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顧問税理士を変更したい…ベストタイミングや手続きの流れ、注意点などを詳しく解説

記事作成日2022/08/08 最終更新日2023/06/05

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経営者の方にとって、顧問税理士は事業のパートナーとして欠かせない存在です。それだけに、さまざまな事情から「顧問税理士を変更したい」と考える場面が出てくるかもしれません。経営者の方にとって、顧問税理士は事業のパートナーとして欠かせない存在です。それだけに、さまざまな事情から「顧問税理士を変更したい」と考える場面が出てくるかもしれません。

本記事では、顧問税理士を変更するベストタイミングをお伝えします。また、具体的な変更手順や変更時の注意点も解説するため、現在の顧問税理士との契約解除を検討中の方はご一読ください。

なお、TOMAコンサルタンツグループでは税理士変更に際して、リスク・トラブルなきように顧客視点でサポートさせていただいております。税務顧問サービスの詳細はこちらから資料をダウンロードできますのでご覧ください。

顧問税理士の変更を検討すべきシーンとは?

顧問税理士を変えるには、大変な手間と労力がかかるイメージがあります。しかし、顧問税理士は税務面から事業をサポートする重要な役割を担うため、無理に契約を継続すれば、事業に支障が出るおそれもあります。

具体的に、顧問税理士の変更を検討すべきシーンは以下のとおりです。

 税理士の対応に不満を感じている
□ 期待したほどの節税効果が得られていない
□ 経営者との相性が合わない
□ 現在税理士に支払っている報酬が高いと感じている
□ 経営者が代替わりしたため、パートナーを一新したい
□ 自社の経営方針が大きく変わり、税理士へのニーズが変化した
□ 担当の税理士や税理士事務所の体制が変わり、不便を感じている

期待どおりのサービスを受けられなかったり、どこか相性が合わなかったりと不満がある場合は、我慢せずに顧問税理士変更を考えたいところです。税理士との信頼関係を築けないまま放置していると、あとで大きな問題に発展するおそれもあります。

また、これまで問題なく付き合いを続けられていても、経営者の代替わりや経営方針の転換、税理士事務所の体制変更などで合わなくなるケースもあるでしょう。既存の顧問契約にこだわらず、常に現状にマッチする税理士を選びたいものです。
関連記事:顧問税理士の費用相場とは?高い税理士と安い税理士の違いや報酬を抑えるコツも紹介

顧問税理士を変更するベストタイミングとNGタイミング

顧問税理士変更のベストタイミングは、現在の税理士の契約満了時期のほかに2つあります。また、顧問税理士の変更をしないほうが良いタイミングも、併せて確認しておきましょう。

ベストタイミング:法人税申告書を提出した直後

どの会社も事業年度の終わりには確定申告があり、決算日の翌日から2ヵ月以内に法人税申告書を提出しなければなりません。つまり、法人税申告書の提出直後は当年度と次年度の税務業務の境目にあたるため、顧問税理士を変えるには絶好のタイミングといえます。

例えば、3月末決算の会社なら6月頃、9月末決算の会社なら12月頃には法人税申告書の提出を終えているはずです。このように法人税申告書の提出期限から逆算し、顧問税理士変更に向けて動くとスムーズに移行できるでしょう。

ベストタイミング:税務調査が完了した直後

税務調査が入った場合は、税務調査が終わり、結果をもらったあとが顧問税理士変更のベストタイミングです。税務調査では、確定申告の申告内容に誤りがないかをチェックされます。そのため、税務調査に関する相談や調査当日の立ち会いは、関連書類の作成に関与した税理士に依頼するのが確実です。

税務調査が入りやすい時期は会社の決算期によって異なり、2月~5月決算の法人は7月~12月調査、6月~1月決算の法人は1月~6月調査となる傾向にあります。もし税務調査が決定したときは、調査が完全に終わるまで顧問税理士の変更を見送るほうがよいでしょう。

NGタイミング:決算の3ヵ月前から、法人税申告書の提出までの期間

決算の3ヵ月前から法人税申告書を提出するまでの期間に、顧問税理士を変更するのは避けたほうが無難です。決算では事業年度内の利益や損失を正確に計上し、会社の1年間の業績をまとめたり、税額を算出したりするため、少なくとも3ヵ月ほどの準備期間を要します。当年度の税務処理や相談内容を把握している税理士をこのタイミングで外してしまうと、決算書類の作成に問題が生じるかもしれません。

決算までの残り期間が3ヵ月を切っている場合は、当年度の決算業務までは現在の顧問税理士に任せましょう。例えば、3月末に決算を迎える会社なら1月以降の顧問税理士変更は控え、法人税申告書の提出が完了する6月頃に向けて準備を進めるのがおすすめです。

顧問税理士を変更する手順

顧問税理士を変更する手順は全部で5ステップです。ここでは、各ステップでやるべきことを詳しく解説します。

STEP(1)現在の顧問税理士との契約内容を確認する

まずは現在の顧問税理士と締結した契約書を見て、契約期間や解除条項など契約内容を確認しましょう。税理士の顧問契約期間は、事業年度開始から決算日までの1年間が一般的ですが、1年以上の長期契約を結んでいる可能性がないとは限りません。なかには解除申告をしなければ自動更新されるような契約もあるため、いつまでに解除申告が必要なのかも必ずチェックしてください。

注意点として、契約書に定めた期間以外の契約解除は違約金が発生するケースもあります。また、すぐに契約解除をしたくても、税理士から書類やデータを返してもらうのに時間がかかるかもしれません。トラブル回避のため、現在の顧問税理士との契約内容をよく確認したうえで行動しましょう。

