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不動産の高値売却を検討中の方へ! 失敗事例と注意点、賢い売り方の秘訣をお教えします

記事作成日2025/05/29

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「不動産を高く売りたい」と考えるあまり、「購入検討者から見向きもされないような無謀な売り出し価格の設定」や「仲介営業担当者との関係性づくりに失敗する」など回り道ばかりしてしまう方は少なくありません。「一括査定」や「一般媒介契約を複数社に依頼する」など、良かれと思って行ったことが、かえって売却価格を下げる要因になるかもしれません。

不動産は非常に個別性が高いため、多くの人の目に触れることで、かえって購入検討者の購買意欲を減退させたり、売却までに相当な時間がかかったりすることもあるため、注意が必要です。

「不動産が高く売れた」という成功事例はネット上でも多く見かけるかと思いますが、「買い叩かれてしまった」「手間ばかりかかって全く売れなかった」「売却後にトラブルが発生した」などの失敗事例はあまり知られていないのではないでしょうか。

この記事では、賢い売却活動が行えるよう、失敗事例を中心にご紹介し、最後に「誰でもできる!高値売却成功の秘訣」もお伝えします。

これだけはNG! 良かれと思った「仲介手数料無料の買取り」や「媒介契約」が逆効果だった例

不動産の売却は人生において大きな決断であり、経験する機会も滅多にありません。そもそも売買代金が高額なため、価格に差があると大きな価格差となりますので「安値では絶対に売りたくない」「価格交渉で妥協したくない」と考える人も多いはず。

ただ、不動産をなるべく高く売りたいと思い試行錯誤したことが、かえって売却益を減らす要因になってしまうケースもあります。せっかくかけた時間と労力が逆効果にならないよう、失敗例も交えて注意点をご紹介します。

一見メリットが大きいと誤認する「仲介手数料無料」での【買取り】

一般的に、「仲介手数料無料で買い取ります!」と勧誘してくる買取り業者は、高値では買い取ってくれません。買取り業者は主に転売目的での取得になりますので、市場価格で買い取ってくれるということは、よほどの希少性や特殊事情がない限りあり得ませんのでご注意ください。

不動産売却時の必要諸経費である仲介手数料ですが、大手仲介業者をはじめとし、中小規模の不動産会社や街の不動産業者まで、一定額以上(※1)の不動産であれば、媒介契約時に売買代金の3%+6万円(税別)の手数料負担を提案されることが一般的です。

【例】
● 5000万円の不動産の場合:5000万円×3%+6万円=156万円+消費税
●  7000万円の不動産の場合:7000万円×3%+6万円=216万円+消費税
● 1億円の不動産の場合:1億円×3%+6万円=306万円+消費税
※計算式を分かりやすくするため、上記不動産は土地の場合を想定して例示しています。

※1 取引価格が400万円を超える場合(低廉な空き家等の特例適用の場合は800万円以下の取引額でも仲介手数料30万円+税)

節約志向で経済観念のある一般消費者目線としては「仲介手数料が高い」「仲介手数料を節約する方法はないか」「仲介手数料はなるべく払いたくない」と思ってしまうものですから「仲介手数料無料!」と聞くと、とても魅力的に感じてしまうかもしれません。

しかし、注意が必要です。買取り業者は不動産仲介業者を通すのではなく、売り手から直接買い取るため、売り手も買い手も仲介手数料を負担することが無くなるのですが、そのことと、売買代金が適性であるかどうかは別問題です。

買取り業者としては、「仲介手数料の負担が無い分、売買代金を上乗せして買取ります」と表明する代わりに、直接買い取りを行うことで他の買主との競争を避け、なるべく多くの利益が出ることを狙っていたりもします。

よって、提示された価格が、他の買主との価格競争の結果として決まった価格なのか、ご自身にとって仲介手数料の負担を考慮しても得な価格であるのか、しっかりと見極める必要があります。即決は考えものです。

