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為替予約の会計処理(独立処理と振当処理) その1

記事作成日2016/02/29 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回はある方から為替予約についてご質問を受けましたので、その会計処理についてご説明します。説明が長くなりますので、複数回にわたります。今回は第1回目です。仕訳などを含んだ具体的なご説明は2回目以降となります。

 

【為替予約とは?】

七十七銀行のウエブサイトには、以下のように説明されています。

「将来の特定日(または期間)を受渡日とし、通貨・金額・適用為替相場をあらかじめ取り決めて、為替売買取引を行う旨の約定を行うものです。すなわち、為替相場は日々刻々と変動していますが、為替予約を行うことにより、将来の適用為替相場(外貨と日本円の交換レート)を確定させることができます。」

噛み砕きますと、外貨を日本円に交換する際、為替相場が変動してしまうリスクがありますので、このリスクを回避するために、銀行と取り交わす契約といえます。

本契約の目的は、為替相場の変動による損失の可能性を回避することです。この回避行為を一般的に“ヘッジ”と呼んでいます。

 

【為替予約の会計処理】

例えば、日本法人がシンガポールより商品を仕入すると仮定します。

2015年2月に商品を100シンガポールドルで購入、3月に為替予約を付し、決算日(3月末)をはさんで、7月に代金を支払うという取引です。

 

上記の取引は

A シンガポールから商品を仕入する取引

B 銀行と為替予約を締結する取引

の2つの取引から構成されています。

 

国際財務報告基準(IFRS)や日本の外貨建取引等会計処理基準の原則処理は、商品の仕入取引(Aの取引)と銀行との為替予約の取引(Bの取引)を別々の仕訳で記帳する“独立処理”という方法で記帳します。

 

一方、日本では、外貨建取引等会計処理基準の注解6において、特例的処理としていわゆる“振当処理”が認められています。この振当処理とは、上記のAの取引とBの取引を同一の仕訳で記帳してしまう方法で、会計理論の見地から正当な処理とはいえませんが、長年の日本の実務慣行から許容された記帳方法と考えられます。

 

日本の企業においても、国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準で決算書を作成する場合は、独立処理で記帳しなければなりません。また、外国親会社の日本子会社や日本支店でも独立処理で記帳することが多いのではないでしょうか。

 

【おまけ。通貨スワップとは】

最初の質問をいただいた方より、通貨スワップと為替予約はどのように違うのでしょうかという追加質問もいただきました。

筆者も明確な答えをもっていないのですが、通貨スワップとは、異種通貨間の金利や元本を交換する契約といえます。

よくある例では、日本法人がドル建ての借入あるいはドル建ての社債を発行するも、将来の金利の支払いや元本の支払いについてあらかじめ日本円の支払いに確定させたいときに使います。

為替予約と通貨スワップとの違いは、6か月後、1年後など、異なる期間の先渡しレートを固定させることができるのが通貨スワップで、できないのが為替予約といわれています。

しかし、両者ともヘッジ目的で使われていますので、会計処理は同一の扱いをします。

 

 

 

【Japan Tax Guide – for Beginners 英語による日本の税務のご説明ブログです】

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