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DXを加速させるデータドリブン経営とは?〜導入のメリット、活用事例をわかりやすく解説〜

記事作成日2024/05/17

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近年、経営における意思決定にデータを活用する企業が増えています。企業活動においてマーケティングの分野ではデータを活用した施策は長く行われてきましたが、現在ではその範囲は拡大し経営の領域にまで広がっています。今回はデータドリブン経営とは何かという点について、基本から、導入のメリット、社内体制を構築する際の留意点などを解説します。

データドリブン経営とは何か

データドリブン経営とは、カスタマーデータやログデータ、オペレーションデータといった巨大なデータ群を活用した経営手法のことです。勘や経験に頼らない、データに基づいた経営手法と言い換えてもいいでしょう。データが導き出した分析結果を経営の意思決定や新規事業の立ち上げなどに活用します。具体的な活用事例は後ほどご紹介します。

また、データドリブン経営はデジタル技術を用いた社内業務の効率化だけでなく、企業文化・風土に変革を起こしてゆくプロセスである『DX』ともつながりがあります。さらに言えば、データドリブン自体がDXの一部だとする考えもあります。いずれにせよ、DXはデータドリブン経営にも大きく関わる要素なので、まずは少し触れておきたいと思います。

DXを実現させるためには3つのステップがあります。

Step1:デジタイゼーション

普段紙を使ってやり取りをしているアナログ業務や物理データのデジタルデータ化です。
例えば、紙で保存していた領収書をスキャンしてPCで確認できるようにする、社内回覧資料を紙で回覧するのではなくメールで個別送信するといえばわかりやすいでしょう。デジタルデータ化することにより、業務を計測・可視化し標準化・効率化につなげることができます。

Step2:デジタライゼーション

個別の業務・製造プロセスをデジタル化することです。経費精算システムを利用することで、スキャンした領収書をシステム上で提出・閲覧できるようにしたり、経費精算データを会計システムへCSV取込して手入力を行うことなく仕訳計上したりといったデジタル化です。属人化している業務などを標準化・効率化することで、全社展開が可能になります。

Step3:デジタルトランスフォーメーション【=DX】

全社的な業務・プロセスをデジタル化すること。ECサイトで受注を行いそのデータを用いて請求管理を行ったり、顧客情報や購買履歴などを分析して営業活動に活用したりすることで、これまでの事業やビジネスモデルに変革を促します。

DX成功の秘訣はゴールの設定

DXを推進する際にまず大切なのは、ビジョンの策定です。ビジョンが定まったらDXの目的や目標を設定します。ポイントはDXが中期経営計画に合わせて、全社の取り組みとリンクするように設定することです。

策定したビジョンや目的・目標は経営層からのメッセージとして周知を行います。トップの本気の姿勢を見せ、社員一人ひとりに高い意識を持たせることで、DXを円滑に推進することができます。

DXを実現させるための手段は一つではありません。デジタルデータを集め、精査し、自社経営に変革を起こすデータドリブン経営は、データの中から自社の成長につながる項目をピックアップし、意思決定に活用する手法です。このプロセスはまさにDXと言えるでしょう。

データドリブン経営が求められる理由

数ある経営手法の中で、データドリブン経営を選択する企業が増えているのはなぜでしょうか。

理由1:多様化するニーズに対応するため

一昔前と比べ、顧客が情報を手にいれるソースはSNSや動画サイトをはじめとするインターネットにテレビ、やラジオなど多岐にわたります。それに伴い個人の持つ価値観も多様化しているため、一元的な広告や販売手法では顧客のニーズに応えにくくなっています。より細分化したニーズに対応するために、データを用いたデータドリブン経営は有効な手段となります。

理由2:急速なデジタル化、飛躍的なIT技術の進歩

デジタル化が進んだことにより、例えばマーケティング部が以前までは手作業で行っていたアンケートやデータの取りまとめといった作業は、今では自動化されるようになっています。

また、分析を行うために活用するデータも、以前より精度が高まっています。さらに顧客の購買経路や嗜好なども明らかにすることが可能となっており、経営陣はより的確な経営判断を下すことができるようになりました。

理由3:不確実な市場の変化に対応するため

技術が急速に進歩するに従い、ビジネスにおける変化の速度も速くなっています。変化を恐れ、昔ながらの仕事のやり方に固執していると、時代に取り残されてしまうかもしれません。今の時代に適した最適解を導くためにデータを用いたデータドリブン経営が求められています。

