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グループ法人単体課税制度

記事作成日2018/02/14 最終更新日2021/01/13

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企業統治のあり方が変化していく中、その変化に対応すべく会計や法律の整備が行われてきました。法人税法においても、その組織形態の多様化に対応するために、平成22年の税制改正においてグループ法人税制が創設されました。今回はそのグループ法人税制にあるグループ法人単体課税制度について説明いたします。

グループ法人単体課税制度とは

連結納税制度を採用していない企業のグループ内取引等について実態に即した課税を行うことで、課税の公平性や中立性を保つことを目的とした制度です。
適用対象となる法人は、資本金の額や売り上げ等の規模とは関係なく100%資本関係にある法人について強制適用されます。この資本関係の頂点にあたるものが個人や外国法人であっても、この制度の適用の対象となります。

主な取り扱い

100%グループ法人間での取引は、実態に即した課税を行うため、通常の企業間での取引とは異なる部分があります。主な取り扱いについては下記のようなものがあります。

(1)資産の譲渡損益の繰り延べ
通常、資産の譲渡は、その譲渡した資産の価額と対価の額が異なるときは譲渡損益が発生します。しかし、100%グループ内の法人間で行われた一定の資産の譲渡は、その時点では譲渡損益を認識されず、その後の取引等で第三者に引き渡された場合など一定の時点で損益が認識されることになります。

(2)寄付金の損金不算入
寄付金の支出をした場合、その寄付をした法人は一定の範囲内での損金算入が認められ、受け取る法人については寄付金の全額が受贈益として益金に算入されます。しかし、グループ内における寄付金は、支出した法人はその全額が損金に算入されず、受け取った法人においてはその全額が益金に算入されません。ただし、この規定は一定の支配関係にある場合に限ります。

(3)受取配当等の益金不算入
従来、100%子会社からの受取配当等について、負債の利子に相当する額を控除した残額が益金不算入とされていました。しかし改正後は100%子会社からの受取配当等の全額が益金不算入となります。この対象となる法人は、配当等の計算期間の開始の日から末日まで、継続してグループ内の法人であるものに限ります。

他にもグループ法人間での取引についての取り扱いが通常の企業間で行われる場合とは異なることがあります。詳しい内容について知りたい場合やご不明点等ございましたら、いつでもご相談ください。