繰延税金資産(Deferred Tax Assets)ってなんですか?又は、「税効果会計とは?」というご質問をよくいただきますので、今回は税効果会計(Tax Effect Accounting)についてご説明します。
繰延税金資産(Deferred Tax Assets)とは
前提(ポイント)
日本では公認会計士もしくは監査法人の監査を受けていない会社が多いため、決算書の作成ルール≒税金の計算ルールと考えてしまっているケースが多くみられます。
実は帳簿記入や決算書の作成ルールと法人税の計算ルールは異なるものであるという点を、まず認識してください。
・会計基準=株主や銀行等の各種利害関係者に見せる目的で作成する決算書の作成ルール
・法人税法等の各種税法のルール=税務署に納税すべき税金を計算するためのルール
税効果会計の必要性
なぜ税効果会計が必要なのでしょうか。損益計算書を例として説明しますと、税効果会計を適用していない決算書では、売上高や売上原価・販売費及び一般管理費など、法人税等以外の科目については、会計基準に従った金額、もしくは税法と会計基準が同じルールになっているため結果的に会計基準に従った金額で表示されています。
しかし、法人税等の科目について、本来会計基準に従って決算書を作成及び適切に表示しなければならないところ、法人税等の各種税法のルールに従って金額が算定されており、矛盾した状況となっています。
本来、会計のルールに基づいた法人税等の金額は、税引前当期純利益×実効税率(=利益に対して課税する各種税金の税率を合算した税率をいい、日本では法人税・住民税・事業税が含まれています)によって基本的に計算されるべきなのに、法人税等の科目だけ、税務署に納税する税金を算定するためのルールが独自に適用されて計算されており、税引前当期純利益と法人税等のバランスが取れていないというのです。
上記を踏まえ、税効果会計とは
・損益計算書の法人税等の金額について、法人税法等の各種税法のルールで計算されているものを、会計基準に従って計算された金額に修正するための会計処理
と考えていただければと思います。
税効果会計は日本の会計基準のみならず、各国に影響を及ぼしている国際財務報告基準(IFRS)にも導入されています。
税効果会計を適用しないことによる弊害
上記の説明において、別にバランスなんてとれていなくてもいいじゃないかと思う方も多いのですが、決算書を使って財務分析をする方の視点からみると、たとえばROE(株式資本利益率)の分子である税引後当期純利益に影響を与えるため、適切な分析が出来なくなる弊害があります。
なお、税効果会計適用に当たり公認会計士により検討される繰延税金資産の回収可能性の判断によっては、法人税等の金額が大きく増減しますので、財務数値に大きな影響を与えることとなります。
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