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個人事業の事業承継

記事作成日2018/01/16 最終更新日2020/05/20

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事業承継というと、会社の経営者である社長が、次の社長にバトンタッチをするというイメージが強いと思います。実際はもっと複雑ですが、イメージとしてはその通りで差し支えありません。
しかし、世の中に存在する「事業」が必ずしも会社組織のような「法人」の形態をとっているとは限りません。中には「事業」を「個人」で行っている場合も多くあります。

◆個人事業の事業承継

個人事業を事業承継すると、どんなことが起こるのでしょうか。法人の事業承継と比べると、個人の場合は、資産承継という点で大きく異なってきます。法人の事業承継の場合は、承継する会社の株式をどのように承継していくかが検討事項の中心となります。
しかし、個人事業の場合は株式というものが存在せず、その事業に関わるすべての財産をひとつずつ承継する必要があります。例えば、不動産や設備などの資産だけではなく、負債についても考慮する必要があります。

◆個人と法人、どちらが有利か

個人事業を承継する場合と、法人事業を承継する場合ではどちらが有利なのでしょうか。有利という点を何で判断するかにもよりますが、一般的には法人事業を承継するほうが、事業承継の容易さという点では優れています。
というのは、個人事業者の場合、その事業に係る契約については、個人に帰属しているため、後継者は契約を一から締結しなおす必要があります。従業員の雇用契約や社会保険の手続きも面倒です。また、業務上必要な許認可についても承継することができません。

◆税務面での比較

個人事業の場合は、単純に計算すると、資産から負債を引いた純資産の部分に相続税が課税されます。一方、法人の場合は、株式の評価をすることになりますが、純資産を基にした評価額のほか、配当や所得、純資産を基にした類似業種比準価額も用います。多くの場合、純資産評価額よりも類似業種比準価額のほうが低い評価額となります。例えば、会社の規模が小会社である場合は、類似:純資産=50:50になりますので、純資産評価額よりも評価額が下がることが多々あります。こうした点を踏まえると、法人として事業を承継した方が税務上も有利だといえます。
他にも、納税猶予などの事業承継税制を活用できるなど、法人の事業承継には有利な点が存在します。
事業承継を行う場合、法人に多くのメリットがあります。個人事業を承継していく際には、法人への移行(法人成り)も検討すべき事項のひとつであるといえます。