これまでは無駄な業務の排除や、重複作業の洗い出し、効率的ではないシステム・業務手順の改善などについて解説してきました。ところが、企業や部署によっては、別の視点で業務の無駄が発生している場合があります。それが「稼働率の低さ」です。
経営者にとって、稼働率は限りなく100%にしたいところです。しかし、洋菓子店のクリスマスシーズン、観光地のゴールデンウィークや夏休み、引越し業界の年度始めなど、繁忙期と閑散期の差が激しい業界では、繁忙期の業務量に対する人員不足を恐れ、多めの人員が配置されていているケースがしばしば見られます。
稼働ロスを改善する方法としては、閑散期の業務量を想定した人員で普段は業務を行い、繁忙期にのみ、追加でアルバイトやパートを導入する、あるいは、稼働ロスが発生する閑散期には、別の業務に従事してもらうといった方法が考えられます。
稼働率を上昇させる場合の注意
もし、実態を把握しながら、何も対策を講じていないなら、「稼働率」も大きな業務改善のポイントです。人員の削減を検討しても良いでしょう。ただし、1つ気をつけたい点があります。実際に働いている現場の声を聞くと、「人が足りない」と考えている従業員も少なくありません。
本当に人が足りないのか、ただの怠惰な意見なのかは見極めが重要です。いきなりトップダウンで人員を削減したり、閑散期の業務量を増やしたりすると、従業員のモチベーションが低下する原因になります。改善策を実施する際には、客観的にとったデータを従業員に提示し、納得の上で行わなければなりません。
以下に示すように、実際の就労時間と、論理的な業務時間の差がどうなっているのかをグラフなどにして表すと分かりやすいでしょう。
業務量と要員の数を合わせて業務の効率化を計りましょう。