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取締役会とは何か?開催頻度、決議事項、議事録の記載事項など概要を解説します。

記事作成日2015/10/14 最終更新日2023/06/14

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この記事では会社における取締役会について概要をご説明いたします。なお、取締役会に関しては以下のような記事もあります。ぜひ合わせてご覧ください。

・取締役会の開催方法について(通常開催・テレビ会議・書面決議等)
・取締役会を廃止するにはどのような手続きが必要か
・取締役会の権限・定足数と議決権数・議事録のポイント

取締役会とは

取締役会とは、会社のすべての取締役で組織される機関であり、会社の業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定・解職を行います。非公開会社(発行するすべての株式について、定款で譲渡制限が定められている会社)であれば設置は義務付けられていませんが、定款で定めることで設置することは可能です。

取締役会の開催頻度

定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に年1回必ず開催しなくてはなりません。それでは取締役会の開催も1年に1回で足りるでしょうか?

会社法では、代表取締役は3か月に1回以上の頻度で職務執行の状況について取締役会に報告する義務が規定されていることから(363条2項)、少なくとも3か月に1回は取締役会を開催する必要があります。

取締役会の出席者

取締役会は、会社のすべての取締役から構成される機関ですから、取締役はもちろん出席メンバーです。それでは監査役の出席も必要でしょうか? 会社法では、「監査役は取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない」と規定されています。

一方、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定している場合にはこの出席義務は課されてはいません。ただし、この場合においても監査役が任意に取締役会に出席することはできます。

取締役会議事録の記載事項について

取締役会議事録は、会社法で作成が義務付けられ(369条3項)、記載すべき内容も詳細に定められています(同法施行規則第101条第3項各号)。

主な例としては、①開催日時・場所、②議事の経過の要領と結果、③決議事項について特別の利害関係がある取締役がいる場合にはその氏名、④出席した執行役・会計参与・会計監査人・株主の氏名、⑤議長の氏名などが挙げられます。議事録の形式は、書面または電磁的記録である必要があります。ハードディスクやCD-ROMに保存する方法も許されます。

特別利害関係取締役とは

取締役会議事録の記載事項に「決議事項について特別の利害関係がある取締役がいる場合にはその氏名」という事項があります。決議事項について特別の利害関係がある取締役とは、いかなる取締役を指すのでしょうか?

会社法は取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができないとしています。会社と取締役個人の利害が対立するような場合に、その取締役に会社の利益に則した公正な判断を期待することができないことから、決議への参加を制限しているのです。

このことから、さらに特別利害関係取締役は議長にもなれず、決議の定足数にも参入しません。取締役が会社の事業と競合する事業を行おうとする場合や、取締役と会社が取引を行おうとする場合、利益相反取引を行おうとする場合に必要となる承認決議(365条・356条)において、その取締役は特別利害関係取締役にあたります。

また、判例上、代表取締役を解職する取締役会において、その(代表)取締役は特別利害関係人にあたるとされています(最判昭和44年3月28日)。取締役会議事録において、特別利害関係取締役が存在した場合にはその氏名を明記することが義務付けられ、このことによって当該取締役が議決に参加していないことを事後に確認することができます。

取締役会で決定しなければならない事項

会社法では、必ず取締役会で決定しなければならない事項が定められています(362条4項各号)。主なものとしては①重要な財産の処分・譲受け、②多額の借財、③支配人その他の重要な使用人の選任及び解任、④社債の募集などです。どれも会社にとって重要な意思決定が求められる場面であり、これらの事項については各取締役に決定を委任することはできません。

取締役会議事録には、「議事の経過の要領及びその結果」を記載しなければなりませんので(同法施行規則101条4項)、それらの事項についての議案が出され決議された場合にも、その内容を明瞭に記載する必要があります。

取締役会決議を欠く会社の取引の効力について

それでは、取締役会決議を必要とする取引が決議なしに行われた場合、その取引の効力はどうなるのでしょうか?このような場合であっても会社の取引がただちに無効となるわけではありません。

最高裁は、一人会社の株主の同意がある場合には会社の行為は有効であると判断していますし(最判平成5年3月30日)、株主の同意がない場合であっても、①重要財産の処分のケースにおいて、代表取締役の行為をただちに無効とはせず、取引の相手方が取締役会決議を経ていないことを知っていたか、または知ることができた場合に限り無効であると判断しています(最判昭和40年9月22日)。

TOMA行政書士法人では、議事録の作成サポートやコンサルティングを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。また定期的にメールマガジンも発行しておりますので、お気軽にご登録ください。お申込みはこちら

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