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建設業許可とは?要件、種類、手続き、注意点などを解説します。

記事作成日2024/01/10 最終更新日2023/10/26

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建設業許可は建設業法で定められています。建設業法は不良工事防止と適正な施工の実施による発注者保護、建設業の発達促進を目的としています。 この2つの目的を達成するための方法の1つとして、建設業者の能力の向上が必要と考えられ、その具体的な方策として建設業許可があります。建設業許可を受けていることが、建設業者の能力の担保にもなっています。

この記事では建設業許可とは何かという点から要件や手続きなどを解説いたします。

建設業許可とは何か?なぜ必要か

建設業許可は、建設業を営む場合には受けなくてはならない許可で、許可を受けていない場合には工事を請け負うことができません。例外として、軽微な建設工事のみを請け負う場合は、必ずしも許可を受ける必要はありません。

軽微な建設工事とは、工事一件の請負金額が税込みで500万円未満の工事を言います。(建築一式工事は、1,500万円未満の工事もしくは延べ面積150㎡未満の木造建築)請負金額には材料や機械器具の費用も含まれ、発注者が材料を用意した場合も材料の市場価格、運送費が請負代金に加えられます。

材料や機械器具が高額となるとその分請負金額も高額となる為、建設業許可を受けなくては工事を請け負う事が出来ないケースが多くなります。

建設業許可の要件

建設業許可を受けるためには、以下の許可要件を満たすことが必要です。

① 経営業務の管理責任者を置くこと。
② 社会保険に加入していること。
③ 営業所ごとに建設業に関する一定の資格又は経験を持つ専任技術者を置くこと。
④ 請負契約に関して誠実性を有していること。
⑤ 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること。

建設業許可の種類

建設業許可は、「許可権者」、「下請契約の締結総額」、「建設工事の種類」によって許可が分かれています。

許可権者による許可

「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」があり、営業所をどこに置くかでどの許可になるか区分されます。 営業所とは建設工事の契約を締結する場所の事を言い、単に従業員がいるだけの事務所や資材置き場等は建設業法上の営業所には該当しません。

・国土交通大臣許可
→営業所を複数の都道府県に置く場合に受ける許可
・都道府県知事許可
→営業所を1つの都道府県にのみに置く場合に受ける許可

下請契約の締結総額による許可

「一般建設業許可」と「特定建設業許可」があり、元請けの建設工事1件あたりの下請契約の締結総額によって区分されます。「一般建設業許可」と「特定建設業許可」では専任技術者の資格要件が異なり、「特定建設業許可」の方が厳しい要件になります。

・一般建設業許可
→下請け工事のみの場合や、元請けでも下請契約を締結する金額が税込み4,500万円未満(建築一式工事は7,000万円未満)の場合に受ける許可
・特定建設業許可
→元請けの建設工事1件につき、下請契約を税込み4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)で締結する場合に受ける許可。
※下請契約を複数締結する場合には、締結した下請け契約の合計額

建設工事の種類による許可

建設業許可は、営もうとする建設業の種類によって2種類の一式業種と27種類の専門業種があり、あわせて29種類に分かれています。複数の建設業の種類を営もうとする場合、それぞれの業種で許可を受ける必要があります。

・一式業種
→土木一式工事、建築一式工事があり、原則は元請けでの請負となります。
・専門業種
→大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事等の業種があり、元請け・下請けどちらでも請負が可能です。

許可の申請手続き

建設業の許可には複数の要件があり、許可の区分によって要件も異なります。要件に合わない場合には許可を受けることができないので、まず申請しようとする許可はどのような要件か、その要件に合っているかを確認することが必要です。

許可の要件が確認できれば、申請書類の準備が必要です。許可申請に必要な書類は、様式の定められた許可申請書類の他、身分証明書などの添付書類、許可要件を確認するための確認書類があります。

身分証明書などの添付書類で発行日の記載がある書類は、発行日から3か月以内のものでなくてはなりません。申請書類を提出するタイミングで有効期間が過ぎている場合、再度取得する必要がありますので、余裕をもって準備する必要があります。

申請書類の提出先は、国土交通大臣許可と都道府県知事許可で提出先が異なります。国土交通大臣許可であれば管轄の整備局に提出しますが、都道府県知事免許は各都道府県の窓口に提出します。

東京都知事許可であれば東京都都市整備局窓口ですが、千葉県知事許可であれば本店所在地を管轄する土木事務所が窓口になっており、都道府県ごとに異なる場合があります。

許可取得までの流れ・注意事項

建設業許可は許可申請書を提出してすぐに工事を請け負う事が出来るわけではありません。申請書類を提出後、許可権者が審査をし、許可がおりると建設業許可通知が申請者へ送られてきます。

建設業許可通知に記載されている許可有効期間に工事を請け負う事ができる為、余裕を持ったスケジュールで申請する必要があります。また、スムーズに許可申請をするため、添付書類の内容に問題がないかを確認することも大切です。

例えば、建設業許可の必要書類には、会社の定款や登記簿謄本が求められています。会社の定款には事業目的が定められていますが、建設業の許可を受けるには事業目的に申請する建設業の業種が定められている必要があります。

申請直前に目的変更手続きをしていると完了までに時間がかかり、許可を受けるのが遅くなります。スムーズに許可申請をするには、許可を受けようとする建設業の種類と事業目的があっているか確認し、事業目的の変更が必要であれば事前に手続きを完了させておくことも大切です。

許可取得後の注意点

建設業許可は取得後にも引き続き建設業を営むための更新と、毎事業年度終了後の決算変更の手続きが必要となります。建設業許可は有効期間が定められており、許可日から5年間が有効期間となっています。

有効期間満了後も引き続き建設業を営む為には、有効期間が満了となる30日前までに更新の許可申請を提出しなくてはなりません。更新せずに有効期間が過ぎてしまうと、許可が失効してしまうため、許可を更新する際は早めの準備が大切です。また、毎事業年度終了後にも決算変更届を提出しなければなりません。決算変更届は事業年度終了後4か月以内に提出する必要があります。

更新、決算変更以外にも商号や名称、代表者、役員、専任技術者等の変更事項が生じた場合にも手続きがあり、それぞれ定められた届出期間内に提出する必要があります。

まとめ

建設業を営むには建設業許可を受けなくてはなりませんが、受けようとする許可によって要件、必要書類が異なり、複雑な場合もあります。許可申請後も、提出した書類だけでは許可がおりず、追加で書類を準備しなくてはならなかったり、修正が必要となる場合もあります。初めての申請や、複雑な申請の場合には一度専門家へ相談することをお勧めいたします。

TOMA行政書士法人では、建設業許可も含め各種許認可の申請サービスを提供しております。お気軽にお問い合わせください。

参考文献・リソース

・国土交通省 関東地方整備局 「建設業許可申請・変更の手引きR5年1月更新」
・東京都都市整備局 「建設業許可申請変更の手引き R4年度」
千葉県HP 建設業許可について
東京都HP 建設業許可のご案内

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