BLOG

専門家によるブログ

業務改善・IT活用ブログ

今ある業務を改善させる!TOMAのコンサル事例①業務課題抽出のサポート支援

記事作成日2024/12/24

X
facebook
copy

日々の業務の中で、「手入力が多い…」「時間ばかりかかっている…」「もっと効率よく出来ないか…」といったお悩みを抱えていませんか?業務を改善したいと思っていても、日々の業務をこなしていくのが精いっぱいで、現状維持のまま負のスパイラルから抜け出せない、といった企業はとても多く存在します。

そんな状況を打破するべく新しいシステムを導入するという話はよく聞きますが、導入後に結局そのシステムを使いこなす事が出来ず、業務改善どころか、かえって非効率になってしまったり、最悪の場合ですと導入したシステムを使わなくなってしまった、というケースも実は少なくありません。

今回からTOMAがサポートした業務改善の事例を複数回に渡ってご紹介していきたいと思います。記事に登場する施策が、貴社が抱えている業務の課題を改善するヒントになれば幸いです。初回はTOMAでお手伝いさせていただいた「業務課題抽出のサポート支援」の事例をご紹介します。

「業務改善をするほどの余裕はない」のが現状

これを読んでいる読者の皆さんの中には「仕事が忙しすぎて業務改善どころじゃない…」と感じていらっしゃる方もいるかもしれません。通常業務を走らせながら業務改善を行うとなると、人員・時間の確保は非常に頭を抱える問題となり、なかなか思うように進まないのが現状です。

日々の業務に追われていると、根本的な「課題」は見えづらい

ある農畜産物の生産支援・販売業を行っている企業の事例を紹介します。こちらのお客様は、従来の業務プロセスに課題を感じていましたが、推進する人材や時間、ノウハウが不足していたため効率化を進められず、TOMAへご相談いただきました。

早速担当の方に話を聞いてみると、日々の業務をこなす事に精いっぱいで業務改善に着手する余裕がない現状が伺えました。なぜこんなに業務が逼迫しているのか担当者の方も見当がついていない様子で、それゆえに解決策も見出せず現状のまま走らせていた状態でした。

現状の業務は止める事が出来ません。人材も足りず日々の業務に忙殺され業務内容をじっくりと振り返るような時間もない、そのような状況下では、業務に疑問を感じていたとしても現状の業務で走り続けるしかないのです。しかしそれでは根本的な「課題」が見えず、業務改善を実行する事は不可能です。

業務改善を阻む負のループ

業務の『見える化』で「課題」をクリアに!

では、具体的にどのように課題のサポート支援を行ったのかを解説したいと思います。業務改善を行う第一歩は、まず業務の現状把握・分析です。今の業務をどのように行っていて、どのくらいの工数をかけているのか、「業務の見える化」を行います。

業務の見える化を行う事で課題が抽出され、その先の改善案が見えてくるのですが、この課題の洗い出しをせず、とりあえず…と、やみくもに改善施策を色々と打っても課題となっている根本原因が改善されないため失敗につながりやすくなってしまいます。そのため課題を抽出する作業、つまり業務の見える化は、業務改善においてとても重要です。

「業務の見える化」=「業務フロー図の作成」

業務の見える化とは業務フロー図の作成です。業務フロー図とは、業務の流れを分かりやすく図解したチャートの事です。

誰から・誰に・何を渡して・何に対して・どんな情報を入力して・誰の手元に・何が残るのか、が業務フロー図を作成する事で明確になり、誰もが業務の全体像を把握できるようになります。そのためどこに課題があるのかも視覚化され課題が抽出されます。

業務フロー図を作成することで得られるメリット

業務フロー図の作成は、より課題が多い、より逼迫している業務から

今回の事例では、まず業務フロー図を作成するにあたって、精肉部門、生花部門、食用穀類部門の3部門へのヒアリングを行いました。すべての課題を一度で改善しようとしてもうまくいきません。

