前回はホールディングカンパニーの種類と機能について触れましたが、今回はホールディングカンパニーのメリット、デメリットを説明します。
ホールディングカンパニーのメリット
まず、経営管理と事業の分離です。企業グループの持株会社である親会社は経営管理、リスクマネジメントを行い、事業会社である子会社が事業を実行することにより企業グループの経営効率を向上させることができます。
次に、組織変更のスピードアップが挙げられます。M&A、事業譲渡・事業譲受などの大規模な経営構造を変革する場合には、法的手続き、関係者の同意の獲得、部門ごとの労働条件の確立等に時間が掛かります。ところが、持株会社体制化では、買収した会社を持株会社の傘下に置くことで上記の諸問題から開放され組織変更をスムースに執り行うことができます。
そして、経営責任の明確化が挙げられます。持株会社傘下の事業子会社ごとに独立採算の経営が行われることになり、コスト意識を認識させ業績評価が明確になります。
最後に、円滑な事業承継の実現にも有用です。例えば、創業家一族で株式を所有し経営もしてきたが、後継者が不在といったケースが挙げられます。創業家一族は新たなホールディングカンパニーの株主になり、事業子会社の社長には有能な第三者が就任することで、事業の継続を実現することができます。
ホールディングカンパニーのデメリット
デメリットとしては、体制づくりに時間が掛かります。なかには2年以上かかる場合もあり、外部コンサルタントの協力も欠かせません。さらに、株主の賛同が得られないような場合には、株主間の調整も行う必要があります。
そして、独立採算を求められる事業子会社の自立性、主体性を高めることにより、親会社に対しては遠心力を働かせることになります。それだけ企業グループの経営の求心力が低下するリスクがあります。そのような事態にならないためにも、企業グループの経営理念や経営ビジョンをしっかりと確立し、それを企業グループ全体で共有する体制づくりが大切になってきます。
まとめ
ホールディングカンパニーには注意点はありますが、事業拡大、経営の効率化、事業承継など様々な側面で有効な手段になります。事業承継のご相談、ホールディングカンパニーについて詳しく知りたい方は、TOMAコンサルタンツグループまでどうぞ。