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海外転勤者の住宅ローン控除の改正、非居住者でも適用可能な場合

記事作成日2017/02/10 最終更新日2021/12/13

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住宅ローン控除について平成28年の税制改正をその前後に分けて、海外転勤者の視点から説明いたします。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅借入金等特別控除の事を指します。日本の所得税に関する定めで、居住目的で住宅を購入した場合、一定の要件を満たせば、例えば住宅ローンの残高×1%(%は適用年度等によって異なります)に相当する金額を所得税額から控除できるという制度です。

住宅ローン控除適用による所得税の節税効果は大きいため、多くの方が節税の手段として使われています。本控除は、あくまでも日本の所得税法に基づくものなので、日本に居住している人を想定しているのがポイントとなっています。

ちなみに、国税庁のHPでは以下のように説明されています。

「住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たす場合において、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。 」

>>No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)出典:国税庁

また、弊社ブログでも、事例を紹介しています。
>>海外転勤者の住宅ローン控除

改正前

改正前の住宅ローン控除の規定では、税務上の「居住者」が住宅等の取得等をし、居住の用に供した(実際に住んだ)場合に限り、この控除の適用を受けることができるとされていました。

したがって、控除を受ける者が海外へ単身赴任等をし、その年の12月31日において非居住者である場合には、その非居住者である年分についてこの控除の適用はありませんでした。

ただし、出国前までに税務署に対し一定の手続きを行っている場合において、帰国後に住宅ローン控除の残存期間が残っているときは、その残存控除期間につき、この控除の再適用を受けることができます。

改正前のルールでは、日本法人に勤務しているサラリーマンが国内事業所への転勤を命じられるか、海外事務所への転勤を命じられるかで、住宅ローン控除の適用の可否が異なってしまうケースがありました。

改正後

平成28年税制改正により、非居住者に対しても、一定の要件が満たされれば住宅ローン控除の適用ができるようになりました。

例えば、次のような場合が考えられます。

・住宅取得後に住宅ローン控除の適用を受けていたが、海外勤務を命じられ単身で外国に赴任している場合
・海外勤務中に日本の住宅を購入し、家族が住む場合

注意点

改正後のルールの適用は、平成28年4月1日以後に住宅の取得等をした方を対象としています。このため、平成28年3月31日までに住宅を購入された方は、改正前のルールが適用されます。

また、あくまでも日本の所得税に関するルールです。海外赴任者が日本で納税すべき所得がない(例えば海外現地での勤務による給与所得しかない)場合は、日本で所得税申告を行うことはありませんので、住宅ローン控除の恩恵を受けることができません。

適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合も、控除の適用対象外になるので注意が必要です。

雇用冊子

住宅ローン控除の詳細については、一度TOMAの税理士に確認されることをお薦めします。