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営業管理はエクセルでも十分可能? エクセル管理のポイント虎の巻

記事作成日2020/03/31 最終更新日2023/05/26

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営業管理は現代ビジネスにおいて必須といっても過言ではなく、多くの会社がSFAやCRMといった営業管理ツールを導入しています。ただし、費用面や運用面で課題があり、興味はあるけど、まずはエクセルなどの身近なツールで運用を始めてみたい。そんな経営者も少なくないと思います。今回は営業管理で必要な項目に加え、エクセルでの管理方法について解説したいと思います。

営業活動をエクセル(Excel)で管理したい!でも、そもそも営業管理って何?

営業の最終的な目標といえば、予算の達成、自社売上の最大化ではないでしょうか。そのために営業は日夜努力を続けています。日本が好景気の時代には、仕事は量をこなせばある程度結果がついてきました。しかし、長引く不況に合わせ、少子高齢化による労働人口の減少によって、仕事は「効率的」かつ「標準化」が課題となっています。
これを実現させるために「営業管理」は存在します。

〈主な管理項目〉
・電話番号や住所といった顧客の基本情報に加え、案件担当者・決裁権を持つキーマンの名前、趣味趣向を把握しているか
・営業の誰がいつどんなアプローチで営業活動を行ったのか
・今現在、社外の営業がどこにいて、何をしているのか
・案件はどこまで進んでいて、受注確度はどのくらいあるのか
・受注の要因・失注の原因は何か
・営業のモチベーションが下がる要因の把握と対処法は…etc営業管理とは?

上記はどれも、売上を上げるために営業が理解しておかなければならない情報です。これまでは顧客の担当営業だけが理解していた内容も、営業部門全体で共有することで、新たな気づき、戦略立案、失注リスクの回避といったメリットを享受することができます。これを「営業管理」と呼びます。

顧客管理や営業活動は全て営業パーソン個人のやる気任せ。その経営に限界を感じているならそろそろ「営業管理」に本気で乗り出す時期が来ていると考えましょう。

営業を管理する方法は?

顧客を管理する方法は1つではありません。最もかんたんな方法は「紙」です。日本における顧客管理の起源は江戸時代まで遡り、当時は「大福帳」と呼ばれていました。

ITの発達した現在では、クラウドを通じて24時間、世界のどこにいてもオンライン環境さえ整っていれば顧客情報にアクセスできるSFAやCRMといった顧客管理ツールも登場しています。また、売上などの数字を追い、経営戦略を立てたい場合は、販売管理ソフトなどを利用することも可能です。

しかし、紙は営業所が複数ある企業では共有できませんし、記入に時間がかかります。クラウドシステムは便利な分、ランニングコストが嵩みます。販売管理ソフトは売上など数字には強いですが、案件進捗などの管理はできません。そこで、営業管理にエクセルを使う企業が増えています

エクセルはオンライン環境があればグーグルドライブなどで共有が可能であり、一度システムを構築すれば記入もスムーズです。また、エクセルは他の業務でも使うため、デフォルトで導入していることが多く、コストもかかりません。さらにエクセルは計算に強いだけでなく、案件の進捗管理にも使えます。

では、エクセルでできる「営業管理」の種類と、管理する上でのポイントを解説します。

営業管理をはじめる前に必ず行うべきこと

営業管理は大きく5つに分類することができます。

・案件管理=顧客の連絡先や担当者など基本情報の管理
・進捗管理=アポイントからクロージングまで、現段階の営業状況の管理
・目標管理=売上目標に対して現在地を確認するための管理
・行動管理=営業がいつ何をしているかを把握するための管理
・成績管理=営業の実績を正当評価しモチベーションを維持するための管理