各部門の中で、

・特に課題が多いと感じている
・時間や工程がかかり過ぎている

等、現場がより逼迫していて緊急性が高い、という観点から優先度を決め、業務フロー図を作成する業務の選定を行いました。

業界独特のツールを使用している事に留意が必要

業界独自のツールを導入している点にも留意が必要でした。精肉部門では工場の加工生産ラインがあり、そこで加工する商品を時間ごとに区切っていました。そのため、

機械の種類:〇の機械
時間:〇時から〇時まで〇時間稼働
人員:〇人を配置
タスク内容:〇〇商品を〇個生産

といった項目が記載されていた指示書が存在していましたが、Excelで作成した独自のフォーマットを使用しており、データの加工が難しい方法で作成されていました。

Excelのデータを他システム等で活用するには、「データのあり方」が重要です。一見問題がなさそうなExcelでも、PC上で編集できる状態にはありますがデータの利活用が出来ない編集方法を取っている場合があります。そういった方法を取っているExcelについてはデータベース化する事が難しく、集計や分析といった事がとても困難な状態になってしまいます。

そのためこの企業では、納期が決まっている商品に対して、どういった指示書が必要なのかをシステムで算出することが難しく、それらはすべて長年の担当者の勘によって行っていました。このようにベテラン社員の力量に頼りすぎていると、いざベテラン社員がいなくなる時に引継ぎが難しく業務に支障が出ることも十分考えられます。

このような面からも業界独自のフォーマットを使用している場合には、フロー図を作成する際留意が必要です。

独自のフォーマットを利用している場合は注意が必要

支店ごと部署ごとの使用システムの違いも含め、多角的な視点から業務フロー図を作成

ヒアリングを行っていくと、同じ申請作業でも各営業所、各部署で使用しているシステムが違う事が分かりました。つまり、一つの申請にも、いくつかのフローが存在するという事です。それらを加味し、多角的な視点からフロー図を作成しました。

「業務フロー図」から抽出された「課題」

続いて今回の施策を実行するにあたり見えた課題についてご説明します。

課題1 紙での受領・発行資料が多い

まず、課題として一番最初に上がったのが、紙による受領・発行資料が多いことでした。しかし実務を行っている担当者は、紙資料が多い事を自覚出来ていませんでした。

複雑な運用ルールを採用している場合、業務が属人化しているためシステム化が困難となり、紙での運用を余儀なくされている、といったケースもあるでしょう。ルーティン化している業務を遂行する中で、果たして自社の業務形態は適正なのか?といった判断は、なかなか自社では出来ないものです。

コンサル会社を利用するメリットの一つは、自社の業務形態を第三者目線で判断出来る事です。他社比較も可能となるので適格なアドバイスの上で業務改善が行えます。

紙の資料が生み出す課題と理想の環境

課題2 複雑な業務内容で業務が属人化してしまっていた

受発注業務や請求書発行業務などで、業務システムの情報を画面上で確認し、取引先ごとに必要な項目を一つ一つ手作業でExcelへ転記し、必要なすべての項目が揃った段階で、受発注システムや請求システムへの転記を行っていました。

取引先ごとの請求フォーマットに合わせ手作業でデータを加工していたため、複数のExcelが乱立している状態でした。結果、この取引先にはこのExcelといったように、取引先毎にやり方を変えなければならず、複雑な業務内容になっていました。それを把握できる担当者が限られていたため、業務が属人化してしまっている状態でした。

これは、業務システムから抽出されるデータの出力情報を把握出来ていなかった事に起因しています。業務システムから出力できる情報をすべて把握できている担当者がいなかったため、こういった情報は担当者A、この情報は担当者B、というように縦割りで担当を区切っており、担当者以外はデータを扱えない状態でした。システムを使いこなせていなかったために、複雑な業務内容にせざるを得なかったと言えます。

お話を伺った担当者は、「業務をしている担当者は理解しているが、管理者含め他の社員はどのExcelから各システムへデータを転記しているのか分からない」と話されていました。

