近年エクセルなど管理していた顧客情報を、タプレットやスマートフォンで一元管理できる顧客管理アプリを導入する企業が増えています。外出先でも容易に情報を取り出せる、仲間の動きがリアルタイムで共有されるなど導入によって数多くの恩恵が受けられるのが、顧客管理アプリの特徴です。今回は、そんな顧客管理アプリについて徹底解説したいと思います。
目次
iPadなどを利用する顧客管理アプリは徐々に広がり始めている
近年、アプリケーションを使った顧客管理は大手から中小企業まで、幅広い企業で採用されています。例えば、個人で経営しているパン屋さんやケーキ屋さん、飲食店などで、POSレジではなく、iPadで会計をする場面は一昔前に比べて断然増えました。大手の飲食店でもオーダーはタブレットというのはよく目にします。あれらも顧客管理アプリの一種です。B to Cの現場でよく目にするようになったのと同時に、この流れはB to Bのビジネスにおいても広がりを見せています。
iPhoneなど、スマホの普及により、顧客管理にもアプリでできるように
ガラケーの時代は2008年、iPhoneの発売により終焉を迎えます。スマホが爆発的に普及し、老若男女が、アプリを日常的に使うようになると、ビジネスでも活用できるアプリが開発されるようになります。
後述もしますが、ビジネスにおいて「誰もが操作できる」というのは一つの大切なポイントです。スマホが経営層から若手まで使いこなせるアイテムとなったことが、ビジネスの形を大きく変えることになるのです。
そもそも顧客管理アプリとは
顧客管理とは顧客の連絡先、担当者、売上といった情報を管理することです。これらの情報は、一昔前はエクセルなどの表計算ソフトで行っている企業が多かったと思います。しかし、情報の入力が同時編集できなかったり、データの統合が困難だったりと不便な点が少なくありませんでした。
そんな中、現在では顧客情報をスマホでも使えるアプリケーションで管理することが主流となりつつあります。アプリを利用することで、案件の管理や社内の申請業務をスピーディに行うことができるだけでなく、ペーパーレス化も実現可能となっています。
例えば、一度顧客の会社名や担当者を入力したら、見積書や請求書と連携して、再度社名を入力する手間が省ける。あるいは、売上金額を登録すると、自動で分析データと連携し、売上の推移が「見える化」されるなど業務の効率化を図ることができるのです。
さらに、アプリはタブレットやスマートフォンなどで操作が可能なため、外出先や自宅などでも確認できるというメリットもあります。
スマホやタブレットで顧客を管理するアプリがなぜ支持を集めるのか
時代の流れという言葉で片付けてしまえば簡単ですが、顧客管理アプリには、企業の経営課題を解決するさまざまなソリューションが用意されていることが支持される理由です。具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?
その1.幅広い情報を一元管理できる
第一の理由は、アプリケーションでできることが多岐にわたる点です。顧客の基本情報はもちろん、営業の訪問回数、担当者の趣味嗜好、ご意見といった顧客とのコミュニケーション履歴、そしてセミナー来場履歴やメルマガの開封率など、既存顧客ではない新規見込み客の情報管理も可能です。
「企業を発展させるアイデアは喫煙室から生まれる」といった格言がかつてあったように、何気ない雑談の中に経営課題を解決するヒントがあることは少なくありません。顧客管理アプリでは、営業担当者が顧客との雑談で得た情報などを共有することも可能です。アプリの中で喫煙室のようなアイデアが生まれる可能性を秘めています。
その2.多様な働き方を実現する
現在では、人口減少に伴う労働力の確保は経営の大きな課題の一つとなっています。
・報告書を提出するだけのために会社に1時間かけて戻らないといけない。
・満員電車に揺られ、毎朝必ず決まった時間に出勤しなければならない。
生産性のない時間が確実に勤務中に存在しています。
・仕事はできるけど、親の介護で自宅から離れられない。
・日中は子育てがあり、仕事をできるのは子どもが寝静まってから。
働く能力と意欲があっても日中働けない、会社に出勤できない人たちがいます。
これらの課題を解決するポテンシャルが顧客管理アプリには秘められています。スマホなどで自宅や外出先から業務の報告ができれば、わざわざ会社に戻る必要はありません。それどころか、無駄だった移動時間を利用して、もう1件顧客訪問ができる余裕が生まれます。
朝、自宅でできる仕事は自宅で進め、満員電車を避けて時間差出勤することも可能になるはずです。
労働力の確保には、女性の社会進出が大きな鍵と言われています。場所を気にしない働き方が可能になれば、能力のある子育て中の女性も積極的に採用することが可能です。
働き方改革や生産性向上について、コチラの資料もご参照ください⇒業務改善入門~生産性向上・働き方改革の第一歩~
その3.営業の次なる一手、経営戦略を練るために活用する
顧客の情報、コミュニケーション履歴から、効果的な販売の流れが確立できれば、次にどんな一手が有効か、新しい顧客へのアプローチ方法などが標準化されるようになります。
個人の営業力のみで売上を伸ばしていた場合、全員が成功、失敗のパターンを共有できるので、全体の営業力をボトムアップさせることができるのです。
また、販売履歴の流れから、アップセルにつながるヒントはないか、クロスセルできる商材を提案できないかといった戦略を立てることも可能です。
iPhoneやAndroidで使える顧客管理アプリでできること
では、具体的にスマホやタブレットを用いてどんなことができるのでしょうか。その一例を紹介します。
- 顧客の最新情報、案件の進捗を全員で共有できる
- 商談でまとまった見積書をその場でPDF化し提出できる
- 日報の入力ができるので、直行・直帰の営業が何をしたのか、管理者が把握できる。
- 日報はそのまま工数管理にも利用可能。
- プロジェクトの予算と原価の管理ができる
- 見積書から請求書を製作でき、入力の手間が省ける
これらはあくまで一部の機能ですが、これまで会社でしかできなかった作業の効率化や、入力の二度手間を省くことが可能です。
無料の顧客管理アプリの実用性は?