営業管理を実際にはじめる前に、自社の営業部門の「何を管理すべきか」を明確にしましょう。これは管理方法がエクセルであっても、クラウドでも同じです。

かんたんに言えば、「売上目標を達成している営業部門が目標管理をしても意味がない」ということです。新しいことを始め、それを定着させるにはかなりの労力を要します。

営業部全員に入力作業をさせるわけですから意味のない管理は、営業のモチベーションを下げる結果になりかねません。そして、営業管理の目的は収集した情報から課題の解決策を導くことです。

そのため「このデータを集めれば解決策が導き出せるはず」という仮定を立ててから管理をはじめ、結果をチェックする機会を設けるようにしましょう。管理をすること自体が目的にならないように気をつけてください

営業管理を始めるまでの手順

エクセルで営業管理を行う際の基礎

エクセルで営業管理を行う際には以下の点に気をつけましょう。どれも基本の「き」なので、エクセルを熟知している人は読み飛ばしても構いません。

注意1 データは1行につき1案件
注意2 余計な空白を作らない
注意3 情報を一元管理するために、ファイルはなるべく分けない
注意4 ソートの基本は期限が近い順
注意5 参考資料などがある場合は、ファイルへのリンクを貼る

注意の1、2は入力データを分析する際に数値や計算式がずれてしまわないためです。注意の3、4、5は視認性やわかりやすさを追求するためです。エクセルは慣れていないと非常に見にくいツールのため、1行おきにセルに色を敷くなど、万人が見やすいと思える工夫を考えながら構成しましょう。

では、前述した5つの分類に分けて管理のポイントを解説したいと思います。

営業の「案件管理」とは?ポイントはどこ?

案件管理とは売上を確定させるまでの道筋を詳細に記録することで、確実な成約を目指し、受注率を上げるために行う管理です。そして案件管理では、日々の営業活動の中で、進捗状況の詳細を把握することが大切です。企業の基本情報はもちろん売上の確度は高いのか、受注予定日はいつ頃かといった内容から、競合他社の有無までを記録します。

これらを管理することで売上予測の正確な判断ができるため、予算達成に向けて起こすべきネクストアクションが明確になります。また、競合他社のアクションをどうはねのけ受注につなげるかといった戦略を立てることで、確実な成約を目指します。

エクセルシートで「案件(顧客)管理」行うときのポイント

案件管理では主に、以下の内容を記録していきます。
・顧客名(会社名)
・担当者名
・住所
・電話番号
・メールアドレス
・企業URL
・所属業界
・受注確度
・流入経路
・競合有無
・フリースペース
決まったワードが入る場所はプルダウンなどを設定しておくと入力がスムーズです。ポイントを押さえた営業管理

営業の「進捗管理」とは?

進捗管理では、営業活動のスケジュール、商談が何回目でどの段階まで進んでいるかを管理します。アポイントからニーズのヒアリング、商談、クロージング、受注という一連の営業活動の見える化が可能です。進捗管理をすることで自社の営業活動の改善箇所が明確になります。

例えば、商談からクロージングへ移行する段階で問題が発生しやすい。それはどんな問題で解決策の標準化は可能かどうかといった議論が可能になり、業務の効率化につながります。

エクセルシートで「進捗管理」を行うときのポイント

現在の進捗がどの段階にあるのかが一目でわかるようにすることが大切です。そのため、契約確度や状況が冒頭に記載してある、または色付けで見やすくしておくなどの工夫をすると良いでしょう。スケジュール管理もかねる場合は、次回のアクションがわかるようにカレンダーを入れてもいいかもしれません。

営業の「目標管理」とは?

