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取締役会の開催方法について(通常開催・テレビ会議・書面決議等)

2020.06.17

2020.06.17

取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行うこととされていますが(会社法369条1項)、その出席の方法については、会社法上、特に規定されていません。

今までは、定期的に取締役会を開催して、取締役が開催場所に集うことが多かったですが、新型コロナウイルスの影響もあって、最近では取締役会の書面決議又は電磁的記録による決議が今まで以上に注目されています。

今回は、注目を集めている書面決議又は電磁的記録による決議を中心に取締役会の開催方法について解説していきます。

実開催する場合(人を同じ場所に集める場合)

取締役会を開催する場合、原則として、取締役会日の1週間前までに招集通知を送付し(定款で期限を短縮することも可能です)、取締役の過半数の出席が必要です(会社法368条、同369条)。

そして、株主総会の場合と異なり、取締役は、その出席を第三者へ委任することができず、議決権の代理行使をすることが認められていません。

実開催する場合(人を同じ場所に集めない場合)

テレビ会議又は電話会議方式(以下「テレビ会議等」といいます。)による取締役会を行う方法です。
テレビ会議方式とは、インターネット等に接続されたテレビ・パソコン等を利用することで、会議の参加者同士の音声と画像が同時に伝わり、意思疎通がお互いにできるシステムのことをいいます。

一方、電話会議方式とは、電話回線を利用して音声で参加し意思疎通を行うシステムのことをいいます。

いずれの場合であっても、取締役が一堂に会するのと同等の相互に十分な議論を行うことができるシステムを備えている場合には、可能であると解されています(平成14年12月18日付民商3044号民事局商事課長回答、同3045号通知、会社法施行規則101条3項1号)。

テレビ会議等によれば、取締役会の開催場所に取締役が実際には出席せずとも有効な取締役会を開催することが可能であるため、取締役会の開催が容易になると考えられます。
テレビ会議等により参加した取締役も、当該取締役会に出席したことになります。

実際に、当方の経験上、事業のグローバル化により、取締役が海外等に駐在するケースも多くなったことから、テレビ会議等を利用して取締役会を開催する企業も増えつつあります。

テレビ会議等による取締役会議事録

テレビ会議等により取締役会を開催した場合であっても、通常通り、取締役会議事録を作成します
したがって、取締役会議事録には、テレビ会議等により一部の取締役が取締役会に出席した旨を記載し(会社法施行規則101条3項1号)、当該取締役が記名捺印をする必要があります。

しかし、取締役が各地(特に海外在住者)にいる場合に、取締役の全員から記名捺印を取得するのは容易ではありません。順次記名捺印をすることになろうかと思いますが、非常に時間がかかります。
そのため、決議事項が変更登記申請を要するものである場合、当該取締役会議事録を法務局に提出する必要があり、2週間の登記申請期限までに変更の登記申請をすることができない可能性があります。

そこで、遠方在住の取締役がいる場合には、登記実務上、①取締役会議事録に出席取締役の過半数が記名捺印を行い、かつ数か月以上海外から帰国できない等やむを得ない事情により取締役の一部が記名捺印できないことを証する代表取締役の上申書を別途添付することにより、登記申請を行うことが認められることがあります。

とはいえ、これはあくまで登記申請手続における便宜上の措置であるため、登記が完了した後、取締役会議事録に出席取締役の全員が記名捺印した上で、保管することがお勧めです。

実開催しない場合:みなし取締役会(みなし決議・書面決議)会社法第370条

取締役会決議があったものとみなすことができる

取締役(当該決議事項について議決に加わることができる取締役に限ります)の全員が、取締役会で決議する事項について賛成・同意しているケースにおいても、わざわざ時間を合わせて一同に会し、実際に取締役会を開催しなければならないとなると各取締役にとっては負担がかかり、会社の迅速な意思決定にも支障をきたします。

会社法第370条によると、全ての議決に加わることのできる取締役が、取締役会で決議する事項について賛成・同意する旨の意思表示を書面または電磁的記録による意思表示をした場合で、かつ監査役が異議を述べなかった場合は、取締役会の開催、決議及び報告(報告については会社法第372条)を省略できるとされています。この方法による取締役会決議を、みなし取締役会決議あるいは取締役会のみなし決議といいます。

取締役全員の同意

書面または電磁的記録による意思表示が必要ですので、口頭での同意はNGで、電子メールでの同意はOKということになります。メールの場合、メールの本文に提案内容を記載して送信し、メールの本文に同意する旨を記載して返信をしてもらう方法や、提案内容を記載した用紙のPDFを送信し、当該用紙のPDFに署名(や押印)したもののPDFを返信してもらう方法などがあります。

テレビ会議や電話会議は、実際に開催する取締役会に該当するので、会社法第370条のみなし取締役会決議とは別のものとなります。

同意が必要な取締役

みなし取締役会決議の成立には取締役全員の同意が必要とされており、これは決議の目的である事項について提案をした取締役についても同様です。提案者たる取締役の同意書も忘れずにもらっておかなくてはいけません。

当該決議の目的である事項について利害関係のある取締役は、当該事項について議決に加わることができませんのでその同意書は必要ありません。当該取締役は利害関係があり議決に加わることができなかった旨を取締役会議事録に記載しておくと、後でなぜ当該取締役の同意書が保存されていないのか分かりやすいです。

監査役の同意は不要だが異議を述べられたらみなし決議不成立

監査役の同意は必要とされていませんが、監査役が異議を述べた場合は会社法第370条によるみなし取締役会決議は不成立となってしまいます。

監査役の異議を述べるタイミングは、例えば「取締役全員が同意する前に」「提案があってから1週間以内に」などの期限が定められているわけではありません。取締役全員が同意をしてみなし取締役会決議が成立したと安心した後に、監査役から異議述べられてしまう可能性もあるかもしれません。
そのため、実務上は異議がないことを証する書面へ監査役に署名や押印をいただくことが多いです。

なお、業務の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は、そもそも取締役会に参加義務がありませんので、異議を述べることができません。

定款の定めが必要

会社法第319条第1項のみなし株主総会決議と異なり、会社法第370条のみなし取締役会決議を行う場合は、当該会社の定款にその旨の記載が必要です。

[定款例]
第●●条 当会社は、取締役が提案した決議事項について取締役(当該事項につき議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意したときは、当該事項を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす。但し、監査役が異議を述べたときはこの限りでない。

※業務の範囲が会計に関するものに限定されている監査役しかいない会社では、但書以降の記載は不要です。

登記申請時、みなし取締役会議事録を添付するときは定款の添付も必要

取締役会の本店移転(取締役会で本店を決定したとき)や自己株式の消却、代表取締役を選定にかかる登記申請をするときは、取締役会議事録を添付しなければなりませんが、この取締役会議事録はもちろんみなし取締役会議事録でも問題ありません。

但し、みなし取締役会決議を行うにはその旨の定款の記載が必要とされていることから、定款も併せて添付することになります。

TOMAグループでは、各企業の状況に合わせた開催方法のご提案、取締役会の書面決議を可能とする定款変更や議事録作成等も行っております。
ご興味ある方は、是非お問い合わせください。

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