顧客管理アプリには無料でダウンロードできるものもあります。いろいろな会社が製品を作っていますが、選ぶ際には以下のポイントに気をつけましょう。
その1.操作性
インターフェイスのわかりやすさ、マニュアルを必要としないくらい入力が簡単かどうかはまず確認したいとこと。無料のアプリの場合、広告が表示されることが多いです。営業は外出先で、慌ただしい中で情報にアクセスすることも少なくありません。よくタップする付近に広告表示があり、誤タップが頻繁に発生するようなものは避けたいところです。
その2.機能制限
有料版と比較して、どれだけ機能が制限されるのか、それによって営業活動に支障をきたすことはないかをチェックしましょう。多くの場合、無料アプリでは登録できる件数やバックアップ期間に制限があることが多いです。
その3.外部連携
これは有料のアプリにも言えることですが、外部の通話ツールやSNSなど連携できるアプリが多ければ多いほど、実用性は上がります。
「できることなら経費はなるべく安く」その気持ちはよくわかります。しかし、ある程度の規模の企業になると、無料アプリでは限界があるのも事実です。上述したように、顧客管理アプリはしっかりと運用すれば大きな効果が望めるツールなので、ある程度の経費をかけてでも自社に合わせたツールを構築するのがおすすめです。
顧客管理アプリを自社専用に作成する際の注意点は?
では、自社の営業体制に合わせたアプリケーションを開発する際に気をつけるポイントはあるのでしょうか?
まず、ゼロからの開発の場合、開発費用と期間がかかります。スピーディな導入は難しいでしょう。また、運用する中でカスタマイズしたい箇所が見つかった場合にはさらに費用が嵩みます。
そして、なぜアプリで顧客管理をするのか、どんな課題を解決したいのかという開発の目的を明確にしておくことが大切です。現状、エクセルでの管理で全く問題がない企業が、「売上はアプリで管理するのが今の流行りだから」という安易な理由で導入しても意味がありません。見積書や請求書をペーパーレス化し、業務効率を上げたい。そのためにこんなアプリが欲しいという明確な目的と完成形のビジョンを描けていることが重要なのです。
それが描けているのであれば、既製品でも十分という可能性もあります。その場合、自社専用に開発するわけではないため、コストも抑えられるでしょう。ちなみに、TOMAで紹介しているkintone(キントーン)は、既製品でありながら、自社の業態に合わせたアプリへカスタマイズすることができます。もちろん、運用する中でこの機能も付加させたいという案が出た場合、後から機能を追加することが可能です。
kintoneについて詳しく知りたい方はコチラをご参照ください⇒kintone導入支援サービス
おすすめの顧客管理アプリとは
さまざまな企業から顧客管理アプリを販売されています。少し、ネットで検索するだけで、数十のアプリが表示されます。この中で一体どれが自社にあっているのだろうかと悩んでしまうこともあると思います。
「おすすめの顧客管理アプリを教えて欲しい」と聞かれたら、「1社1社、企業の課題によっておすすめは違う」というのが答えです。同種の商品を販売しているメーカーであっても、顧客の何を管理したいのかによって本当にクラウドを利用したアプリがいいのか、それともオンプレミスの方が良いのかも変わるからです。
タブレットやスマホで顧客管理できるアプリが欲しくなったらまずはTOMAへご相談ください
顧客管理アプリについてさまざまな観点から解説してきましたが、大切な点をまとめると、自社の経営課題が何か、そのためにどんなアプリが欲しいのかをはっきりさせることです。もし、第3者の意見を聞いて判断したいという場合はぜひTOMAコンサルタンツグループへご相談ください。ワンストップで御社の経営課題の解決をサポートします。