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減価償却資産と修繕費~税務調査で指摘されないためのポイント~

記事作成日2020/04/20 最終更新日2020/12/09

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今回は、前回掲載した【役員報酬 ~税務調査で指摘されないためのポイント~】に続きまして、「減価償却資産と修繕費」の観点から税務調査で指摘されないためのポイントをみていきたいと思います。修繕費と減価償却資産の判定基準についても詳しく解説いたします。

ぜひこの機会に一度見直してみてください。

修繕費と減価償却資産の判定基準

き損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となります。そして、一般的には時の経過等によってその価値が減りますので、このような資産を減価償却資産といいます。判定基準についてそれぞれ説明いたします。

減価償却資産の税務調査時のポイント

減価償却資産において、税務調査の際に特に気をつけたいポイントは2つあります。

1.取得価額

減価償却資産の取得価額は、付随費用も含めて算定します
例えば、購入手数料・引取運賃・関税・設置費用等です。その資産を購入するために必要な費用や事業の用に供するために要した費用は取得価額に含めなければなりません。

また、最近ではAIやRPA(robotic process automation)を取り入れるなど,ソフトウェアを活用したシステム化が進んでいます。
ソフトウェアの基本的な取得価額の算定方法は以下の通りです。
研究開発費のうち「収益獲得又は費用削減にならないことが明らかなもの」以外は資産計上が求められています。

(1)ソフトウェアを購入した場合
付随費用も含めて算定します。また、ソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業や自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額も取得価額に算入します。

(2)自社で製作した場合
そのシステムを製作するために要した費用(労務費,原材料費,委託費等)が取得費となります。

ここで注意するべき点は、外部に委託したシステム等に社内の者が開発や製作に携わる場合です。その者たちの人件費等の費用を資産計上すべきかの判断が重要なチェック項目となります。特に,組織図にシステム関連部署がある場合は注視されますのでお気を付けください。

なお、以下に掲げる費用については、取得価額に算入しなくてもよいとされています。

(1)次のような租税公課等
a. 不動産取得税又は自動車取得税
b. 新増設に係る事業所税
c. 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

(2)建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用

(3)いったん結んだ減価償却資産の取得に関する契約を解除して、他の減価償却資産を取得することにした場合に支出する違約金

(4)減価償却資産を取得するための借入金の利子(使用を開始するまでの期間に係る部分)

(5)割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合その利息や費用

2.事業供用日

事業供用日は、「償却を開始する日」に当たることから重要な事項の一つとなります。

「事業の用に供した日」とは、一般的にその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日をいいます。例えば,機械等を購入した場合は、機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、その機械を据え付け,試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日となります。

調査官はいつの時点で試運転が終了し、事業の用に供したかを確認します。この過程で工場の見学を行う場合もあります。事業供用日を指摘されてしまった場合、費用として計上できる額が少なくなってしまうため金額によっては税額に大きな影響を与えてしまうかもしれません。

修繕費の税務調査時のポイント

修繕費も税務調査でよく指摘される項目です。修繕にかかわる費用の中には資産として計上するべきものもあります。具体的には、下記にような場合があり、資産の取得として資産計上し減価償却することとなります。

(1)使用可能期間を延長させる部分

(2)価値を増加させる部分

また、原状維持・回復、管理に対応する部分は、修繕費となります。国税庁の通達では、資本的支出を以下のように例示しています。

(1)建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額

(2)用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額

(3)機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たります。

調査官は、修繕費等として費用計上されているものの中に、資本的支出となるものがないか、修繕に係る稟議書や見積書,(修繕の)完了報告書,領収書等を確認します。特に稟議書には修繕を行う目的や予測される効果,見積書等には実際の修繕の内容が記載されているので、資本的支出であるかを判断する材料となります。

資本的支出と修繕費の判断に悩んだら…

ここまで減価償却資産と修繕費の気を付けるべきポイントについて書いてきました。修繕費、減価償却資産については税務調査でもよく指摘される点なので注意する必要がございます。実際にどこまでを取得原価に含めるのか、資本的支出と修繕費の具体的な判断は難しく悩まれる方も多いと思います。ぜひ、TOMA税理士法人にご相談ください。

またTOMA税理士法人では《模擬税務調査》も行っておりますので、ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。