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英文決算書の読み方 その5【包括利益計算書(損益計算書)】

記事作成日2017/03/30 最終更新日2021/06/07

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シンガポールの会社の決算書を題材に、複数回にわたり英文決算書の読み方についてご説明しております。今回は包括利益計算書(損益計算書)についてご説明します。

実際の記載内容

今回は実際の事例を記載し、そのあと詳細をご説明します。なお、ブログの読者への便宜上、勘定科目の横に日本語での表記も加えます。

Consolidated statement of comprehensive income for the year ended 31 December 2015

Group
 Note  2015  2014
 $  $
Turnover 売上高  16  **  **
Other income その他収益  17  **  **
 **  **
Costs and expenses
Changes in inventories 売上原価  **  **
Raw material and consumables used 原材料及び消耗品費  **  **
Depreciation expense 減価償却費  **  **
Employee benefits expenses 人件費  18  **  **
Outlets expenses 販売開拓費  **  **
Other operating expenses その他の販売費  **  **
Finance costs 財務費用  19  **  **
Total costs and expenses 費用計  **  **
Share of loss of an associate 関連会社株式評価損  **  **
(Loss)/profit before income tax 税引前利益  20  **  **
Tax expense 税金費用  21a  **  **
(Loss)/profit for the year, attributable to equity
holders of the Company 当期純利益
 **  **
Other comprehensive income: その他包括利益
Item that may be reclassified subsequently to profit or
loss 
Foreign currency translation 為替換算調整勘定  **  **
Total comprehensive income for the year,
attributable to equity holders of the Company 包括利益
 **  **

包括利益計算書(comprehensive income)とは?

包括利益とは、 ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をい います。儲けを示す当期純利益のほか、為替換算調整勘定やその他有価証券の評価差額金など、当期純利益には含まれないが、貸借対照表の純資産を増減させる項目も含めたものを包括利益といいます。

日本でも上場会社などの有価証券報告書提出企業では、包括利益計算書を作成していますが、非上場会社では損益計算書を作成しているに過ぎないのではないでしょうか。

表示方法

日本の損益計算書では、売上高・売上原価・販売費および一般管理費・営業外収益・営業外費用・特別利益・特別損失などと表示し、開示される利益も、売上総利益・営業利益・経常利益・当期純利益など段階的に利益を開示しています。

しかし、国際財務報告基準の影響を強く受けているシンガポールの決算書では、日本の開示方法と異なっており、段階的に利益を開示する方法は強制されていません。このため、売上高経常利益率を算定しようと思っても、外国の決算書ではできないということもありえるでしょう。

上記の例示の決算書のように、収益や金融費用、当期損益など一部の開示強制項目以外は、費用性質法又は費用機能法に基づき表示することができます。

特別損益項目

日本の決算書では非経常的に生じた収益や費用を表示する特別利益や特別損益という表示が認められていますが、国際財務報告基準やアメリカの会計基準では、特別損益項目の開示は認められていません。このため、減損損失などは、通常の費用と同様に開示されます。詳細は下記のブログをご覧ください。

>>特別損益項目の開示 日本と国際財務報告基準(IFRS)との違い その1 Extraordinary items (Differences between Japanese GAAP and IFRS) Part 1

その他包括利益(Other comprehensive income)とは?

売上高から始まり、当期純利益までは企業の1会計年度における努力と成果を比較して利益を算定する過程を示しており、企業の収益力を示しています。しかし、その他の包括利益とは、株式相場の時価の変動や為替相場の変動により、純資産を増減させる項目ではあるが、企業の努力と成果を比較して利益を算定する過程に含めないほうが適切である科目が表示されます。

上記の事例では為替換算調整勘定が開示されていますが、日本の上場企業の決算書では、その他有価証券の評価差額金もよくでてきます。為替換算調整勘定については、下記のブログをご覧ください。

>>為替換算調整勘定 (Foreign Currency Translation Reserve)とは?

その他

Turnover(売上高)と開示されていますが、Turnoverと開示するケースは多くはありません。なお、注記においてTurnoverの内容が開示されており、注記とあわせて読むと内容が理解できるようになっています。

私見ですが、海外の包括利益計算書を読む場合は、売上高の規模と、当期純利益がプラスかマイナスかを見ていただければと思います。日本のように段階利益が開示されないことが多いので、収益力に関する細かい分析は期待できないかと思われます。

次回 株主資本等変動計算書

シンガポールの会社の実際の株主資本等変動計算書についてご説明します。
>>英文決算書の読み方 その6【株主資本等変動計算書】

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