不動産売買においては、売買契約締結後、売主のほうから「やはりキャンセルさせてください」は通用しません。白紙での契約解除はできませんので、手付金の倍返し(受領した手付金の倍額を買主に提供して契約解除)か、手付解除期限が到来してしまった場合には違約解除で違約金を請求されたり、不本意ながらも物件を引き渡さざるを得ない状況になったりいたします。ご留意いただければと思います。

仮に市場価格がおよそ1億円の不動産を8,000万円で買い取ってもらう場合を想定すると、たとえ仲介手数料無料であったとしても、買主から受領する金額は8,000万円にしかなりません。一般的に買取り業者の利益や販売経費を考えると市場価格より高く買い取るケースは、ほとんどありません。

ところが、仲介業者に依頼して1億1,000万円で買い手を見つけてもらった場合、

1億1,000万円-仲介手数料3,696,000円(1億1,000万円×3%+6万円+税)
=1億630万4,000円


になりますので、仮に仲介手数料を満額支払ったとしても、仲介業者に依頼したほうが、買取り業者に依頼するよりも「売却益(=残るお金)は増える」といったことが分かります。上記を比較すると、2,600万円以上の差額が生まれますので、売却先はよく検討することが大切です。

もちろん、たとえ価格が下がったとしても、買取り業者に依頼するメリットもありますので、個別事情を考慮しないことには、一概にどちらを選ぶべきかは決められませんが、一般論として「買取り業者の価格は再販売するための仕入れ値である」ことが多いという点を踏まえておく必要があります。


専属専任媒介契約または専任媒介契約で知っておくべきこと

相談相手は慎重に見極める

「いつもお世話になっている管理会社に売却を任せよう」「(相手の得意分野はよく分からないが)知人に不動産業界で働いている人がいるから売却について相談してみよう」と考える人は多いものです。

ただし、ひと言で不動産業界といっても、業務範囲は幅広く、対応可能エリアに該当しているかどうか、対象不動産の種類の取扱い実績があるかどうか等、依頼する相手の得意分野をよく調べてからご相談いただくことをおすすめしています。

中途半端に人間関係ができている場合、多少得意分野と異なる場面であっても、引き受けられてしまう場合もありますし、何かトラブルが生じた際には、その後の人間関係にも響いてくるため、慎重に相談相手を見極めることが重要です。知り合いだからということでお願いすると、希望と異なる条件であっても、「購入検討者を探してもらったので断りづらい」といった悩みに発展することもあります。

不動産仲介の営業担当者によっては、「友人からの依頼は絶対に引き受けない」といったポリシーを持つ人もいるほどです。

不動産の売却は、売主の資産状況やご家族との関係など、プライバシーに深く関わる内容であるため、営業担当者にとっても、今後の人間関係を見据えると、やりづらいところもあるようですが「せっかくご依頼いただいたのだから…」と得意分野ではない領域であっても引き受けてしまう方もいるので注意が必要です。

セカンドオピニオンも検討しましょう

「餅は餅屋に任せる」といったことわざがありますが、専門分野のことはその道に最も詳しい人に任せることが得策です。ただ餅屋にも色々な餅屋職人がいて、どんな餅が得意な餅屋職人さんなのかが重要だと思います。

ときおり「なぜその価格感で売り出したのだろう?」と不思議に思うような価格で不動産が売り出されることがありますが、大概の場合、相場観を知らない営業担当者による査定であるか、依頼者から指定された金額によって値付けされた結果であると読み取ることができます。

そして多くの場合、そういった物件は購入検討者が殺到するか、まったく集まらないことになります。値付けの妥当性は、市場に出してみないと分からないものであり、市場競争によって決まります。

注意したい点として割安感のある価格であった場合は依頼した不動産業者からの「直接買い取り」の申し出があったり、「第三者を通じた取得」があったりしますので、そんな流れを感じたらセカンドオピニオンの取得をおすすめします。

この記事を読んでいる皆さまは、ぜひ依頼先を見誤らないよう、賢明な選択をしていただければと思います。


高値査定だから良いというわけではない

一度、どこかで専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結しますと、契約期間中は他社仲介業者には依頼することができません。複数社に査定を依頼し、「最も高値で提案した仲介業者と専任媒介契約を締結する」といった選択をされる方は多いものですが、前述したとおり、市場に全く見向きもされないような高値で売出しを開始したところで、買い手は現れません。高値査定だから良いというわけではないのです。

