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配偶者控除廃止? 日本とシンガポールの配偶者控除比較 Spouse Relief in Singapore individual tax

記事作成日2016/09/27 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

日本では所得税における配偶者控除廃止の議論がされています。

では、共働き家庭が多いシンガポールでは配偶者控除について、どのように定められているのでしょうか。

ここでは、納税者がサラリーマン(給与所得者)、配偶者が専業主婦であることを想定します。

なお、実際の適用に当たっては男女の区別はありません。

 

【シンガポールにおける配偶者控除】

シンガポールの個人所得税のルールでは、Spouse Relief(スパウス リリーフ)という名目で配偶者控除と同種類の所得控除を認めています。

2,000シンガポールドル(1シンガポールドル75円だとすると150,000円)控除可能です。

適用要件は以下のとおりです。

1 配偶者が同居しているかもしくは納税者を補助している

2 配偶者の年収が4,000シンガポールドル(1シンガポールドル75円だとすると300,000円を超えない)を超えないこと

です。

 

なお、シンガポール税務当局のwebsiteでも、英語による説明があります。詳細はこちらをご覧ください。

https://www.iras.gov.sg/IRASHome/Individuals/Locals/Working-Out-Your-Taxes/Deductions-for-Individuals/Spouse-Relief/-Handicapped-Spouse-Relief/

 

 

【日本における配偶者控除】

現状、日本では配偶者控除や配偶者特別控除が定められています。

配偶者控除は、配偶者が下記の要件を満たした場合、380,000円を納税者の所得から控除できるというものです。

(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。

(2) 納税者と生計を一にしていること。

(3) 年間の合計所得金額が380,000円以下であること。

(給与のみの場合は給与収入が1,030,000円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

上記の要件はその年の12月31日の現況で判断します。

 

また、配偶者に1,030,000円を超える給与の収入があるため配偶者控除の適用が受けられない時でも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。

 

配偶者特別控除の適用要件は下記のとおりです。

(1) 納税者のその年における合計所得金額が10,000,000円以下であること。

(2) 配偶者が、次の五つの全てに当てはまること。

イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。

ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。

ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

ニ ほかの人の扶養親族となっていないこと。

ホ 年間の合計所得金額が380,000円超760,000円未満であること(給与収入でいうと1,030,000円超1,410,000円未満)。

 

この配偶者特別控除は、あくまでも配偶者控除を補助する制度ですので、両制度の同時適用はできません。

また、配偶者特別控除で可能な所得控除額は、配偶者の給与収入が1,030,000 円超~1,05

0,000万円未満であれば、380,000円、その後配偶者の給与収入が上がれば上がるほど控除金額が減少し、1,400,000円以上~1,410,000円未満であれば、30,000円だけの控除となります。

 

【日本とシンガポールの配偶者控除の比較 筆者私見】

日本のほうが、所得控除金額が大きい(日本380,000円、シンガポール150,000円)結果となっています。なお、配偶者の給与額の制限についても日本のほうが甘く設定(日本1,030,000円、シンガポール300,000円)となっています。

日本では配偶者控除廃止が議論されていますが、共働き家庭が主流のシンガポールでも配偶者控除がありますので、直ちに廃止というよりも控除金額の削減など縮小の方向で検討していくのがいいのかもしれません。

 

 

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