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在留資格に関する手続きの概要 ①

記事作成日2015/11/05 最終更新日2023/04/10

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前回までは、外国人が日本に入国・滞在することについての法制度の総論として、①ビザと在留資格の関係、②現在27種類ある在留資格の分類、③中長期間日本に滞在する外国人に対する管理制度を説明しました。今回から2回にわたって、在留資格に関する手続きの概要をご説明いたします。

ビザと在留資格について

在留資格の分類について

中長期在留者について

 在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書とは

在留資格認定証明書(以下、「証明書」という)とは、日本に入国しようとする外国人について、入国・在留目的が入管法に定める在留資格のいずれかに該当していることを、法務大臣があらかじめ認定したことを証明する文書です。この文書の交付を求める手続きが在留資格認定証明書交付申請です。なお、在留資格のうち「短期滞在」および「永住」を目的とする証明書は交付されません。

 申請手続きを行う場所、申請できる人

在留資格認定証明書交付申請は、その外国人を受け入れようとする機関の所在地またはその外国人の親族等代理人の居住地を管轄する地方入国管理局・支局および鹿児島、下関、京都、さいたまの各出張所で行います。

これから日本に上陸・入国、在留しようとする外国人について、日本国内で申請することが求められているため、ほとんどの場合、外国人を受け入れようとする日本国内の企業や団体の職員、日本に居住する親族等が代理人として申請を行います。

また、弁護士、行政書士のうち所定の手続きにより地方入国管理局に届け出た者は、申請の取次ぎを行うことが認められています。交付に際して手数料の納付は不要です。

証明書交付後の手続き

日本国内で申請を行った企業や団体の職員、日本に居住する親族等の代理人は、証明書の交付を受けた後、証明書を日本国外にいる外国人本人に送付します。証明書を受け取った外国人は、在外の日本国領事館等に証明書を提示しビザ(査証)の発給を受けます。そして、日本に到着し上陸審査を受ける際に証明書を提出します。証明書の提出により、在留資格に適合していることを立証する文書の提出の必要がなくなり、容易に上陸許可を受けることができます。

証明書の有効期間は3ヶ月です。交付を受けてから3ヶ月以内に上陸の申請をしなければ無効となります。日本国内で申請を行った企業や団体の職員、日本に居住する親族等の代理人は、証明書の交付を受けた場合、すみやかに証明書を本人に送付し、入国までの手続きを進めることに留意する必要があります。

在留資格取得申請とのちがい

新たに日本に入国・在留しようとする外国人についての手続きであることから、在留資格「取得」申請と混同されることがあります。在留資格取得申請は、日本に在留する外国人夫婦に子どもが生まれた場合など、上陸の手続きを経ることなく日本に在留することとなった外国人に関する手続きです。

 在留期間更新許可申請

在留期間更新許可申請は、日本に在留する外国人が、現に有する在留資格を変更することなく、定められた期間を超えて引き続き在留を希望する場合に行う手続きです。

更新許可申請は在留期限が到来する前に行わなければならず、6ヶ月以上の在留期間を有する者については在留期間が満了する3ヶ月前から申請を行うことができます。申請窓口は居住地を管轄する地方入国管理局・支局・出張所です。

申請を行うことができるのは①本人、②法定代理人、③弁護士、行政書士のうち所定の手続きにより地方入国管理局に届け出た者、④外国人が所属する企業や団体の職員のうち地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている者などです。

申請は各入国管理局長宛に行いますが、許可の判断を行うのは法務大臣です。法務大臣は、その外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足る相当の理由があるときに限り、許可することとされており、申請すれば、誰でも自分の希望する期間の許可を受けられるわけではありませんので注意してください。

 在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、在留中に、上陸・在留の際に決定された在留資格を他の在留資格に変更することを希望する場合に行う手続きです。例えば、「留学」の在留資格で大学に通っていた外国人が卒業し、引き続き日本で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本の会社に就職しようとする場合などです。

変更許可申請の窓口は外国人の居住地を管轄する地方入国管理局・支局・出張所です。申請は在留期間内であればいつでも申請することができます(「技能実習」のみ、在留期間満了時)。申請を行うことができる者は、在留期間更新申請と同様です。手数料として4000円の収入印紙の納付が必要です。

申請は各入国管理局長宛に行いますが、許可の判断を行うのは法務大臣です。法務大臣は、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、許可することとされており、これは在留期間更新許可申請と同様です。

「技能実習」については、更新にあたっての審査基準が法務省令で定められ(「出入国管理及び難民認定法第20条の2第2項の基準を定める省令」)、これに適合する場合に限って許可するものとされています。他の在留資格については、法務省入国管理局から審査にあたって考慮されるガイドライン(「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」)が公表されています。

 永住許可申請

永住許可申請とは

在留資格を変更しようとする外国人のうち、「永住者」への変更を希望する者が行う手続きです。日本は移民を受け入れる政策を採用していないので、上陸時に「永住者」の在留資格を取得することはできません。

申請を行うことができるのは①本人、②法定代理人、③弁護士、行政書士のうち所定の手続きにより地方入国管理局に届け出た者、④外国人が所属する企業や団体の職員のうち地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている者などです。永住許可を受ける際には、8000円の手数料を収入印紙で納付する必要があります。

永住許可の要件

「永住者」への在留資格変更が認められるためには、法律上の要件である、①当該外国人について「素行が善良であること」、②「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」および③「その者の永住が日本国の利益に合すること」の3つを満たす必要があり、一般の在留資格の変更よりも厳格な基準で判断されます。

この内、③の要件については、(ア)原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。(イ)罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。(ウ) 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。(エ) 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと、という基準から判断され、許可のためにはこれらの事実が認められる必要があります。

さらに、上記の(ア)原則10年以上の在留については、法務省入国管理局のガイドライン(「永住許可に関するガイドライン」)に特例が定められており、日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上本邦に在留していること、その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること、という基準から判断されます。