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連結決算の手順・仕訳紹介シリーズ その13 固定資産に含まれる未実現損益の消去(内部取引の消去) Consolidated Statements. How to prepare and present? Part 13

記事作成日2016/10/31 最終更新日2017/01/27

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はじめに

今回は、固定資産に含まれる未実現損益の消去についてお話をします。

未実現損益と減価償却

例えば、親会社X社から連結子会社Y社へ機械1,000円を2,500円で売却したとしましょう。前回までの棚卸資産の例では、親会社X社で認識される利益2,500円から1,000円を差し引いた1,500円を連結修正仕訳で消去しました。しかし、固定資産の場合、購入したY社でその後減価償却が実施されることとなります。

具体的には連結子会社Y社で、2,500円を基礎として減価償却されますが、Y社で減価償却がされた分だけ、1,500円の連結修正仕訳が不要となるのです。1,500円の連結修正仕訳を行った後に、Y社の減価償却割合分を取消すための連結修正仕訳をさらに追加することとなります。

連結修正仕訳

連結会計年度初日に、親会社X社から連結子会社Y社へ機械1,000円を2,500円で売却し、かつ、連結子会社Y社において定額法で10年にわたり減価償却を行うこととしましょう。

売却日から12ヶ月たったところで連結決算日を迎えます。

(借)機械売却益       1,500円  (貸)機械             1,500円
(借)減価償却累計額 150円  (貸)減価償却費  150円

連結損益計算書への影響を検討すると、機械売却益の1,500円―減価償却費150円=1,350円の利益の減少となります。

減価償却によって利益が実現するという意味

上記の例の続きですが、翌年になると、機械売却益の1,500円-1年目減価償却費150円-2年目減価償却費150円=1,200円の利益の減少となり、減価償却が終了する年度では0円の利益の減少となります。

見方を変えて説明すると、減価償却が終了した場合は、たとえ機械を企業集団外部の第三者へ売却しなくても、未実現利益が減価償却を通じて自然と消滅してしまうのです。これを会計学では減価償却による実現と呼んでいます。