はじめに
今回は、IFRS15号の収益認識のうち、Customer Loyalty Programmesについて事例をつかって説明をします。
2017年6月現在、日本の会計基準でもIFRSの収益認識の基準の考えを取り入れた会計基準を開発中です。
やがて日本でも大きな問題になると予想していますので、IFRS収益認識関連については本ブログで継続的に取り上げていきます。
例示
玩具の販売店であるホビーズショップ神谷は,ポイント制度を採用している。顧客の売上1,000円当たり1ポイントを付与し,1ポイント10円換算で商品を購入することができる。ホビーズショップ神谷は、20×5年の売上高が100,000円であり、顧客に対して100ポイントを付与した。
当該ポイントに関しては直接観察可能な独立販売価格は存在しないため、ホビーズショップ神谷は100ポイントのうち、80ポイントが交換されるという予想をしている。なお、ポイントを付与しない場合の販売価格も同額である。
従来の日本の会計処理
(借)売掛金 100,000
(貸)売上高 100,000
(借)ポイント引当金繰入額 800
(貸)ポイント引当金 800
IFRS15号収益認識で求められている会計処理
(借)売掛金 100,000
(貸)売上高 99,206*
(貸)ポイント負債 794**
*100,000×100,000÷(100,000+80ポイント×10)。100,000を商品相当額とポイント受け入れ義務に配分
**100,000-99,206
考察
日本では、1,000の売上計上時に販売促進のため別途ポイントを付与したとして80の引当金を計上していました。しかし、IFRSでは、100,000の売上には、商品の引渡対価の他に顧客が将来ポイント行使を引き受ける義務も含まれていると考えています。よって、売上高(取引価格)100,000を商品の売上に相当する部分とポイントの部分とに配分する必要があります。
ポイント負債794はポイント行使時の収益とするため、負債として繰延するという考えをとっています。
法人税上の課題
日本の会計基準もIFRSと同じ考えを採用した場合、ポイント負債の793について法人税法上益金とするとすれば別表調整が必要となってしまいます。法人税法が会計基準に歩み寄るのかどうかが実務上のポイントとなっています。