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減損 日本と国際財務報告基準(IFRS)との違い その6 Impairment (Differences between Japanese GAAP and IFRS) Part 6

記事作成日2016/07/08 最終更新日2017/01/27

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【はじめに】

今回も減損会計について日本と国際財務報告基準の違いを見ていきます。

 

【減損損失の戻入れ】

国際財務報告基準(IFRS)では、減損の戻入れ(Reversing an impairment loss)の規定を設けています(IAS36 109項以降)。ただし、過去ののれんの減損の戻入れは禁止されています(IAS36 124項)。

具体的な手続きは割愛しますが、過去の減損損失が減少している兆候があれば、過去に算定した回収可能価額を再度計算し、計算結果によっては過去の減損損失の戻りを損益計算書か包括利益計算書に戻すこととなります。

 

【日本で減損損失の戻入れを禁止している理由】

日本の固定資産の会計基準では、減損損失の戻入れは行わない旨を明記しています(固定資産の減損に係る会計基準 3.減損処理後の会計処理)

 

日本では、減損損失の計上は、減損の存在が相当程度確実な場合に限っていることや、戻入れは事務的負担を増大させるおそれがあることなどから、減損の戻入れをしないこととしたとしています(固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書より)

 

確かに減損損失を計上すると、その後固定資産の減価償却額を変更し法人税の申告をするうえでも加算・減算処理が発生しており、ただでさえ、複雑な経理処理、税務申告をしています。

その中で、減損を戻入れをするとなると、各資産の取得時の取得原価もずっと保存していないといけませんし、再度減価償却計算を見直したり、税務上の処理を検討しなければなりません。

 

日本の実務の現状を考えて、減損損失の戻入れをやめたのが大きな理由のように思います。

 

 

【次回】

次回も減損会計について日本と国際財務報告基準の違いを少し細かく見ていきます。

 

 

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