STEP(2)顧問税理士を切り替える時期を決定する

次に、新旧顧問税理士の契約開始日・契約終了日をそれぞれ具体的に決め、切り替え時期を明確化します。前述したとおり、以下が顧問税理士変更のベストタイミングです。

□ 現在の顧問税理士との契約が満了する時期
□ 法人税申告書を提出した直後
□ 税務調査が完了した直後

ただし、これはあくまでも一般論にすぎません。自社の状況や顧問税理士のスケジュールに応じて、適切な時期を見極めて決定することが大切です。

STEP(3)現在の顧問税理士に契約解除の旨を伝える

現在の顧問税理士との契約内容に沿って、解除申告期限までに契約解除の意志を伝えます。その際はできるだけ波風が立たないよう、丁寧な対応を心がけましょう。もし揉めてしまうと、顧問税理士に預けている書類やデータの回収がスムーズにできなくなるおそれがあります。

たとえ現在の顧問税理士に対し不満を持っているとしても、強い言葉で本音や文句をぶつけるのは得策とはいえません。相手に不快感を与えず大人の対応に努めることは、結果として自社のためにもなります。

STEP(4)現在の顧問税理士に預けている書類を回収する

現在の顧問税理士に預けている書類やデータは確実に回収し、次の顧問税理士に引き継がなければなりません。そのため、現在の顧問税理士に契約解除の了承を得たら、書類やデータの返却を忘れずに依頼しましょう。

回収すべき書類の代表例は、以下のとおりです。

□ 決算書
□ 総勘定元帳
□ 登記簿謄本
□ 定款
□ 償却資産申告書
□ 年末調整関係書類
□ 給与明細など給与管理書類
□ 法定調書
□ 試算表
□ 仕訳帳
□ 請求書や領収書
□ 税務相談に関する資料やデータ全般

新しい顧問税理士に、会社の状況やこれまでの会計処理方法を把握してもらうため、また税務調査が入ったときに対応するためには、少なくとも過去3期分の書類が必要です。直近分だけでなく、過去分の書類やデータまできちんと返却してもらいましょう。

STEP(5)現在の顧問税理士の業務終了日までに新しい税理士を見つける

現在の顧問税理士との契約が終了する前に、新しい顧問税理士を見つけて業務を開始してもらいましょう。顧問税理士のいない期間があると不都合が生じる可能性もあるため、余裕を持って手配を進めることが大切です。なお、業務の引き継ぎは税理士間では行なわれないのが一般的であるため、依頼者側が必要な書類やデータをそろえ、新しい顧問税理士に引き渡します。新しい顧問税理士が滞りなく業務を始められるよう、しっかりと体制を整えておきましょう。
関連記事:失敗しない顧問税理士の探し方・選び方とは?ニーズに合う税理士を見つける方法を解説

顧問税理士を変更する際の注意点3選

顧問税理士の変更手続きが不安な方は、これから解説する3つの注意点を確認しておきましょう。これらを押さえておくことで、スムーズに手続きを進められるはずです。

顧問税理士の変更は計画的に進める

顧問税理士の変更は、思い立ってすぐにできることではありません。そのため、顧問税理士変更の必要性を感じた時点で新しい税理士を探し始め、計画的に手順を踏んでいくことが重要です。現在の顧問税理士との契約内容や会社のビジョン、決算スケジュールなどを考慮しつつ、抜け漏れのないよう綿密な計画を立てて進めましょう。

顧問税理士に預けた書類は確実に回収する

税理士に管理を依頼する書類の多くは、会社の機密情報を含んでいます。次の税理士に引き継ぐ必要があるのはもちろんですが、情報漏えいリスクを最小限に抑えるためにも確実に回収しましょう。現在の顧問税理士に契約解除を申し出た時点で、書類の返却がいつになるのかを確認し、できるだけ速やかに返却してもらってください。

新旧顧問税理士の「開始日」と「終了日」を明確に定める

顧問税理士が不在の期間があると、会社運営に悪影響が生じる可能性があります。例えば、顧問税理士がいないときに税務調査が入ってしまうと対応が困難です。税務調査の事前準備や当日対応に追われて事業に集中できないばかりか、顧問税理士のサポートがないために自社にとって不利な結果を招きかねません。

顧問税理士を変更する際には、「新顧問税理士の契約開始日」と「旧顧問税理士の契約終了日」を明確にし、スムーズに切り替えられるようタイミングの調整が必要です。

まとめ

事業を営むうえで重要なパートナーとなる顧問税理士は、妥協せず心から信頼できる人物を選びたいものです。顧問税理士を変更する際には、切り替えのタイミングや契約解除の意志の伝え方など、配慮すべき事柄が数多くあります。それでも現状に不満がある場合は、将来を見据えて積極的に顧問税理士の変更を検討しましょう。

顧問税理士の変更は、顧問契約数1,000件以上、充実のサポート体制が自慢のTOMAコンサルタンツグループにご相談ください。税務顧問サービスの詳細はこちらから資料をダウンロードできますのでご覧ください。初回のご相談は無料で承ります。以下のお申し込みフォームよりお気軽にお問い合わせください。

監修 TOMA税理士法人

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 法人経営支援部

書類作成や申告業務などの税務・会計業務はもちろん、そこから見えてくる課題をわかりやすくご説明し、改善策をご提案します。企業の規模・業種を問わず、最適なサービスを提供いたします。

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