業務改善や効率化を実施するうえで、原因を探る要因解析が重要になります。今回は要因解析が必要な理由や、具体的な方法をお伝えします。
要因解析の重要性
経営者にとって改善したいと思う業務はたくさんあると思います。そしてそれらの業務における改善点としては、次のような点が挙げられます。
・仕事のミスを減らしたい
・人材育成を成功させたい
・今以上に生産性を向上させたい
・無駄を省いて効率化を図りたい
効率よく改善を図る際には上記のような改善点に対して「どうしてミスが減らないのか?」、「なぜ人材が育たないのか?」というように、原因を探る必要があります。
例えば、人材育成がうまくいかないのは、新人のモチベーションが低いことに原因があるのに、マニュアルを作り変えても効果は望めません。他では、過度な残業や労働時間の多さによってオーバーワーク状態なのに、生産性を向上させるために既存業務にさらにプラスして新しい業務を従業員に課すのは愚策ではないでしょうか。
上記は一例ですが、施策は実施しているものの成果が出ていないという場合、施策自体を疑ってみることも必要です。一旦、それぞれの業務改善の目的に合わせ、要因を明らかにすることに意識を置くようにしてください。
要因解析の具体的な手法:ロジックツリー
・改善すべきポイントを浮き彫りにするロジックツリー
改善すべき要因を解析し、正しい改善策を導く方法に「ロジックツリー」があります。一つの問題に対して「なぜ」を繰り返し、現状を正しく把握し、解決案を見つけ出す手法です。
ここでは、業務を遂行する中でしばしば見られる作業ミスを例に解説します。
まず状況については「請求書の金額」にミスが多発しているとします。なぜ請求書にミスが発生するのかについて自問自答していくことで要因を洗い出します。
・ロジックツリーの描き方
ミスが発生する要因は決して一つではありません。そのため、考えられる可能性をすべて書き出すようにしてください。最終的にまとめられた要因を精査し、ミスが発生している事例の定量を調べます。上記の例であれば、請求書の問題点は2つ考えられます。
①マニュアルの記入例に不足が多く、正しい請求書の作成ができていない。
②提出期限が短いのに、データでの提出が不可のため提出が遅れてしまう。
この2点を改善することでミスが大幅に減少するはずです。また、ロジックツリーを制作する際には階層を合わせることと、要因をダブらせないことに注意してください。
例えば上記のロジックツリーであれば、「記入ミス」の要因に「提出までの期限が短い」という要因をダブらせないようにします。要因が複雑でうまくロジックツリーが作成できない場合は抜本的な構造改革を検討する必要があります。
「業務の棚卸」、「業務量調査」、「パレートの法則」、「ワークサンプリング」、「日報調査」、そして「ロジックツリー」、これらのようなフレームワークを活用(場合によっては併用)することで業務改善すべきポイントを効率良く探すことができます。