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消費税 価格転嫁対策特別措置法について

記事作成日2019/11/12 最終更新日2022/02/03

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価格転嫁対策特別措置法って?

消費税の増税に伴い、消費税の適正な転嫁を促すべく2013年10月1日に施行された法律です。正式名称を「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」といいます。

増税後も税込価額を据え置くような、いわゆる「下請けいじめ」や、消費税の転嫁がされていないことを示すなど相手方の誤認を招くような表示・広告等を禁止しています。

主な注意点は?

まずは自社の取引先(下請け先)に対して適正に消費税を転嫁できているか確認することが大切です。
自社に下請けいじめをしている意識がなくても、気づかないうちに消費税の価格転嫁が漏れてしまっている可能性があります。具体的な計算例に沿って見てみましょう。

 自社:法人
取引先:個人事業主
取引概要:取引先である個人事業主と外注加工契約をしており、
外注加工単価150,000円(税込)について、消費税が10%に増税後も
税込価額を据え置いて支払いを行っている。

 消費税増税前:8%
150,000円(税込価額)÷1.08 = 138,888円(本体価額)
 消費税増税後:10%
150,000円(税込価額)÷1.10 = 136,363円(本体価額)
 差引 2,525 円

税込価額を据え置くことにより、増税前後で本体価額に2,525円の差が生じてしまいます。この本来転嫁されるべき消費税が転嫁されず、実質的に本体価額が値引きされている状況が下請けいじめです。

中小企業庁の検査

中小企業庁は上記のような取引等を是正すべく、「消費税転嫁対策室」を設置し、適正な取引が行われるよう「転嫁対策G メン」による検査を強化しています。

この検査により、過去の増税時(5%)~現在(10%)までの本体価額を引き下げた分の累積額を取引先に対して適正に支払うように指導が行われることもあり、累積額を一時に支払うことで自社の財務に多額の影響を及ぼす恐れがあります。

よって今一度、自社の下請け先に対する契約・支払内容を精査することが大切です。


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