【はじめに】
前回につづき、貸倒引当金についてお話をします。
【国際財務報告基準IFRSにおける売掛金減額の方法】
売掛金について、減損を認識するに足る客観的な証拠が一つないし複数あり、それが将来の売掛金の回収金額(=得意先から得られるキャッシュ・フロー)に影響を与えていて、その影響額が信頼性をもって見積もることができる場合に、減損を行います。
国際財務報告基準第39号の58項には下記のように書かれています。
A financial asset or a group of financial assets is impaired and impairment losses are incurred if, and only if, there is objective evidence of impairment as a result of one or more events that occurred after the initial recognition of the asset (a ‘loss event’) and that loss event (or events) has an impact on the estimated future cash flows of the financial asset or group of financial assets that can be reliably estimated.
例えば、とある得意先より予定どおり入金がないことから、得意先を調査したところ、得意先の財政状態が悪いので、債権金額全額の回収が難しそうな場合は、回収できる金額(将来得られるキャッシュ・フロー)を見積もって、実効金利で割引して算定した現在価値まで債権金額を評価減することとなります。
なお、日本の会計基準では債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額に対して引当金を計上する方法もありましたが、国際財務報告基準では、得意先から得られるキャッシュ・フローを見積もることとなっています。
国際財務報告基準第39号の63項には下記のように書かれています。
If there is objective evidence that an impairment loss on loans and receivables or held-to-maturity investments carried at amortised cost has been incurred, the amount of the loss is measured as the difference between the asset’s carrying amount and the present value of estimated future cash flows(excluding future credit losses that have not been incurred) discounted at the financial asset’s original effective interest rate (ie the effective interest rate computed at initial recognition). The carrying amount of the asset shall be reduced either directly or through use of an allowance account. The amount of the loss shall be recognised in profit or loss.
【日本との違い】
例えば、日本では売掛金残高全体に対して過去の貸倒実績率を乗じて貸倒引当金を計上していましたが、国際財務報告基準ではそのような方法はありません。
このため、日本で分類される一般債権に相当する得意先に対する債権については、おそらく減損を認識する客観的事実もないと思われますので、評価減や引当金の計上はできないでしょう。
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