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為替予約の会計処理その3 振当処理の仕訳

記事作成日2016/03/04 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

前回に続き、為替予約の会計処理の話を致します。今回は為替予約の振当処理の仕訳をご説明します。振当処理は長年日本で採用されてきている処理方法ですので、日本の経理の方は、この処理方法に馴染みがあるかもしれません。

 

【為替予約の会計処理】

前回と同様、日本法人がシンガポールより商品を仕入すると仮定します。

2015年2月に商品100シンガポールドル(以下、SGDと表記)で購入、3月に為替予約を付し、決算日(3月末)をはさんで、7月に代金を支払うという取引です。

直物為替相場は、

2月)1SGD80円

3月)1SGD90円

3月末)1SGD95円

7月)1SGD100円

先物為替相場は、

2月)-

3月)1SGD85円

3月末)1SGD91円

7月)-

としましょう。

 

【振当処理の考え方】

外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第3項によると、「振当処理とは、為替予約等により固定されたキャッシュ・フローの円貨額により外貨建金銭債権債務を換算し、直物為替相場による換算額との差額を、為替予約等の契約締結日から外貨建金銭債権債務の決済日までの期間にわたり配分する方法である。」としています。

上記の為替相場を使いながら説明しますと、3月の先物為替相場の1SGD85円で買掛金を換算し、先物予約日の直物為替相場90円との差額5円分を3月から7月までの期間にわたり配分する処理となります。

振当処理のポイントは、買掛金の金額を為替予約時に予約時の先物為替相場で確定させてしまい、直物為替相場による換算額との差額はシンガポールと日本の間の金利差と考え、時の経過とともに配分していくという点です。

振当処理は、為替予約がヘッジ会計の要件を満たしていないと適用できないなど、一定の縛りがあります。これは、商品の仕入から生じた買掛金の換算を、本来為替予約取引で用いる先物為替相場で無理やり換算し、帳簿記入上や決算書上も将来の支払額を確定させてしまう方法だからです。

 

 

【2月の会計処理・・・商品仕入時】

(借方)仕入 8,000  (貸方)買掛金 8,000

→商品100SGD×80円=8,000円

 

 

【3月の会計処理・・・為替予約時】

(借方)為替差損 1,000 (貸方)買掛金 1,000

→商品100SGD×(2月直物為替相場80円-3月直物為替相場90円)=1,000円

(借方)買掛金500 (貸方)前受収益 500

→商品100SGD×(3月先物為替相場85円-3月直物為替相場90円)=500円

 

【3月の会計処理・・・決算時】

(借方)前受収益100 (貸方)為替差益 100

→3月の仕訳で認識した前受収益500を3月から7月までの各月に配分。3月の1か月分を計上。

 

【7月末の会計処理・・・決済時】

(借方)買掛金 8,500  (貸方)現金預金 8,500

→支払額は、為替予約時にレート85円に100SGDを乗じた額。買掛金も為替相場時のレートですでに記帳しているので換算差額は生じない。

 

(借方)前受収益400 (貸方)為替差益 400

→3月の仕訳で認識した前受収益500を3月から7月までの各月に配分。4月から7月までの4か月分を計上。

 

 

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