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建設業許可における経営業務管理責任者に準ずる地位の条件は何か?

記事作成日2021/09/28 最終更新日2021/10/22

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建設業許可において、常勤役員等(経営業務の管理責任者)として置く者の経験が経営業務の管理責任者としての経験以外に基づく場合や、その地位が経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって建設業の経営業務の執行に関し権限委譲を受けた執行役員等である場合には、事前の認定申請(個別認定)が求められます。

今回は、関東地方整備局における個別認定で必要な提出書類や申請方法について、解説します。
最新の建設業許可に関する解説記事はこちら

個別認定とは?

建設業に関し、一定の経験を有する者(常勤役員等1人もしくは常勤役員等1人+当該常勤役員等を直接補佐する者)を配置し、適正な経営体制を確保することが必要です。

この適正な経営体制のためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有したものが最低でも1人は必要であるとされ、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

経験期間の地位 建設業に関する経営業務
の管理責任者
建設業に関する経営業務の管理責任者に準ずる地位 建設業の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位 役員等
(建設業以外を含む)
経験の内容 経営業務の管理責任者としての経験
(取締役等に準ずる者としての職制
上の地位の認定が必要な場合【個別認定①】)
執行役員等として
経営業務を管理した経験
経営業務の管理責任者を
補佐する業務に従事した経験
役員等に次ぐ職制上の地位の場合は財務管理・
労務管理・業務運営のいずれかの業務の経験
必要経験年数 5年以上 6年以上 5年以上(建設業の役員等の経験2年以上含む)
常勤役員等を
直接補佐する者
建設業の財務管理・労務管理・業務運営
についてそれぞれ業務経験5年以上の者
根拠法令 規則第7条第1号イ(1) 規則第7条第1号

イ(2)【個別認定②】

規則第7条第1号

イ(3)【個別認定③】

規則第7条第1号

ロ(1)【個別認定④】

規則第7条第1号

ロ(2)【個別認定⑤】

常勤役員等として置く者が、上記の個別認定①~⑤に該当する場合、建設業許可申請及び変更届の前に「認定申請」を行い、認定を受けなければならないとする制度のことを、個別認定といいます。

個別認定に必要な確認書類について

常勤役員等としての経験を証明する書類について、上記表の個別認定①~⑤毎に、確認書類の例をご紹介します。

個別認定①(取締役等に準ずる者としての職制上の地位の認定)

□組織図その他これに準ずる書類
・申請時点における被認定者の地位が取締役等に準じる者としての職制上の地位(取締役等の直下)にあることを確認されます。

□業務分掌規程その他これに準ずる書類
・被認定者が業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であることを確認されます。

・業務分掌規程で確認ができない場合及び社内規定が無い場合等は、その他の追加資料(決裁文書稟議書・稟議書決済に関するガイドライン等)を提出して、事業部門の業務内容が建設業に関するものであることを確認されます。

・建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(一部の営業部門のみを分掌する場合や資金・資材調達のみ分掌する場合等)の事業執行に係る権限委譲を受けた執行役員等は認められません。

□定款、執行役員規定、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規定、取締役会の議事録、その他これに準ずる書類
・被認定者が取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任されたことを確認されます。

・被認定者が取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認されます。

個別認定②(権限委譲を受けた執行役員等として経営業務を管理した経験の認定)

□組織図その他これに準ずる書類
・被認定者による経験が取締役等に次ぐ職制上の地位(取締役等の直下)における経験であることを確認されます。

□業務分掌規程その他これに準ずる書類
・被認定者が業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であることを確認されます。

・業務分掌規程で確認ができない場合及び社内規定が無い場合等は、その他の追加資料(決裁文書・稟議書・稟議書決済に関するガイドライン等)を提出し事業部門の業務内容が建設業に関するものであることを確認されます。

・建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(一部の営業部門のみを分掌する場合や資金・資材調達のみ分掌する場合等)の事業執行に係る権限委譲を受けた執行役員等は認められません。

□定款、執行役員規定、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規定、取締役会の議事録その他これに準ずる書類
・取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任されたことを確認されます。

・取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認されます。

□取締役会の議事録、人事発令書(辞令)その他これに準ずる書類
・執行役員等の経験期間(5年以上)を確認されます。

個別認定③(経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験の認定)

□組織図その他これに準ずる書類
・被認定者による経験が、取締役、執行役、組合理事、事業主、支配人、支店長及び営業所所長等に次ぐ職制上の地位(取締役等の直下)における経験であることを確認されます。

・被認定者による経験が、権限委譲を受けた執行役員等に次ぐ職制上の地位における経験である場合には、【個別認定②】に準じて、当該執行役員等の業務執権限等を確認されます。

□業務分掌規程その他これに準ずる書類
・被認定者による経験内容が、建設業に関する部門における経験であることを確認されます。

・被認定者による経験内容が、建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般(一部のみは不可)について従事した経験であることを確認されます。

・業務分掌規程で確認ができない場合及び社内規定が無い場合等は、その他の追加資料(決裁文書・稟議書・稟議書決済に関するガイドライン等)で事業部門の業務内容の詳細が建設業に関するものであることを確認されます。