データドリブン経営がもたらすメリット

データドリブン経営を行うことで得られる恩恵には以下のものがあります。

メリット1:業務時間、人的資源の効率化

ある商品を購入する際に、「どのようにこの商品を知りましたか?」といったアンケート用紙に答えたことは誰もが経験あると思います。その後は、アンケートを取りまとめ、エクセルを使いデータ化して新規顧客の獲得、アップセル、クロスセルといった戦略につなげるといった施策を実施してきました。

上記のように、これまで人が時間をかけて行なってきた業務も、現在ではデータを使用すれば自動化が可能です。ECサイトで商品を購入する際にはどんな検索ワードで商品に辿り着いたか、どのリンクからECサイトに入ってきたかもわかります。これはあくまで一例ですが、データドリブン経営はビジネスにおける様々なシーンで効率化が可能です。

メリット2:高精度の意思決定の実現

データドリブンを駆使し、膨大なデータから微細なデータの収集・分析により、確度の高い仮説や市場のトレンド予測を立てることが可能です。長年の「経験」や「勘」といった不確定なものではなく、客観的なデータをもとにした経営の意思決定ができます。

メリット3:新規ビジネスモデル、商品の創出

これまでに蓄積したデータから新しい顧客を狙った新商品や、データから潜在的に浮かび上がったニーズに対応した新たなサービスの創出などにもデータドリブン経営は有効です。

データを活用する社内体制の構築

データドリブン経営を自社に取り入れるためには、デジタル化が必要であることは前述しました。
しかし、DXに至るデジタイゼーションやデジタライゼーションの段階で社員から拒否反応を示され、変革が起こせないという企業も多いです。

紙文化や対面コミュニケーションが根付いている歴史ある企業ほど、その傾向は強くなります。
昔から会社のために一生懸命働いてくれるベテラン社員が多い会社では、前向きにデジタル化を受け入れる姿勢を示してくれていても、「ローマ字入力ができない」というケースもあります。

自社のデジタル化を完遂させるためには、根気よく社員のデジタル化に対する不安の解消やリテラシー向上に努めていくことが大切です。

対策の一例)
・デジタル化することにより目指す姿を明確にする
・スモールステップで始め、成功体験を積み重ねる
・教育体制や支援体制を整え、分からないことをすぐに解消できるようにする

データドリブンの活用事例

データドリブン経営をすることで、顧客のデータ化や市場の変化をデータ化し、新商品やサービスの開発に繋げられることはすでに解説しましたが、データドリブン経営の特長はそれだけではありません。
社内の活動状況もデータを収集・分析することで以下のような意思決定に活用することができます。

活用事例1:人事業務の効率アップ

社員の抱える悩みや日々の業務において障害となっている事象に対してデータを活用することができます。
例えば、特定の社員に負担がかかっていないか、残業時間が増えていないか、有給消化率は低くないかといった状況を把握することで、業務量を調節するなど退職を未然に防ぐ施策を実施したり、人事面談で解決を図るといった対策が可能です。

活用事例2:営業戦略の立案

個々の営業活動の詳細をデータで一元管理することで、素早い一手が打てるようになります。
過去受注につながった顧客の年齢・性別・趣味趣向などを分析し、同様のターゲットに営業をかけることで売上の向上に務めることができます。クラウド型のシステムを使えば、出向先でも営業状況をリアルタイムに報告・把握できるのもメリットです。

活用事例3:ロスを極限まで減らす製品作り

製造業における品質管理や適切な在庫管理についてもデータが役に立ちます。
過去の売上データや直近の売上の推移などから適切な製造数を割り出し、バーコードやICタグを利用して在庫管理をリアルタイムに行えば、過不足を極限までコントロールすることが可能です。
また、生産拠点が分かれている場合も、データで繋がっていれば途切れることのない強固なサプライチェーンを構築することもできるでしょう。

活用事例4:リアルタイムな経営状況の把握

経営判断の基礎になる最新の経理データや顧客データなどを用いて、正しい経営判断をスピーディに行うことができます。販売管理システムと会計システムを連携することでリアルタイムに売上や資金の動向を把握すれば、重点的に投資する分野や投資の可否を判断することも可能です。

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