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連結決算の手順・仕訳紹介シリーズ その5 会計方針の統一 Consolidated Statements. How to prepare and present? Part 5

記事作成日2016/09/08 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回は、会計方針の統一についてお話をします。

 

【会計方針の統一の必要性】

連結財務諸表を作成するにあたり、親会社の決算書と子会社の決算書を合算する作業をしますが、合算対象となる親会社と子会社でそれぞれ異なる会計方針を採用している場合、連結財務諸表の利用者からみると、合算した数値に信頼がおけないことになります。

例えば、親会社では賞与引当金や退職給付引当金を計上しているが、出向者が多数在籍するグループ子会社において賞与引当金を計上していないとなると、グループ全体の財政状態や経営成績を適切に示していないといわれても仕方がありません。

そこで、日本の会計基準、国際財務報告基準(IFRS)ともに、会計方針の統一を求めています。

【日本の会計基準の定め】

連結財務諸表に関する会計基準の第17項では、下記の通りに定めています。

 

  1. 同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計方針は、原則として統一する。

 

ここで、「同一環境下で行われた同一性質の取引等」と限定しているのは、同じ環境で行われている取引の場合であれば、会計方針を統一するのが筋だと考えたためです。

なお、同じ連結グループ内の会社であっても、ビジネスの内容によっては異なる環境におかれているのであれば、それぞれの環境に適した会計方針を採用するのが適切であるとの考えですので、なんでもかんでも会計方針を統一する必要はありません(同基準57項参照)。

また、実務上の事情を考慮して、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の表示に重要な影響がないと考えられるもの(例えば、棚卸資産の評価方法である先入先出法、平均法等)については、敢えて統一を求めるものではありません(同基準58項)。

 

【国際財務報告会計基準(IFRS)の定め】

国際会計基準(国際財務報告基準IFRSに含まれる基準で昔作成されたものと理解してください)27号の第17項では、連結財務諸表は同様の状況における取引や事象については同一の会計方針を使って作成する旨を定めています。

 

24 Consolidated financial statements shall be prepared using uniform accounting policies for like transactions and other events in similar circumstances.

 

 

【連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い】

日本の監査の実務指針において、海外子会社の決算書に関する会計方針の統一について規定があります。これは、監査人に対して適用されるものですが、監査を受けることとなる連結財務諸表を作成する企業にも影響がありますので記載をします。

 

多くの海外子会社は、国際財務報告基準(IFRS)や現地の会計基準に基づいて決算書が作成されているため、日本の親会社の決算書に適用されている会計方針と異なる会計方針が適用されています。

しかし、いちいち会計方針を修正するのは、実務上の実行可能性等が妨げられることから、在外子会社の財務諸表が、国際財務報告基準又は米国会計基準に準拠して作成されている場合には、当面の間、それらを連結決算手続上利用することができるとしています。

 

しかし、その場合であっても、下記の(1)から(4)の項目については、当該修正額に重要性が乏しい場合を除き、連結決算手続上、当期純利益が適切に計上されるよう当該在外子会社の会計処理を修正する旨を定めています。

 

(1) のれんの償却

(2) 退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理

(3) 研究開発費の支出時費用処理

(4) 投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価

 

上記4項目は日本の会計基準と海外の会計基準の間で大きな違いが生じている代表例といえます。なお、以前は6項目定められていましたが、財務諸表の遡及修正および当期純利益における少数株主損益の取り扱いで差異がなくなったために、4項目になっています。

 

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