目標管理とは、予算と実績の間にどれだけの差があるかを見える化することが目的です。「ギャップ管理」とも呼ばれます。案件の進捗、売上の見通しをなるべくリアルタイムで把握することで、目標達成のための施策を練ることが可能になります。

エクセルシートで「目標(数字)管理」を行うときのポイント

確実な売上のためにしなければならないことは何でしょうか?
それは「売上の伸びない原因を特定すること」、「原因を解消するための対応策を立てること」の2つです。
これらを実現できるエクセル構築が必要になります。

例えば、一連の営業プロセスをアポイント、商談、クロージングと分けて比較したとき、どこがボトルネックになっているのかをわかるようにします。あるいは、見込み顧客を獲得チャネル別(HP問い合わせ、DM、セミナー、折込み広告、FAX、テレアポ、TVCM…etc)に分け、受注率の最も低いチャネルを縮小。優良チャネルを拡大します

また、個人成績でもソートができるようにし、ストロングポイントを活かした人材配置、ウィークポイントを改善するアドバイスや講習会の実施などを行うのも効果的でしょう。

営業の「行動管理」とは?

1時間に1件の営業活動を行うよりも100件の営業活動を行う方がビジネスチャンスは広がります。営業が1日にどんな動きをしているのかを把握するのが行動管理です。全員の動きが一覧でわかる業務日報と考えても良いでしょう。

訪問企業の選定や回数設定も大切

ただし、確度の低い顧客に「数打ちゃ当たる」方式でアタックするのと、優良顧客にじっくりていねいに営業するのでは、後者の方が売上につながりやすいはずです。そのため、優良顧客には「月●回必ず訪問する」などのルールを決めるのもいいでしょう。

エクセルシートで営業活動を管理する際のポイントは?

優良顧客の順位づけや担当営業の進捗状況、1日の行動履歴、営業で知り得た情報(フリースペース)などの項目に加え、次回の行動スケジュールなどを入れるのもおすすめです。

営業の「成績管理」とは?

個人がどれだけ活動し、成績を残したかを記録します。成績管理のメリットは決して数字だけでは測れない営業個々人の努力が見える化できる点です。

ある営業は、売上は伸ばしていないが、確度の低い見込み客に対しても営業をかけ続ける忍耐力と度胸がある。またある営業は、少ないチャンスを確実に物にするクロージング能力が高い。

このように売上金額だけではない面が見えるため、管理層は的確な評価を下せるようになります。また、苦手な業務が確認できた場合にはアドバイスを送ったり、ベテラン同行で勉強をさせたりといった施策を講じることも可能です。

エクセルで実績一覧表を作成

実績が一覧表になっていれば、仲間の頑張りが一目でわかり、モチベーションアップにもつながるでしょう。また、結果が出ない営業へのフォローアップに、管理職が動きやすくもなります。

無料でダウンロード可能なテンプレートを使うのもあり

これまで5つの営業管理方法を解説してきました。しかし「すぐに営業管理を始めたいけど、エクセルをゼロから構築する時間がない」という場合は無料のテンプレートをダウンロードするのもありです。ネットには営業管理に関するさまざまなテンプレートがあります。それを元に自社用にカスタマイズすれば時間短縮が可能です。

ただし、無料の資料を使用する際はダウンロードしたファイルが必ずしも安全が保障されているわけではないことに留意すべきです。特にファイルを開くとき、「マクロを有効にするか?」という表示が出た場合は注意が必要です。

営業管理ツールとしてのエクセルのデメリットは?

エクセル管理のデメリットを挙げるとすると、こまめな入力ができない点です。クラウド型の営業管理ツールではスマホなど進捗管理や行動管理を入力できますが、エクセルではノートパソコンを開かないと入力・編集ができません。

また複数の営業が同時編集できない点もデメリットと言えるでしょう。入力に手間がかかると、せっかくツールを作っても定着しにくくなります。そのため営業の人員が多い企業や、外回りが多い企業は、エクセルでの営業管理は不向きかもしれません。

自社にはエクセルでの管理が合っているのか、それともSFAやCRMとったシステムを導入した方がいいのか悩んだ場合にはTOMAコンサルタンツに一報ください。

TOMAでは、業務分析による現状把握から最適な業務フローを提案します。また、クラウドシステムを活用した生産性向上や働き方改革を支援します。業務改善に関するサービスはこちらよりご覧いただけます。