複雑な業務内容がもたらす課題と理想の環境

課題3 運用ルールが制定されていない業務が存在する

業務の運用ルールについて、担当者間で把握出来ているものの、マニュアル化されていない業務が存在していました。営業所ごと、部署ごとに、異なる運用で業務を行っていたために、会社共通の正しい運用ルールが統一されていなかったのです。

ゴールは同じでも、営業所、部署ごとに運用方法が違うと、業務スピードや質にばらつきが出る、トラブル発生の際に適切な対応が取れない、属人化されてしまう、などといった課題が生まれます。

運用ルールが定まっていないことがもたらす課題と理想の環境

課題4 共通使用ITツールについて部署横断的検討が必要

上述したように、各営業所、各部署で共通の業務を行う際に運用ルールが定まっていなかったため、使用しているITツールについてもバラバラな状態でした。企業で営業所や部署ごとに使用するITツールが異なると、部署どうしが縦割り状態になり、組織としての全体連携が取れない状態に陥ってしまいます。

請求書の業務ルールを3部門で調査をしてみると、それぞれが担当者独自のルールで運用しており属人化が進んでいるのは明らかでした。組織として運用ルールを統一するために、まずは共通のITツールについて部署横断的な検討が急務でした。

多様なITツールの使用がもたらす課題と理想の環境

業務削減可能時間の合計は1,115時間にも

今回の業務改善で得られる業務削減可能時間は年間で合計1,115時間にも及ぶ事が算出されました。今回の業務改善の目的は

・従業員の「単純作業」を減らし、付加価値の高い業務に従事させる時間を作る
・部署横断的に行う業務や共通する業務における共通使用ITツールの選定

です。

上記目的を軸に、抽出された課題に対し優先順位をつけより逼迫していて緊急性が高い業務から改善提案を行いました。試算された1,115時間という膨大な業務削減可能時間を、より生産性のある業務へ従業員を従事させる事が出来るよう、今現在改善施策の実行段階の真っただ中です。

また今回の業務フロー作成後、他部署からもやってほしいとご依頼を頂き、複数の部署でご支援させて頂いています。今回の支援にかかった期間は、ヒアリングに4ヶ月、業務フロー図の作成に2ヶ月の計6ヶ月のサポートとなりました。

業務フロー図作成をプロに任せるメリット

業務フロー図の作成をプロに任せることによるメリットは以下の4つが挙げられます。

①専門的な視点:多くの企業の業務改善支援の経験から業務フロー図を作成しています。自社で行う場合、自社の業務について深く理解している一方、他社の業務フローや最新の業務改善手法については知らない場合も多いでしょう。専門的な視点からアドバイスが可能です。

②客観的な視点:自社で業務フロー図を作成すると、自社の業務に対する先入観や偏見が反映される可能性があります。一方、プロは外部から客観的に業務を観察し、業務フロー図を作成します。

③時間の節約:業務フロー図を作成するためには、業務の詳細を把握し、それを視覚的に表現するスキルが必要です。自社で行う場合、これらのスキルを持つ人材がいない場合や、他の業務に追われて時間が取れない場合があります。プロに任せることで、自社の人材は自分の業務に集中することができます。

④トレーニングの機会:プロに業務フロー図作成を任せることで、自社の人材が業務改善の手法を学ぶ機会にもなります。業務フロー図を作成する過程を見ることで、自社の人材も業務改善のスキルを身につけることができます。

業務フロー図をプロが作成するメリット

上記は代表的な例になりますが、他にも業務フロー図の作成をプロに任せるメリットは沢山あります。

TOMAでは業務改善の実績が多く、業務フロー図を作成する事が得意な専門家が多数在籍しています。業務改善をしたいと思っていても現状業務で手一杯だとお悩みの方は、お気軽にTOMAまでご相談ください。現状の業務を止める事なく、最短ルートでの業務改善を実現します。

今回紹介した業務改善に関するサービスの詳細は以下になりますので、ぜひご覧ください。

また、TOMAでは定期的にIT・業務改善・経理改善に関するメールマガジンを配信しています。こちらもぜひご登録ください