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事業承継で陥りがちな失敗事例

記事作成日2020/02/07 最終更新日2021/01/22

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事業承継に失敗すると、会社にも多大な影響を及ぼしかねません。これから事業承継を行うことを検討しているのであれば、よくある失敗例をあらかじめ学んでおき、同じ失敗をしないように対策を立てておくことも重要です。今回は、事業承継で陥りがちな失敗事例についてご紹介します。

■後継者の能力不足による失敗

後継者が親族の場合に起きやすい失敗のひとつに、後継者の能力不足による失敗が挙げられます。

例えば会社の経営状況や理念などを全く理解しないまま事業承継をして経営に携わる、経営者としての器ではないのに経営者のポジションにつくといったことは珍しくありません。しかし、その結果、顧客離れが起きて経営が大きく傾くケースも多いものです。

また、後述の準備不足とも関連しますが、後続継承者を据え、後継者として育てている最中に現経営者が急死してしまい、後継者の能力が不足しているまま事業承継を受けなければならなくなるケースもあります。

■事業承継後の社内分裂により後継者が追い出された

 事業承継後に社内分裂が起きるケースがあります。現経営者が「後継者にしたい」と考える人材と、他の社員が「後継者になってほしい」と考える人材が異なるときに社内分裂は起きやすくなります。

また、後継者候補の時点では意見が分裂していない場合でも、実際に後継者として会社を任された経営者の方針と従業員の方針が合わずに、対立して分裂するケースも少なくありません。中には社員の数割が事業承継後の社内分裂によって退職するといったケースもあります。

■事業承継の準備不足

 事業承継の準備不足による失敗は、現経営者が「うちの会社は規模が大きくないから、事業承継の準備はそこまで必要ないだろう」と、事業承継を軽視しているようなケースでよくみられます。また、カリスマ性のある社長がいる会社でも、事業承継の準備不足による失敗がみられることがあります。

事業承継を円滑に進めるためには、後継者が会社のことを熟知し、今後の目標などもしっかりと明確に把握している必要があります。しかし、後継者への引き継ぎや教育がなされていないために、会社の意思決定に悪影響をきたし、ビジネスがこれまでのようにスムーズにいかなくなることがあります。

■後継者間の相続問題

現経営者の子供などを会社の後継者にする際に起きやすい失敗事例が、後継者間の相続問題による失敗です。後継者以外にも兄弟がいる場合、現経営者が兄弟に平等に自社株を分配したとします。会社の後継者に自社株を集中しなかったことにより、後継者以外の相続人が経営に口を出し始めるケースがあります。

また、後継者以外の相続人が結託して、後継者を会社から追い出すといった事態になるケースもみられます。

■相続が原因で資金繰りに苦労する

現経営者の子供などを後継者にするときには、相続税に関する失敗事例も多くみられます。現経営者の死後に残った相続財産の多くが自社株などで現金が少ない場合、相続税を支払うための現金を調達しなければなりません。その方法のひとつとして、相続で取得した自社株を会社に買い取ってもらい、納税資金を調達するという方法があります。しかし、それによって会社の資金繰りが困難になる恐れが出てきます。

また、相続人の一部が、株ではなく現金で相続することを希望してきた場合にも、会社に相続財産である株を買い取ってもらって現金化する方法をとることがあります。しかし、これによっても会社の資金繰りが困難になる可能性が出てきます。

■まとめ

事業承継には、陥りやすい典型的な失敗事例がいくつもあります。ただでさえ経営者が交代し、会社の基盤が不安定になりやすい事業承継では、できるだけ後継者が率いる会社の門出をスムーズにすることが必要です。そのためにも、失敗事例を学び、同じ轍を踏まないようにしっかりと準備を進めることが重要です。

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