□人事発令書(辞令)その他これに準ずる書類
・経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験期間(6年以上)を確認されます。

個別認定④-1(建設業の役員等又は役員等
に次ぐ職制上の地位にある者としての経験の認定)

【建設業の役員等の経験】(役員等としての経験の場合)

□登記事項証明書
・建設業の役員等の経験期間(2年以上)を確認されます。

□建設業許可通知書(写)
・証明期間において建設業許可を有していたことを確認されます。

・許可のない期間中の軽微な工事での経験の場合は、経験期間分の工事請負契約書又は注文書及び請書により確認されます。(権限委譲を受けた執行役員等としての経験の場合)

□組織図その他これに準ずる書類
・被認定者による経験が取締役等に次ぐ職制上の地位(取締役等の直下)における経験であることを確認されます。

□定款、執行役員規定、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規定、取締役会の議事録その他これに準ずる書類
・取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任されたこと を確認されます。

・取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認されます。

□取締役会の議事録、人事発令書(辞令)その他これに準ずる書類
・執行役員等の経験期間(2年以上)を確認されます。(令3条の使用人としての経験の場合)

□就任時、退任時の変更届出書(写)
・令3条の使用人の経験期間(2年以上)を確認されます。

【役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験】

□組織図その他これに準ずる書類
・被認定者による経験が、取締役、執行役、組合理事、事業主、支配人等に次ぐ職制上の地位(取締役等の直下)にあることを確認されます。

・被認定者による経験が、権限委譲を受けた執行役員等に次ぐ職制上の地位における経験である場合には、【個別認定②】に準じて、当該執行役員等の業務執行権限等を確認されます。

□業務分掌規程その他これに準ずる書類
・被認定者による経験が、財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務に関する事業部門であることを確認されます。

・業務分掌規程で確認ができない場合及び社内規定が無い場合等は、その他の追加資料(決裁文書・稟議書・稟議書決済に関するガイドライン等)を提出し事業部門の業務内容が建設業に関するものであることを確認されます。

□取締役会の議事録、人事発令書(辞令)その他これに準ずる書類
・建設業の役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験期間(3年等)を確認されます。

個別認定⑤-1(役員等としての経験の認定)

【建設業の役員等の経験】

□【個別認定④-1】と同じ
【役員等の経験】
(役員等としての経験の場合)

□登記事項証明書
・役員等の経験期間(3年等)を確認されます。(権限委譲を受けた執行役員等としての経験の場合)

□組織図その他これに準ずる書類
・被認定者による経験が取締役等に次ぐ職制上の地位(取締役等の直下)における経験であることを確認されます。

□定款、執行役員規定、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規定、取締役会の議事録その他これに準ずる書類
・取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任されたことを確認されます。

・取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認されます。

□取締役会の議事録、人事発令書(辞令)その他これに準ずる書類
・役員等の経験期間(3年等)を確認されます。

個別認定④-2、⑤-2(常勤役員等を直接補佐する者の職制上の地位及び業務経験の認定)

□組織図その他これに準ずる書類
・被認定者の地位が、常勤役員等に次ぐ職制上の地位(役員の直下)におり、当該常勤役員等から直接指揮命令を受け業務を常勤で行う者であることを確認されます。

□業務分掌規程その他これに準ずる書類
・被認定者による経験内容が申請業者における建設業の財務管理、労務管理、業務運営の業務経験であることを確認されます。

・業務分掌規程等で確認ができない場合及び社内規定等が無い場合等は、その他の追加資料(決裁文書・稟議書・稟議書決済に関するガイドライン等)を提出し事業部門の業務内容が建設業に関するものであることを確認されます。

・業務経験には役員としての経験も含まれますが、経験における地位・役職等の要件は求めないため、例えば事務担当者として従事した経験も含めることができます。

□人事発令書(辞令)その他これに準ずる書類
・業務経験の期間(5年以上)を確認されます。

個別認定申請の手続き

(1)認定申請の時期

常勤役員等を変更する予定日の約1カ月前までに行うことを求めていますが、申請で使用した確認資料等について関東地方整備局から確認や追加資料の提出が求められる場合がありますので、余裕をもったスケジュールで進めることをお勧めします。

(2)認定申請の方法

申請者は、認定申請書及び認定調書(別紙6)に必要事項を記入の上、必要な確認資料を添付して、関東地方整備局宛てに郵送で認可申請を行います。なお、申請にあたっては、申請書類送付前に電話等にて連絡しなければなりません。

(3)認定後の許可申請等の方法

認定後は、「経営業務の管理責任者証明書(様式第七号、第七号の二)」の(1)備考欄に個別認定済みである旨を記載して申請を行います。(記載例:令和〇年〇月〇日個別認定済)

また、認定を受けた常勤役員等について、「役員等の一覧表(様式第一号別紙一)」に記載するとともに、その他常備役員等の変更届で必要な書類を添付の上、提出します。

認定申請を行おうとする場合は、認定を受けようとする地位や経験の内容が十分か確認して、確認資料を準備する必要があります。この点について、TOMA行政書士法人では認定申請の実績がございますので、ご検討の方は一度ご相談ください。