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貸倒引当金 日本と国際財務報告基準(IFRS)との違い その1 Allowance for doubtful accounts (Differences between Japanese GAAP and IFRS) Part 1

記事作成日2016/05/25 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回は、貸倒引当金についてお話をします。

 

【貸倒引当金とは】

保有している債権が回収できない恐れがある場合において、回収不能予測額を引当金として計上するときは、この引当金を貸倒引当金と呼びます。

とある得意先A社に対する売掛金が100円あったとしましょう。しかし、現状A社が倒産しそうになっていて100円を回収できない恐れがある場合、貸倒引当金を100円計上し、売掛金残高からマイナスします。このように、貸倒引当金は、売掛金金額のマイナス評価をする際に計上します。

 

【日本における貸倒引当金の計上方法】

日本では、金融商品に関する会計基準第27項以降で定めている方法にしたがって貸倒引当金を計上します。

具体的には債権を以下の3区分に分類したうえで、引当金の計上の仕方を決定します。

 

(1) 経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権(「一般債権」と呼びます)

(2) 経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生

じる可能性の高い債務者に対する債権(「貸倒懸念債権」と呼びます)

(3) 経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権(「破産更生債権等」と呼びます。)

 

(1)に分類された一般債権については、「債権全体又は同種・同類の債権ごとに、債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見積高を算定する。」としています。

例えば、すべての得意先の過去3年の平均の貸倒率が0.8%とした場合、債権合計金額に0.8%を乗じた金額を貸倒引当金とします。

ここでポイントとなるのが、個々の得意先ごとに評価することまで求めていないことです。例えば得意先A社について、取引開始以来一度も貸倒したこともない場合でも、A社を含めたすべての売掛金に対して貸倒引当金を計上することが許容されています。

 

(2)に分類された貸倒懸念債権については、「債権の状況に応じて、次のいずれかの方法により貸倒見積高を算定する。ただし、同一の債権については、債務者の財政状態及び経営成績の状況等が変化しない限り、同一の方法を継続して適用する。」とし、

「① 債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額について債務者の財政状態及び経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法、② 債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積ることができる債権については、債権の元本及び利息について元本の回収及び利息の受取りが見込まれるときから当期末までの期間にわたり当初の約定利子率で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法」のいずれかの方法で貸倒引当金を計上するように定めています。

例えば、①の方法で貸倒引当金を計上する場合には、債権金額から担保処分金額をのぞいた金額に50%を乗じて算定することが考えられます。

 

(3)に分類された破産更生債権等については、「債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とする。」とされています。

例えば、民事再生法を申請した得意先X社の債権をもっており、かつ、担保がない場合X社の債権金額全額について貸倒引当金を計上することが考えられます。

 

【続きは次回で】

日本の貸倒引当金計上の方法の背景や国際財務報告基準の扱いについては、次回に記載します。

 

 

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