[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]【はじめに】
今回は、海外駐在者の給与の決め方についてお話をします。なお、この海外駐在者は日本法人の従業員が出向により海外子会社へ勤務しているものと仮定します。
【基本概念】
日本勤務時の給与については、総支給額をいくらにするかという観点で決定されるのが一般的だと思います。
しかし、海外勤務時においては、現地の生活が営める程度の手取り額を決定し、その金額に現地の所得税額や社会保険料を上乗せして総支給額を決定する傾向があります。
日本と海外で税金や社会保険料が異なることから、日本で受け取っていた手取り額を基準として、その金額に海外の税金や社会保険料を上乗せして総支給額を決定するという考えが主流となっています。これは日本勤務者と海外勤務者で不公平にならないようにするためです。
なお、実務では就労ビザの発給条件を満たすように給与金額を決定せざるを得ないケースもあります(たとえばシンガポール)。
【給与金額の決め方】
主に下記の3つの方法があります。
A 別建て方式
海外拠点の基本給を、その国の賃金相場をみて、日本の給与テーブルと別に定める方式です。現地の給与相場をよく知ることがポイントとなります。
B 購買力補償方式
日本勤務時の給与に生活費指数と為替レートをかけて海外払い基本給を決定する方式です。
この方法は、日本勤務時の給与と海外給与が連動することとなりますし、為替レートの変動によって毎年見直す必要があるかと思います。
C 併用方式
日本勤務時の給与に海外生活補助費用を加算支給する方式をいいます。
この場合、駐在が終了し日本へ帰国した場合は、海外生活補助費用の支給がなくなり、日本勤務時の給与に戻ります。
【私見】
シンガポールで勤務している筆者の経験では、海外駐在者に対しては上記Cの併用方式が採用されていると思われる事例を多く見ます。
考えられる理由としては、算定が容易で、かつ、日本で勤務している他の従業員とも比較的均衡がとることができるからでしょう。
なお、給与をすべて日本円で決定してしまうと、従業員に為替相場の変動リスクを負わせてしまいます。
給与は生活の原資となるため、為替相場の変動により給与金額が大きく変動するようになると、特に若手社員の場合、生活に窮することも考えられます。また、日本で勤務している他の従業員は為替相場の変動リスクを負わないのに、海外で働く従業員だけリスクを負わせるとなると他の従業員との均衡がとれなくなってしまいます。
すべてを日本円で決定せず、一部を海外通貨で支給額を決定するなどといった工夫が必要だと思います。
なお、現地採用の日本人の給与は上記Aの別建て方式をベースとして、前職の給与水準を加味して決定しているように見受けられます。
さらにシンガポールにおいては就労ビザの取得に際し、年齢や経験に応じた一定の給与額が必要となります。一般的に日本人がビザを申請する場合は管理職(マネージャー)としての申請となるため、30歳前半ぐらいまでの若手を中心に、日本で勤務していた時の給与に上乗せする必要がでてくるケースが見られます。
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