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人材育成の基礎知識!目的・手法・成功のポイントを徹底解説

記事作成日2019/11/28 最終更新日2021/01/21

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ひと口に人材育成といっても育成手法にはさまざまなものがあり、それぞれ異なるメリットとデメリットがあるので、効率よく人材を育成するためにもしっかり把握しておかなければなりません。

本記事では、人材育成を行う目的、人材育成の手法に加え、人材育成につながる施策や人材育成を成功させるためのポイントを解説していきます。

人材育成の目的

人材は会社にとって大切な資源といっても過言ではなく、人材育成は事業育成において重要なテーマであることは間違いありません。従業員の力なくしては会社を成長させることはできないでしょう。

人材育成には、企業にとって貴重な財産でもある人材を効率的に活用し、その価値を最大化して企業の経営戦略を達成するという目的があり、上手に行っていくことで企業の成長を大きく促進させる効果があります。それを実現させるためには、従業員の成長を促してモチベーションを向上させ、早期離職を防ぐことを最優先しなければなりません。

人材育成の3つの手法

人材育成にはさまざまな手法があり、企業によってその選択には違いが見られます。また、どの選択が一番正しいということはなく、全ての手法にメリットとデメリットがあるので自社にあった手法を見極めなければなりません。

それぞれの手法の特徴をよく理解し、複数の手法を組み合わせて行うのがポイントであるといえるでしょう。そのため、どのような手法があり、それにはどのような特徴があるのか、人材育成の主な手法を3つほど紹介するので確認しておきましょう。

1:OJT(On the Job Training)

はじめに紹介するのは、「OJT(On the Job Training)」という手法です。OJTは比較的導入している企業も多く、一度は耳にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

続いてOJTの具体的な概要とメリットやデメリットを解説します。メリットについては想像できる方も多いと思いますが、デメリットも存在します。概要と併せてご確認ください。

1-1.OJTの方法

「OJT」とは、実際の職場の中で一定の実務を任せ、従業員は実務経験の中でフィードバックを得ながら学びを得るという育成手法です。OJTの特徴として挙げられるのは、従業員一人ひとりに合わせた教育であるということでしょう。

マネジメントスキルの高い従業員を指導役に選ぶことで高い育成効果が発揮できるため、指導が得意な従業員がいるとより効率的に従業員を育成していくことができます。

1-2.OJTのメリット

OJTのメリットとしては「実際に業務を行いながら教育ができるので実践力が育つ」という点が挙げられます。また、基本的に社内で行う教育手法なので、研修費など外部に費用を支払う必要がありません。

人材育成は一筋縄でいかないことも多く、いくら指導方法に間違いがなくても従業員の能力によってはなかなか効果が出ないこともありますが、コストを抑えつつ教育ができるのでうまくいかなかったときのダメージを軽減することができます。

そのほか、従業員一人ひとりに応じて柔軟に計画を変更しながら育成を進めることができるというのも大きなポイントといえるでしょう。先ほど述べたように、従業員の理解が進まなかった場合も臨機応変に対応できるのがOJTの最大のメリットです。

他ではメンター(指導役)として担当する先輩社員の成長を促すことや、相互の信頼関係の構築などもメリットに挙げられます。

1-3.OJTのデメリット

OJTのデメリットとして挙げられるのは、前述した「指導役」のマネジメントスキルによって育成効果に差が出やすいということでしょう。また育成される従業員が、指導役となる人の考え方や行動に影響を受けやすいので、指導役の人選を間違えると効率的に育成することができません。

一方的に考えを押し付けたり、威圧的な指導をしていたりすると萎縮して従業員が離職してしまうかもしれないことに加え、もし育成した従業員が指導する立場になったときにもそのような指導方法が繰り返されていく可能性があります。良くない習慣が社内に浸透してしまうので、指導役の人選は慎重に行わなければなりません

そのほか、「OJTの対象業務以外の指導が手薄になりがちになるということ」も理解が必要です。業務にはさまざまは種類があり、実際に取り組むとなるとたくさんの知識が必要になりますが、OJTで教えられることにも限界があります。

