[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、当期純利益の按分とのれんの償却についてお話をします。
【当期純利益の按分】
たとえば、親会社80%、他の会社20%出資の連結子会社が当期150,000円の利益を獲得したとしましょう。
この場合、連結子会社の利益150,000円のうち、20%(30,000円)は親会社を中心とする連結グループ外の他の会社に帰属する利益という点を明確にするため、20%部分について仕訳をすることとなります。
(借)非支配株主損益(P/L) 30,000円 (貸)非支配株主持分(B/S) 30,000円
上記のケースで、仮に親会社の利益が400,000円とすると、連結損益計算書では下記のように表示されます。
当期純利益 | 550,000円 |
非支配株主に帰属する当期純利益 | 30,000円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 520,000円 |
当期純利益は、400,000円+150,000円=550.000円
非支配株主に帰属する当期純利益は150,000円×20%=30,000円
親会社株主に帰属する当期純利益は、400,000円+(150,000円×80%)=520,000円
となります。
【当期純損失が発生した場合-日本の場合】
仮に、連結子会社が損失150,000円となってしまった場合はどうでしょうか。
この場合は、基本的には当該連結子会社が債務超過になるまで(非支配株主持分がゼロになるまで)、上記と逆の仕訳をすることとなります。仕訳は下記のとおりです。
(借)非支配株主持分(B/S) 30,000円 (貸)非支配株主損益(P/L) 30,000円
なお、日本の連結財務諸表に関する会計基準においては、下記の定めがあります。
- 子会社の欠損のうち、当該子会社に係る非支配株主持分に割り当てられる額が当該非支
配株主の負担すべき額を超える場合には、当該超過額は、親会社の持分に負担させる。こ
の場合において、その後当該子会社に利益が計上されたときは、親会社が負担した欠損が
回収されるまで、その利益の金額を親会社の持分に加算する。
“当該子会社に係る非支配株主持分に割り当てられる額”という表現は、親会社と他の会社との間で、子会社が損失を出した場合に、どこまで他の会社が負担をするのかという取り決めがあるケースのことを想定しています。
具体的にいいますと、他の会社は出資をしているが、子会社を支配していない立場ですので、仮に損失が発生した場合は、他の会社が出資をした金額まで損失を負担するといった取り決めが考えられます。
この点は当事者間の同意によりますが、実務では、当該連結子会社が債務超過になるまで(非支配株主持分がゼロになるまで)、他の会社も損失を負担するということで上記の仕訳をしているケースが多いです。
【当期純損失が発生した場合-国際財務報告基準(IFRS)の場合】
では、IFRSではどのような扱いになっているのでしょうか?
実は、日本と異なり、損失も等しく他の会社(非支配株主持分)に負担させる旨を定めています(International Accounting Standard 27 Consolidated and Separate Financial Statementsの第28項)。
このため、非支配株主持分がマイナス(債務超過)になったとしても、
(借)非支配株主持分(B/S) 30,000円 (貸)非支配株主損益(P/L) 30,000円
という仕訳をすることとなります。
参考として、その旨を定めている会計基準の文章を記載します。なお、下線は筆者が加えています。
28 Profit or loss and each component of other comprehensive income are attributed to the owners of the parent and to the non-controlling interests. Total comprehensive income is attributed to the owners of the parent and to the non-controlling interests even if this results in the non-controlling interests having a deficit balance.
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