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IFRS(国際財務報告基準)が日本企業に与える影響とは

記事作成日2017/02/01 最終更新日2017/02/01

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IFRS(国際財務報告基準)が日本企業に与える影響

企業が海外現地法人を設立するなどといったビジネスのグローバル化は日々進んでおり、会計基準においても例外ではありません。現在日本では任意での適用となっているIFRS(国際財務報告基準)ですが、導入した場合にどのような影響があるのでしょうか。

日本の会計基準とは違う財務諸表の作成が必要になる

日本とIFRSの会計基準に一部相違があることから、日本の会計基準と違う財務諸表の作成が必要となります。例えば、IFRSの導入により定期的な「のれん」の償却が不要となる財務諸表を作成することとなります。このため、日本の会計基準に基づいて作成した財務諸表と異なった数値を開示することとなります。

財務諸表作成時の注釈が増える

日本の会計基準で作成した財務諸表とIFRSの財務諸表は、記載する項目が違うだけではありません。
IFRSでは、投資家をはじめとする財務諸表を利用する人に対して、作成にあたっての前提条件、記載されている数字の根拠など、企業の経営状況について投資家をはじめとする利用者に対して注釈による説明が求められます。

経営者にとって、これまで以上に業績に対する舵取りについて説明責任が問われると言えるでしょう。

業務プロセスやシステムの変更など導入コストがかかる

さらに、これまでと会計処理の方法が変わるということは、それを管理しているシステムの変更も必要になります。
収益認識、固定資産の評価、販売管理など様々な分野において影響を受けることは避けられません。

また、これらを管理している人材もIFRS対応するための知識を身につけなければなりませんから、時間や労力や研修費用といったコストもかかると言えるでしょう。
このように会計処理をする財務部門だけではなく、多岐にわたる部門において影響出ることが想定されます。

海外展開をする企業はさらに有利になる可能性

ビジネスをグローバル展開していく上で、ライバルは日本だけではなく世界各国の企業になります。
残念ながら、現在の日本は以前のような高度成長期ではありません。
少子高齢化も背景にあることから、今後海外にビジネスを展開する企業が増えていくことが想定されます。

国際基準のIFRSを導入することによって、世界の同業他社との業績比較・分析することが容易となります。
グローバルな視野を持った戦略、ライバルと戦っていくための競争力を磨くきっかけとなると言えるでしょう。

世界を対象とした情報開示が可能に

国際基準を満たした財務諸表の開示は、日本のみならず世界中の投資家に対して、自社に対する理解を深めてもらうきっかけとなることでしょう。
事業を継続させるためには、資金繰りはもちろん健全な経営体制であることを、投資家をはじめとするステークホルダーに知ってもらうことが必要不可欠です。

日本の会計基準で作成された財務諸表では、世界各国の投資家に理解を求めるのは難しいかもしれません。
自社の企業価値を正当に評価してもらう判断材料となることでしょう。

IFRSの導入にあたって、日本企業において様々な影響があることは間違いありません。
メリット、デメリットの両面をよく理解し、IFRSの導入が自社にとってプラスとなるように舵取りすることが企業経営に求められるのではないでしょうか。