「期間内に売却できなければ買い取ります」との前提で専任媒介契約を取得する仲介業者もいますが、その場合の買取り価格は「必ず転売できる価格」であることが多いので、その点もご注意いただければと思います。

特に、自宅の買い替えで先に購入物件が決まっている場合、購入資金を調達するための期限がありますから、こういったやり方で市場価格を大きく下回る金額での売却にならないようお気をつけください。

もう一点、専任媒介契約を締結する上で、知っておきたいことについて「仲介手数料の配分」があります。専任媒介契約を締結した不動産業者は自社で買い手を見つけてきても、他社が買い手を見つけてきても、ご依頼者からの仲介手数料を特別な約定が無い限り「必ず受け取れる」という点です。

つまり専任媒介契約さえ締結できれば、買い手探しに努力をしようがしまいが、成約の暁には手数料収入が必ず入ることになりますので、物件に関する反響を待っているだけでも仕事になってしまいます。

その一方で、他社の腕利き営業担当からすると、仲介手数料の半分は他社が得ることになるのが分かっていますので、買い手に紹介する際には自社で抱えている専任物件よりも優先順位が下がり、積極的に他社物件を紹介したいとは思わない場合もあります。

もちろん、そんなことを口に出して言う営業担当はいませんので、この仕組みも理解しておく必要があります。

複数社に一般媒介契約を依頼する際の注意点

不動産の媒介形態の一つである一般媒介契約。できるだけ多くの不動産業者に物件情報を知ってもらおうと、このかたちで媒介契約を締結する方も多いと思います。ではその一般媒介契約、いくつかの会社に重ねて依頼しようとする際に注意すべき点をお伝えします。

媒介契約の内容をよく理解せずに契約締結を行いますと、思わぬトラブルに発展する場合がありますので注意が必要です。

各社の売り出し価格・売り出し開始時期

一般媒介契約を複数社に対して同時並行で依頼する際には、最低限守らなければならないマナーとして、売出し価格及び売出し時期を揃えておく必要があります。同一の不動産が異なる価格で販売されていると、一般消費者を混乱させることになりますし、「安いほう」が選ばれがちになりますので媒介業者間での公平な競争ではなくなってしまいます。

また、売り出し開始時期が異なる場合、あとから売出し開始する仲介業者にとっては、先を越された感が残りますし、先にスタートラインに立ったほうが有利なため、本腰を入れて販売活動を行っていただけないかもしれません。

実際に不動産を売ってくれるのは営業担当者ですから、競合物件が多数あるなかで、まず、ご自身の物件が営業担当者に選ばれなければなりません。そのためには営業担当者のモチベーションを下げずに、快く物件の紹介・引渡しのサポートをしてもらえるよう労う姿勢も重要な戦略と言えます。

一般媒介契約は他社で成約されてしまう不安定感があるものの、他社の専任媒介物件と違い、営業担当者が買主側に加え売主側からも仲介手数料を得られるチャンスがあります。その分だけ物件を取り扱うモチベーションが高くなりますので、複数社で競わせて高値売却を狙うなら、各営業担当者が「売りやすくなる」ような工夫をしていくことが重要です。

媒介契約の内容をよく理解してトラブルを避けましょう

一般媒介契約の中にも種類があります。そのひとつが「明示型・非明示型」です。明示型とは、依頼先の媒介業者名などを伝えて一般媒介契約を締結することであり、非明示型とは、依頼先媒介業者名を明かさないことです。

明示型の場合は、媒介契約書のなかに競合他社名を記載する欄がありますので、依頼先を明かさなければなりません。どこに依頼しているのかを伏せたい場合は、非明示型を選べばよいのですが、非明示型では、お互いにどこの業者に依頼されているのか分からないため、物件案内をする際にお互いがバッティングしないよう細心の注意を売主自身が払う必要があります。