単純な方法論だけ学んでおけば業務をこなせるようになるとは限りません。指導役は指導力だけではなくサポート力などの力量も問われることになるでしょう。

これらのデメリットはできるだけ抑えながら指導していく必要があります。その対策として「社内共通マニュアルを活用した指導」が重要になってきます。

社内共通マニュアルを活用することで、「指導者による差異が発生しにくい」「指導者の負担権限(指導時間短縮) 」「動画や画像マニュアルであれば理解も早い」など、さまざまな効果が得られます。とはいえ、マニュアルを作成するのはそれなりに手間がかかってしまうので、忙しい日々を送っているとなかなか作成に取り掛かることができません。この点はデメリットとして挙げられるでしょう。

2:Off-JT(Off the Job Training)

「Off-JT(Off the Job Training)」も従業員を育成するのに高い効果を発揮する手法です。Off-JTの具体的な概要、そしてOff-JTにはどのようなメリットやデメリットがあるのかここで確認しておきましょう。

2-1.Off-JTの方法

「Off-JT」とは、主に外部の指導者によって、業務から切り離された場で施される教育のことです。外部研修などはここに当てはまるといえるでしょう。同じ分野でもさまざまな講師がそれぞれの指導方法で研修を提供しており、その効果はケースによって多種多様です。

高い育成効果を得るには業者の選定が非常に重要になってきますが、何を決め手に業者を選べばいいのかわからないという人も少なくありません。従業員の課題を上司がしっかりと把握したうえで、それを効果的に解決できる研修を受けさせるのがポイントといえるでしょう。そのためには、日頃から従業員のことをしっかり観察しておく必要があります。

2-2.Off-JTのメリット

Off-JTのメリットとして挙げられるのは、「専門家による教育であるため職場では学べない知識や理論を習得することができる」ということでしょう。業務の内容を十分理解している従業員でもそれを上手に指導できるかどうかはわかりません。

また、優秀な従業員に育てるためには業務のノウハウ以外に知っておかなければならない知識がたくさんあります。研修を受け持つ業者は、「育成」に特化した教育ができるところも多く、自社の従業員では教えられないような知識もたくさん持っているので、レベルの高い教育をすることができます。

「参加した従業員同士で交流を行うことができる」というのも特徴の一つです。新たな出会いや人脈形成につながるので、新規のクライアントを獲得するチャンスなどあらゆる可能性が期待できます。そのほかにも、自社の従業員が複数で外部の研修に参加すれば社内のチームワーク向上にも大きな効果を発揮することができるでしょう。

また、普段とは異なる環境に置かれることによって、新しいアイディアや気付きを得やすいというのも大きなポイントです。社内に閉じこもっていると、自社のルールに縛られたりして柔軟な発想ができなくなることも少なくありせん。外部の人は常にフラットな立場で教育してくれるうえ、よその企業の人たちとも触れ合うことになるので風通しが良くなり、凝り固まった考えを拭えるようになります。

2-3.Off-JTのデメリット

Off-JTのデメリットは、「多くの講師が多様な研修を提供しているため社員に合った研修を選ぶのが難しい」という点にあるでしょう。外部の研修では一人の講師によって指導が行われるケースは稀であり、複数の講師が入れ替わり立ち替わりで指導していることがほとんどです。場合によっては、指導内容が統一されていないといったこともあるでしょう。

要領のいい従業員であれば重要な点だけ掻い摘んで学習することができるかもしれませんが、多くの場合指導内容が統一されていないとなかなか効率よく学ぶことはできません。実際に指導を受けてみないと効果がわからないのがOff-JTの難点といえます。

また、外部での教育となるのでコストが発生するということも理解しておかなければなりません。資金状況によっては受けたくても受けられないのはデメリットといえるでしょう。そして、学んだことを実際の業務に活かせるように工夫する必要があるというのもポイントです。

外部研修で教わることは、自社の業務に直接的に関係することではありません。教えてもらったことを自社に持ち帰ってどのように応用するのかをきちんと考えてから業務に取り組む必要があります。

3:SD(Self Development)

3つ目に紹介するのが「SD(Self Development)」という手法です。詳しい概要と、どのようなメリットやデメリットがあるのかを解説していきましょう。

3-1.SDの方法

「SD」とは、従業員が自らスキルを開発・向上させることで、自己啓発ともいわれる手法です。セミナー、資格取得のための勉強、読書などさまざまな方法が含まれますが、どのような手段も受け身ではなく自主的に取り組む方法であるのが特徴といえるでしょう。

