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会社の成長を加速させる!成功事例から学ぶ業務改善の進め方~請求書発行と入金消込の効率化支援~

記事作成日2024/11/20

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企業でも個人でも事業運営を行う上で欠かせない請求業務ですが、お金を管理する業務であるため、その性質上ミスが許されない業務であると言えます。毎月の請求業務、1円の間違いも許されない緊張感の中で、膨大な時間を費やしている経理担当者の負担とストレスは相当な物でしょう。

今回は、そんな経理担当者の苦労を劇的に軽減する、請求書発行業務と入金消込の自動化支援の事例についてお届けします。

「手作業」や「入力業務」の苦しみから脱却できない中小企業

コロナ禍でのリモートワーク、また電子帳簿保存法やインボイス制度という大きな法改正もあり、社会全体で文書や帳票の電子化が一気に進みました。2024年秋に予定されている郵便料金の値上げで、請求書の送付を郵送コスト節約の観点から「電子化」「ペーパーレス」へ完全移行する企業の数は、さらに加速すると予想されています。

請求書の電子化やペーパーレスは進んでいても、その請求書をどのように作成しているかによって、請求業務の作業効率は大きく異なります。システム化された環境では、クリック一つで請求書が作成される一方、手入力が必要な環境では膨大な時間と労力を費やすマンパワーで請求書を作成することになります。その経理担当者の負担は、天と地の差です。

特に中小企業では、コストやリソースの制約からシステム化が進まず、結果的に手作業に依存する状況が続いているケースが多く見受けられます。「電子化」「ペーパーレス」の裏で、今でも「手作業」や「入力業務」から逃れられず苦しんでいる中小企業は珍しくないのです。

電子化の有・無による業務量の比較

今回の事例のお客様は全国に拠点を持つ公益法人で、請求書発行や入金消込をExcelで行っており、経理担当者に負担がかかっているのを解消したいというご相談を頂きました。

実際にヒアリングを実施したところ、上記同様にマンパワー頼りの「手作業」や「入力業務」が頻発している状況が分かりました。

課題1:Excelでの請求書作成は何が課題なのか

この法人では、他部署より請求書の発行依頼をExcelで受けていたため、データの転記が容易な事から、請求書もExcelで作成していました。発行依頼Excelから一つ一つ必要な情報を抜き出し、手作業で別の請求書Excelへ転記・入力を何度も繰り返し行い作成していたため、毎月数百枚を捌くとなると、その作業には膨大な時間を費やす事になります。

Excelからまた別のExcelへ、データを人の手を介して受け渡す、まさにマンパワーの「入力業務」の上で成り立っていた請求業務と言えます。こちらの法人様のように、請求書発行システム等を使用せずExcelで請求書を作成している中小企業は今も少なくないでしょう。

Excelで請求書を作成するメリットとしては、

・すでにExcelを利用している場合、新しいソフト等の導入コストがかからない
・利用者が多いため、不明点を解消しやすい
・フォーマットや関数等を自由にカスタマイズ出来る

等、その使い勝手の良さと気軽さは、ある意味ではどのシステムよりも魅力と言えます。

一方、デメリットとしては

・関数を扱える社員が少ない場合、属人化しやすい
・入力ミスや目視でのチェックを行うため、ヒューマンエラーがおこりやすい
・ファイルのセキュリティが脆弱で、情報漏洩のリスクが高い

等が挙げられます。Excelの即時利用可能な点や低コストは魅力ですが、請求書の量が増えれば増えるほどヒューマンエラーによる問題は起こりやすくなってしまいます。

課題2:組織全体で請求書フォーマット・発行方法が統一されていない

今回のお客様は、元来は拠点ごとに別々の組織として活動していた企業が、一つの法人として活動するようになったため、拠点により請求書のフォーマットが異なり、それぞれ独自のルールで請求書を発行していました。

拠点ごとに請求書のフォーマットが違うと、本部で全体を把握することが困難になってしまい、全体連携が取れない状態に陥ってしまいます。また法改正があった場合、それぞれの拠点ごとに対応しなければならないため、その分労力もかかってしまうでしょう。

法改正があるたびに拠点ごとの対応を取っている限り、組織全体としての統一は遠のく一方です。

課題3:入金消込も完全なマンパワー頼り

取引先からの入金金額と請求金額が正しい事を確認し、仕訳として反映させる「入金消込」。

入金消込についてはネットバンキングから入金金額を目視で確認し、手作業で消込を行っていたため、月に20時間程度を要していました。Sansan社が実施した調査サマリによると

・経理担当者の7割以上が入金消込業務の課題を感じている
・入金確認業務については、8割以上の企業が目視確認

といった、現場が抱える課題の実態が浮かび上がりました。

また、担当者が感じる具体的な課題については

・月末に件数が一番多く、処理にとても時間がかかる
・件数が多く、かつ紙ベースの業務が続いているため効率化できていない

などの回答があり、入金消込業務の件数の多さが負担になっていることがうかがえます。

さらに次のような回答も気になります

・ミスが許されないため、丁寧に処理する必要がある
・間違いがあってはならないし、相手があることなので対応に気を使う

引用:Sansan社「Sansan、「入金消込業務に関する実態調査」を実施~経理担当者の7割以上が課題ありと回答。自社口座への入金確認は8割以上が目視~

つまり、担当者にとっては業務の性質上入金消込は「ミスは許されない」という心理的負担が大きい業務と言えます。

今回ご相談頂いた企業の経理担当者の方も、「ミスが許されないので、特に注意しながら対応するため、処理に時間がかかっている。手動で行わなければならない入金消込が特に負担に感じている」と、お困りの様子でした。

