今回から複数回にわたり、シンガポールの会社の決算書を題材に、英文決算書の読み方についてご説明したいと思います。シンガポールでは原則、会社の決算書をACRA(シンガポールの登記局)より有料で購入することができます。
英文決算書の構成
子会社を有する某シンガポール法人の決算書(非上場)の構成は以下のとおりとなっています。
General information(会社の基本情報)
Directors’ statement(取締役からの決算書作成と利害関係に関する説明)
Independent auditor’s report(監査人の監査報告書)
Balance sheets(貸借対照表)
Consolidated statement of comprehensive income(連結包括利益計算書)
Statements of changes in equity (株主資本等変動計算書)
Consolidated cash flow statement(連結キャッシュ・フロー計算書)
Notes to the financial statements (決算書の注記)
日本の一般的な非上場会社の決算書と大きく異なる点は以下のとおりです。
・取締役による決算書を正しく作成した旨及び会社の株保有などの利害関係についての記載がある点
・監査人の監査報告書がついている点
・決算書が連結決算となっている点
・決算書の注記の量が多い点
決算書の注記は、会計方針の説明のみならず各勘定科目の残高説明も含んでいます。
General informationの記載内容
General informationの記載内容は以下のとおりです。なお、実名や住所については××として表記します。1ページ足らずの文面です。
General information Directors(取締役の氏名)
×× Company Secretaries(会社秘書役の氏名) ×× Registered Office(会社の登記上の住所) ×× Auditor(監査人) Ernst & Young LLP One Raffles Quay North Tower, Level 18 Singapore 048583 Principal Bankers(主要な取引銀行) Citibank Singapore Limited United Overseas Bank Limited |
日本は代表取締役名のみ記載されるケースが多いのですが、シンガポールでは取締役全員の氏名が記載されます。これは、日本と異なり代表取締役の選任が任意であることや、権限の付与方法が日本と異なることから、会社の業務執行や監督の責任は主に取締役にあると考えられているからです。
会社秘書役とは日本でいう総務部長のような仕事をする方です。シンガポールなどの旧イギリス連邦の国では、会社法で会社秘書役の設置が求められるケースがあるので、決算書にもその氏名が記載されているのではないでしょうか。
監査人とは、日本でいう監査役ではなく、会計監査人を指しています。この会社では、EYが監査人を務めています。
主要な取引銀行については、日本でもホームページ上で公開している会社も多いのではないでしょうか。
次回説明 Directors’ statement(取締役からの決算書作成と利害関係に関する説明)
Directors’ statement(取締役からの決算書作成と利害関係に関する説明)について、実際の記載内容をご説明します。
>>英文決算書の読み方 その2【取締役からの決算書作成と利害関係に関する説明】
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