価で譲渡があったものとみなされ、これらの資産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税されます(所得税法第59条第1項第1号)。

ただし、これらの資産を公益法人等に寄附した場合において、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、この所得税について非課税とする制度が設けられています(租税特別措置法第40条)。

それではさっそく承認要件から確認していきましょう!

  1.承認要件とは
国税庁長官の承認を受けるためには、次の①から③の全ての要件を満たす寄附であることが必要です。

①寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること。

②寄附財産が、その寄附日から2年を経過する日までの期間内に寄附を受けた公益法人等の公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであること。

③寄附により寄附をした人の所得税の負担を不当に減少させ、又は寄附をした人の親族その他これらの人と特別の関係がある人の相続税や贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められること。

ここで、③の要件の具体的な判定基準について確認します。

次の①から⑤までの全てを満たしているときに、所得税又は贈与税若しくは相続税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められます。

①公益法人等の運営組織が適正であるとともに、その寄附行為、定款又は規則において、理事、監事及び評議員のいずれにおいても、そのうちに親族関係がある人及びこれらの人と特殊の関係がある人の数の占める割合を3分の1以下とする旨の定めがあること。

②寄附をした人、寄附を受けた公益法人等の理事、監事及び評議員もしくは社員又はこれらの人の親族及び特殊の関係がある人に対し、施設の利用、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、役員等の選任その他財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を与えないこと。

③寄附を受けた公益法人等の寄附行為、定款又は規則において、その公益法人等が解散した場合の残余財産が国若しくは地方公共団体又は他の公益法人等に帰属する旨の定めがあること。

④寄附を受けた公益法人等につき公益に反する事実がないこと。

⑤寄附により公益法人等が株式の取得をした場合には、その取得によりその公益法人等の保有することとなるその株式の発行法人の株式(寄付前から保有する株式を含む。)がその発行済株式の総数の2分の1を超えないこと。
(⑤については、公益法人等が寄附により株式を取得した場合に限ります。)

 2.承認を受けた後、承認要件に該当しなくなった場合
国税庁長官の非課税承認を受けた寄附であっても、その後承認要件に該当しなくなった場合には、その承認を取り消すことができます。

寄附を受けた公益法人等が寄附財産を公益目的事業の用に直接供する前に承認が取り消された場合は、寄附をした人に所得税が課税されます。

また、寄附を受けた公益法人等が、寄附財産を公益目的事業の用に直接供した後に承認が取り消された場合は、寄附を受けた公益法人等を個人とみなして所得税が課税されます。

   3.公益法人等に対する課税(持分の定めのない法人に限る。)
公益法人等に対して財産の寄附があった場合において、その寄附によりその寄附した人の親族その他これらの人と特別の関係がある人の相続税や贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、寄附を受けた公益法人等に対して相続税や贈与税が課税されます。

  4.承認を受けるための手続
国税庁長官の承認を受けようとする人は、「租税特別措置法第40条の規定による承認申請書」を提出しなければなりません。

 〇申請書を提出する人
申請書を提出する人は、寄附をした人です。遺贈の場合や申請書を提出する前に寄附をした人が死亡している場合は、寄附をした人の相続人及び包括受遺者が申請書を提出します。

 〇申請書の提出先
寄附をした人の所得税の納税地の所轄税務署長に提出します。

 〇申請書の提出期限
寄附の日から4か月以内です(ただし寄附が11月16日から12月31日までの間に行われた場合は、寄附をした年分の所得税の確定申告書の提出期限までとなります。)。

今回のご説明は以上となります。

弊社グループでは公益法人様向けの会計、税務、運営等にかかる各種ご相談を承っております。
ご用命がございましたら是非お問い合わせ頂ければ幸いです。

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