また、信用第一の不動産取引において、「情報を開示していただけない売主」の物件は、どうしても優先順位が下がりがちです。この非明示型の場合は「引き受け不可」と断られる場合もありますので、安易に選択すべきではないかもしれません。

成約になるかどうか分からない案件に対して、無償でどこまで対応してくれるのかは、その営業担当者が抱えている案件数次第となり、どうしても専任で預かっている物件を優先してしまうことも考えておかなければなりません。現在、どのくらいの専任物件を扱っているのかを直接お尋ねしてみるのも参考になると思います。

実務経験のない売主が複数の仲介業者をコントロールするのはかなり大変

不動産の売却には、かなりの手間がかかります。流動的に状況が変化していくため、その流れにうまく乗って決断していかないと、手間ばかりかかってしまって、結局売却できないといった結果に陥りがちです。購入検討者とのご縁が千載一遇のチャンスかもしれませんし、早まった行動なのかもしれません。

不動産仲介の実務経験がない売主にとっては、その判断は悩ましいものです。先日まで自分の味方であったはずの営業担当者が、購入検討者の代理人に早変わりするのです。

何とか成約に持ち込みたい担当者は、あなたに契約をすすめてきますし決断するよう促します。しかし、何を基準に買い手を選べば良いのでしょうか。早い者順ですか?ローンの有無ですか?金額の多寡ですか?決済の時期でしょうか?その判断は自身でしなければなりません。

相手がどんな方かもよく分かりません。ものを買う時に「この商品はおすすめできません」と答える売り手は皆無に等しいのと同じように、「よく考えてから決めてください」と言ってくれる営業担当者は稀にしかいません。

一人の担当者に対峙するのも困難なのに、複数の担当者からの説得にどう対処すればよいのでしょうか。

結局は「タイミングが良かったので契約しました」という結果になりがちです。本来は不動産会社の仲介者は売主と買主の希望のすり合わせに動くべきところですが、実際のところは買主のために買主希望条件を迫るケースが多く見受けられます。

ただでさえプロと一般消費者との間には情報格差が存在します。その決断が正しいのかどうか第三者に判断して欲しいものですよね。各社をコントロールし自ら決断するのは気苦労が絶えません。

「高値売却するなら一括査定」には注意!

WEBなどで見かける「高値売却するなら一括査定」というフレーズは、いかにも競争原理を利用した売却方法かのように誤認させますが、「査定価格」は「実際に売れる価格」ではなく「チャレンジ価格」が含まれている場合があるため、ご依頼者の手間を増やすだけの結果となります。

仮に相場とかけ離れた高すぎる価格で売出した場合、買い手にとっては、値引き要請のハードルはかなり高いため、購入反響が入らない物件となる可能性が高くなります。

最もやるべきでない売却方法は、高値で売り出したあとで少しずつ価格を下げていくことです。多くの仲介業者がこのような方法を提案しますが、買い手の立場からすると「売れ残り感のある物件」として印象が付いてしまい、「購入を決めることを躊躇する理由」にもなるため安易に選択しないほうが賢明です。

高値売却成功の秘訣を少しだけご紹介

価格の妥当性や根拠を知りたい場合は、中立的な立場である不動産コンサルタントや不動産鑑定士など、第三者目線による価格レポートを取得したり、「不動産売却準備のためのワークシート」を活用したりすれば、納得感のある売却活動を行う助けになります。

「不動産コンサルタントへの相談はハードルが高い?」と考える方もいると思いますが、一度中立的な立場からアドバイスを貰える専門家に相談することをお勧めします。

TOMAの不動産コンサルティングサービスなら、以下のような特徴がありますので、初めての方も安心してご相談いただけます。

特徴① 第三者目線で中立的なアドバイスが可能
特徴② お客様自身に納得いただける意思決定をお手伝い
特徴③ ご自身のペースでご検討可能
特徴④ 安心の成果報酬型


不動産仲介業者への査定・媒介依頼前(ご依頼状況によりますので、詳しくはお問合せください)であれば相談料無料にて対応可能です。


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