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【2023年版】最新の建設業許可についての解説

記事作成日2021/08/31 最終更新日2023/08/29

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建設業、宅建業、飲食店、旅館など、営業を行っていくために所轄官庁や自治体から許可や認可、免許を必要とする業種は多岐にわたります。この許認可、免許の取得や維持のお手伝いは行政書士の主要な業務の一つです。今回はその中でも、行政書士が扱うことの多い建設業許可について見ていきましょう。

許可を必要とする場合

建設業は社会生活の基盤となる様々な施設の整備を担っており、ひとたび問題がある建築物が生まれてしまうと、個人の生活や社会に与える影響は計り知れません。

そのため建設業法が許可制を定め、不良な工事が行われることを防止しています。ただし、1 件あたりの請負代金が税込み500万円未満の工事のみ(建築一式工事の場合は、工事1件の請負代金の額が1,500万円に満たない工事又は150㎡に満たない木造住宅工事)を行うのであれば許可は不要です。

許可の種類

建設業の許可は、①許可権者、②建設工事の種類及び③下請に出せる金額の点から分類することができます。

まず、①許可権者は国土交通大臣と各都道府県知事に分かれます。二つ以上の都道府県に営業所がある場合は「国土交通大臣許可」、一つの都道府県にのみ営業所がある場合は「知事許可」です。この場合の「営業所」とは、請負契約の締結に関する実体的な行為を行う事務所とされています。

②建設工事は、「土木一式工事」、「建築一式工事」の二つの一式工事と「大工工事」、「左官工事」、「電気工事」など27種類の専門工事に分かれています。

さらに、③元請として受注し下請けに出すことのできる契約金額が4,500万円(一式工事の場合は7,000万円)未満の「一般建設業許可」と、4,500万円(一式工事の場合は7,000万円)以上の「特定建設業」に分かれます。

許可の有効期間

建設業許可の有効期間は5年間です。有効期間の末日が行政庁の休日(土・日曜日・祝日など)であっても同様です。引き続き建設業許可を維持しようとする場合には、期間満了の30日前までに更新手続きをする必要があります。この建設業許可の更新手続きを行わない場合は、期間の満了とともに建設業許可は効力を失います。

建設業許可を受けるための要件

建設業許可を受けるための要件は以下の通りです。

① 経営業務の管理責任者が常勤でいること
② 専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること
③ 請負契約に関して誠実性を有していること
④ 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
⑤ 欠格要件等に該当しないこと
⑥ 建設業を営む営業所を有していること。
⑦ 社会保険への加入

以上の7つの要件を備えていることが必要です。

経営業務の管理責任者について

経営業務の管理責任者とは、その営業所において、営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験を有した者を言います。

なお、令和2年10月1日に経営業務の管理責任者としての要件が少し緩和されました。

それが、今回の改正では、以下の要件も追加されました。

これにより、建設業での取締役経験が5年未満でも、2年以上の建設業での取締役等の経験があれば、5年以上の管理経験(財務管理。労務管理、運営管理すべて。ただし一人で兼務可能)がある従業員が「補佐」をしていれば、経営業務の管理責任者となることができるようになりました。

なお、常勤役員等(経営業務の管理責任者)として置く者の経験が経営業務の管理責任者としての経験以外に基づく場合や、その地位が経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって建設業の経営業務の執行に関し権限委譲を受けた執行役員等である場合には、事前の認定申請(個別認定)が求められます。

関東地方整備局における個別認定で必要な提出書類や申請方法に関する解説記事は以下のブログをご参考にしてください。

建設業許可における経営業務管理責任者に準ずる地位の条件は何か?

専任技術者について

業種ごとに、各種の建築士、技術士、技士等が有資格者として定められており、条件を満たす者を専任技術者として営業所ごとに配置することが求められます。

専任技術者は、形式的に単に営業所に在籍しているというだけでは不十分で、技術者としての専門性を有しながら営業所に常駐している必要があります。

そのため、資格や実務経験でその専門性を証明する必要があります。これは29種の事業ごとに必要な要件が異なります。また、高校や大学で一定の学科を修めたり、技術検定に合格(※1)したとしても、3年から5年の実務経験も必要とされます。

しかも、2種類以上の業種の専任技術者を兼ねるような場合には、一業種について10年の実務経験が必要になります。したがって、2種類の業種の専任技術者を兼ねる場合には20年以上の実務経験を求められることになります。

なお、指定された資格を持っていると、実務経験の要件に代えることもできます。

※1【建設業法令の改正:専任技術者の実務経験要件の見直し】
令和5年7月1日に建設業法令が改正され、技術検定の合格者に対して扱いが変わりました。具体的には、技術検定合格者を指定学科卒業者と同等として扱うことになりました。

1級1次試験合格者は、大学指定学科卒業と同等とみなし、2級1次試験合格者は高校指定学科卒業者と同等とみなすことになりました。
1次試験の合格でみなされるので、施工管理技士ではなく、技士補で指定学科卒業とみなされます。しかし、注意点として、すべての技術検定試験が対象となるわけではありません。合格した技術検定の種類によって、該当する指定学科が決まります。

技術検定科目 指定学科
土木施工管理・造園施工管理 土木工学
建築施工管理 建築学
電気工事施工管理 電気工学
管工事施工管理 機械工学

※指定建設業と電気通信工事業の試験は対象外です。

今回の改正により、実務経験要件は以下のようになります。
・1級1次試験の合格者は、合格後3年間の実務経験で要件を満たす。
・2級1次試験の合格者は、合格後5年間の実務経験で要件を満たす。

財産的基礎又は金銭的信用について

一般建設業許可の場合には自己資本が500万円以上、又は500万円以上の資金調達能力があることが要件です。
特定建設業許可の場合は自己資本が4000万円以上であることに加えて流動比率が75%以上であること、資本金が2,000万円以上あることなど、より厳しい要件が課されます。

許可後に必要な手続き

許可を受けた後でも、許可申請時の届出内容に一定の変更があった場合には、変更届出書の提出を行わなければなりません。各種の届出には届出期間が定められています。

例えば、経営業務の管理責任者及び専任技術者の変更の場合には、変更後14日以内に届出書に証明書類を添付して手続きを行わなければなりません。提出がない場合には罰則規定もあります(建設業法第50 条・6 月以下の懲役又は100万円以下の罰金)。

また、許可後の変更届出の一つとして、毎年会社の事業年度終了後4カ月以内に、工事経歴書の提出とともに決算報告を行う必要もあります。

建設業許可・経営事項審査電子申請システムについて

新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、建設業の生産性向上や事務負担の軽減を目的として、建設業許可・経営事項審査の電子申請システムが許可行政で導入されました。

・開始時期:令和5年1月より、電子申請の受付が開始されました。
・申請方法:紙ベースの申請・届出も継続して受け付け可能ですが、電子申請システムを利用することで非対面での手続きが可能となります。

電子化の対象:主な手続きの範囲は以下の通りです。

<建設業許可関係>
・許可申請(新規許可、許可換え、般特新規、業種追加、更新)
・変更等の届出(営業所の住所、経営業務の管理責任者等、届出事項に関する変更)
・決算変更届(決算後4か月以内に提出)
・廃業の届出

<経営事項審査関係>
・経営事項審査申請

この電子申請システムは、事務処理の効率化や今後のパンデミック対策として非常に有効な手段として注目されています。

TOMA 行政書士法人では、建設業許可申請のサポートやコンサルティングを行っております。お気軽にお問い合わせください。

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