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法人の税務調査で知っておきたい基礎知識

記事作成日2018/08/31 最終更新日2022/10/26

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決算後の税務申告が正しく行われていることを確認する、法人の税務調査。申告内容に誤りがあれば、申告を修正したり、追加で税金を支払ったりしなければなりません。

税務処理に余計な時間を割かないためにも、法人の税務調査の頻度や期間、準備に必要な書類など事前に把握し、基礎知識を身につけましょう。

税務調査の対象になりやすい法人とは?

税務調査の対象になる法人は、5年に1度程度調査対象になる可能性があります。そのほかには、不正が良く見つかる業種や、売上以上に経費が伸びる法人も対象になりやすい場合はあります。

税務調査の頻度

 法人を対象とした税務調査は、およそ5年に1回の頻度で行われます。また、法人の規模によって実施日数や調査官の数が異なります。1日だけの簡易調査を調査官1人でこなすときもあれば、2日以上かけて複数人で税務調査を行う場合もあるでしょう。

実際の税務調査では、朝10時ごろから始まり、夕方4時ごろに終わります。午前中は聞き取り調査、午後には帳簿を中心とした書類確認が行われます。書類のほかにも、現場にある金庫や机、パソコンなどが調べられるときがあるので覚えておきましょう。

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税務調査の期間 

税務調査でチェックされる申告内容の期間は、過去5年分となります。もし脱税の疑いがある場合には、7年間が税務調査の対象期間です。

また税務調査が実施される期間は、原則として1年中とされています。しかし、税務署内の人事異動が6月末に行われ、1~3月では確定申告により税務署は繁忙期となります。さらに3月末に決算がある法人では、5月31日までが申告期限です。

このような事情を踏まえると、税務調査の実施期間で一番多いのは8~12月といえるでしょう。

税務調査の内容 

税務調査には、「準備調査」と「実地調査」があります。準備調査では、調査官が独自に収集した情報を、法人から申告を受けた内容と照らし合わすことによって、重視すべき調査項目を分析します。

一方で、実地調査には「一般調査」「現況調査」「特別調査」「反面調査」の4つがあります。

一般調査

帳簿などから申告内容が正しいかを確認するのが、一般調査です。
必要に応じて、倉庫や工場、店舗などの現場確認も行います。

現況調査

現況調査は、事前連絡なしの抜き打ち調査です。
飲食業やサービス業といった現金商売の法人に、現況調査が入りやすいとされています。
ただし強制捜査ではないため、後日あらためて税理士立ち会いのもとで行うなど、日程の調整が可能です。

特別調査

一般調査よりも、さらに詳しく長期間にわたって行われるのが、特別調査です。
大企業やグループ企業といった、事業規模の大きな法人が対象になりやすいとされています。
また、多額の不正所得が疑われる法人にも特別調査が入ります。

反面調査

調査対象の法人のほかに、付き合いのある銀行や取引先にも調査が行われるのが、反面調査です。
現況調査同様、事前の通知はありません。脱税の疑いがあれば、従業員の家族や退職者にまで調査範囲がおよびます。

税務調査のための準備

税務調査では、さまざまな書類の提出を求められます。調査が入る前に、書類がきちんと揃っていることを確認しておきましょう。

会社の基本書類

・会社の定款
・株主総会や取締役会の議事録
・登記を変更した場合の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・従業員の雇用関係書類
・旅費や退職金規定の書類など

売上に関する書類

・請求書
・見積書
・受注書の控え
・契約書など

仕入や経費に関する書類

・支払い領収書
・請求書
・納品書
・発注書など

その他の書類

・一人別源泉徴収簿
・源泉所得税の納付書控え
・資産等の売買をした際の契約書など

税務調査とは、取引の処理が税法にもとづいて正しいのかを判断するために行うものです。つまり「法的な解釈の仕方」が重要ポイントであり、調査官からの質問に対してどのように回答したのかで調査結果も変わります。たとえば、帳簿の不備を指摘されたからといって感情的な発言ばかりしていると、税務調査では不利になってしまいます。

社長や経理担当者は、指摘事項を真摯に受け止めて、冷静に対応することを心がけましょう。

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税務調査に万全の状態で臨むには?

税務調査は、およそ5年に1回、2~3日を目安に行われる調査です。過去5年分の帳簿や書類を揃えていれば、そこまで不安に感じるものではありません。しかし、調査官からの質問にきちんと答えられないと、申告内容に誤りがあると判断されやすくなります。

法人の税務調査に不安を抱えている方は、事前に税理士の相談を受けるか、会社で顧問税理士を雇うようにしましょう。

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