処理に時間がかかってしまうとリアルタイムでのデータ管理が難しくなってしまうため、企業全体の財務管理の点でもマイナスに働いてしまいます。

効率化提案:システム導入による自動化と省力化

では、このケースにおいて実際に私たちがどのような効率化提案を行ったのか、解説します。

大きく分けると以下の2つで効率化提案を行いました。

①請求書発行システムを導入し、請求書のフォーマット・発行方法を統一する
②入金消込システムを導入し、入金消込の省力化を実現する

効率化提案①:組織全体で統一された請求書発行システムの導入

拠点ごとに独自のルールで行っていた請求書発行を、請求書発行システムを導入することで、組織全体でフォーマットの一本化を図ります。経理担当者は他部署から届く請求依頼から必要な情報をワンクリックで自動転記できるため、手間とミスを削減出来るようになります。

請求書発行システムには以下のメリットもあります。

・請求書や請求データをシステム上で一元管理できる

今まで拠点ごとに存在していた複数のフォーマットからデータを集約していたため、データ加工に時間を要していましたが、システム上で全ての請求データを一元管理できるようになるため、さまざまなデータを収集する手間や時間が削減できます。リアルタイムでのデータ共有が可能なため、経営戦略にも最大限に活用ができるようになります。

・会計システムやインターネットバンキングなどの外部連携が可能となる

システム間の連携が可能になることで、人の手を介して行われていたデータの引き渡しがなくなり、入力ミスや、情報の遺失、更新漏れなどのヒューマンエラーが激減します。

また、今回の事例でのシステム選定では以下の点に留意しました。

・請求書関連業務全体を効率化できる機能を搭載していること
・複数拠点、複数請求書フォーマットがあることを考慮し、柔軟に対応できるシステムであること
・関係者が多数になることを考慮し、導入実績が豊富でサポートが充実しているシステムであること

私たちTOMAは常にベンダから最新の情報を仕入れています。そのため、幅広い選択肢からお客様の事業にマッチするシステムのご提案が可能です。

効率化提案②:入金消込業務の自動化による省力化

請求書発行システムでも入金管理機能が搭載されている場合もあるものの、基本的に入金額と請求額の突合は1件ずつ手作業で行う必要があります。そこで、TOMAでは入金消込システムの導入の提案を行いました。入金消込システム導入のメリットは以下の通りです。

・入金額や入金元からシステムが対応する請求を判断してくれるため、突合の手間が省ける
・AIによる学習が行われているため、突合の精度は使っていくうちに上がっていく

導入提案にあたり先方は、手間と時間ばかりかかっていた作業から解放されるという効率化への期待が高かった様子でした。

効率化成功による成果:システムによる自動化で経理担当者の負担とストレスが激減

今回の請求書作成システム・入金消込システム導入支援はその後実施させていただくことになりました。

実施した結果としては、請求書発行や入金消込での手作業がなくなり業務時間の短縮を図ることが出来ました。また、お客様からは請求書関連の業務がシステム上で管理できるようになり、請求書発行や入金消込にかかる時間が削減されたことで作業が楽になった。また失敗が許されない、という過度な負担が減りストレスが減りました、というご報告もいただきました。

現在は空いた時間を使って他の課題へ対応する時間などに充てているとのことです。なお、今回の事例では、ヒアリングに2か月、システム導入に6か月かかりました。

このように、マンパワー頼りの請求業務から、システムを活用した自動化へシフトする事により、経理担当者の負担とストレスは劇的に軽減させることが可能になります。

マンパワーに頼りがちな業務こそ改善の余地あり

今回の事例から、マンパワーに頼りがちな業務こそ改善の余地がまだ残されていると改めて気付かされました。請求書という重要な書類であっても、システム化されておらず担当者の努力によって対応している場合もあるため、属人化を防止する意味でもシステム導入で自動化出来る業務を洗い出す事が重要です。

システム導入による自動化は属人化を防ぐだけでなく、人材不足の今だからこそ必然と言えるかもしれません。社員の働き方にも多大な影響が出るからこそ、結果的に社員の満足度も向上し離職防止にもつながっていきます。

もし業務改善・効率化に取り組んでいるが成果が出ていない、あるいは、これから取り組んでいきたいがどのようにすることが最適か分からないとお悩みの方は、ぜひTOMAまでご相談ください。

なお、TOMAの強みとしては以下の点が挙げられます。

① 部署やシステムをまたいだデータのやり取りが必要となった場合、全体観を持ったデータの設計を行えること
② 複数の部署が絡むプロジェクトでは、他部署との調整を第三者目線から行えること
③ 各分野の専門家が揃っているので、企業の課題を総合的に解決する“ワンストップ体制”で伴走支援できること

ご興味がありましたら最下部の無料相談・問合せからご連絡ください。

今回紹介した業務改善に関するサービスの詳細はこちらになります。また、TOMAでは定期的にIT・業務改善・経理改善に関するメールマガジンを配信しています。ぜひお気軽にご登録ください。