第三者が直接的に指導を行うわけではないので、ある意味では難易度の高い育成手法ともいえます。それぞれが高い意識を持って自主的に学んでもらうようにするためには、上司が従業員に自らが成長した姿をイメージさせるなど工夫して取り組みを促すのがポイントになってくるでしょう。

3-2.SDのメリット

SDのメリットとして挙げられるのは「従業員一人ひとりが自分のスキル・課題・予算に合わせて計画できる」ということでしょう。従業員の特性を見極めるのは容易なことではなく、指導方法を間違えてしまえば従業員も成長することができません。その点、SDは社員一人ひとりがセミナー参加、資格取得に向けた学習、読書など、さまざまな方法から自分に向いている方法を選択できるので、そのようなリスクも軽減できます。

また、従業員一人ひとりが自分のスケジュールに合わせて時間や場所に縛られることなく能力開発を行うことができるので、ストレスを抱え込むことがあまりありません。教育や指導が重要なのはたしかですが、従業員のストレスが溜まりやすいのも事実です。そのことを鑑みると、自分のペースで学習できるというのはSDの大きなメリットといえるでしょう。

3-3.SDのデメリット

SDのデメリットは、ある程度自主性に任せる方法なので、途中で挫折してしまったり長続きしなかったりする社員が出てくる可能性があるという点にあります。アドバイスが受けられる環境でない場合、どうしてもひとりよがりになってしまう可能性が高く、効果的な方法でスキルアップできなかったり、単なる自己満足で終わってしまうかもしれません。

目標設定ができたり、自己管理が適切に行える人であれば高い効果を発揮できますが、逆に誰かに指導してもらったほうがいいという人も一定数いるため、すべての人に効果がある手法でないことは否めません。

人材育成につながる2つの制度

人材育成を効率的に行うために有効な制度があります。どのようなルールを敷くと効果的な人材育成ができるのでしょうか。ここでは特に効果の高い制度を2つ紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

1.目標管理制度

「目標管理制度」とは、個々の従業員もしくは数人のグループごとに独自の目標を設定し、その目標を達成した度合いで評価を行う制度です。会社側で目標を設定してあげることで、各々の従業員が自分の目標に向けて行動できるようになり、責任感やモチベーションを向上させることができます。

目標設定においては、具体的な数値を用いて、従業員にとって高すぎることも低すぎることもない適正なレベルの目標を定めることを意識しましょう。目標達成の期限や方法も決めておくとさらに効率よく育成することができます。

2.人事評価制度

「人事評価制度」とは、年功序列制度とは違い、従業員のスキルや貢献度などを報酬や待遇に反映する制度のことを指します。日本ではこれまで年功序列制度が採用されることが多かったですが、勤続年数だけで昇進、昇給が行われる組織においては、従業員の向上心の芽生えが妨げられる可能性があります。

成果をあげた従業員はしっかりと讃え、実績に基づく昇進、昇給の制度を用意しなければ、従業員のモチベーションはなかなか上がりません。労をねぎらってモチベーションの維持に努めれば、組織全体に活気がもたらされることが期待できます。優秀な従業員が離職していかないためにも、人事評価制度にはしっかり気を配りましょう。

人材育成を成功させるポイント

人材育成は自社の課題や従業員のレベルに即した方法で行うのがポイントです。他社が実施して効果的だった方法が自社にも良い効果をもたらすとは限らないので、自社に適した手法が何なのかしっかり見極めるようにしましょう。

そのためには、まずは現状把握をしっかり行い、組織全体としての目標を思い描いたうえで、目標達成につながるような方法で人材育成に取り組むことが大切です。わからないことがある場合は専門家に相談し、客観的な意見をもらうとより良い手段が見つかるでしょう。

自社に合った方法で人材育成を成功させよう

人材育成に取り組むことは、生産性向上はもちろん、人手不足への対応にも効果があります。効率よく人材を育てるには、自社の状況や課題に適した方法を取り入れなければなりません。

「TOMAコンサルタンツグループ」では、人材育成について経験豊富な専門家に相談することができ、セミナーに参加してさらなる知識を得ることも可能です。自社の社員の能力向上に取り組みたい方は以下、無料相談・お問い合わせよりご連絡ください。