今回はホールディングカンパニーにおける事業計画について解説いたします。
持株会社の業務のうち、重要なものの一つに、グループ全体の経営計画の策定があります。事業計画はこの経営計画の中に位置づけられています。
◆事業計画の意義
事業計画はグループ企業全体の経営計画の機能を発揮するための道具です。グループ企業全体の長期的な経営方針、基本戦略を明確化したもので、企業の羅針盤といえます。
◆基本戦略の明確化
事業計画の作成目的が長期的な経営方針である以上、グループ企業の将来の事業環境の予測と環境変化に対応するための基本戦略である必要があります。そのため、過去から現在の目先の業績重視に陥らないことが重要です。
◆事業計画の作成
持株会社によるグループ経営の難しさは、権限の分散と集中のバランスにあります。子会社の経営に干渉しすぎると子会社のモチベーションに悪影響を与え、逆に管理監督を怠れば各社の方向性がバラバラになります。そのため、事業計画においても、基本方針は持株会社がリーダーとなって作成しても、各社の事業方針はできるだけ各社の独自性に任せる必要があります。
◆事業計画の見直し
事業計画の作成後は、その計画が着実に実行され目標に近づいているのか確認する必要があります。なかには計画を作成したけれど、作りっぱなしでフォローを疎かにしていたり、計画どおりに進んでいないのにそのままになっている企業が見受けられます。
持株会社は、月次予算と実績の比較を中心としたグループ全体の業績管理を行い、分析する役割を果たさなければなりません。そのなかで、計画どおりに進んでいないものがあれば、原因となっている問題点を抽出し、早期解決に向けた施策を検討します。ときには環境変化に合わせた計画に修正を行うことも必要となってきます。